変身スーツのその後(1)ユニシロシリーズ(2分で読める小説)
私の小耳に挟んだ事が気になって仕方が無い。
それは、昨日の出来事。
私はいつもの様に「ケーキの美味しい喫茶店」
に、来ていた。一人でコーヒーを飲み、モンブランを
食していた時に、隣の席に座る男の、
自慢話が聞こえてくる。
聞くつもりは無いのだが、無意味に聞き耳を立ててしまった。
男が言うには、モテる様になったと自慢している。
その訳は、ユニシロで購入した香水のおかげと聞こえてくる。
…香水でモテる様になったって?そんな事嘘だろう。
ユニシロって何だ?…
と、私は気になりユニシロを調べてみた。
調べてみて思ったのだが、不思議な店である。
場所は私の家からそれほど遠くもない。
自転車で15分ぐらいで着く。
私は、その店に興味を持って入店した。
それほど大きな店では無いのが一目で解った。
笑顔を振り撒きながら、小柄なデブ男が私の元に
やって来た。
「いらっしゃいませ、お客様。何か御要り用でしょうか?」
と、揉み手をしながら聞いてきた。
ブサ面だが、愛嬌のある顔である。
もっとも、私も彼に負けないくらいのブサ面だが。
「あの〜小耳に挟んだのですが、此処に女の人にモテる香水が
あると聞いてきたのですが?」
「ああ、あの香水ですか。あれは残念な事に売り切れてしまったのです。
その代わりに、誰でもイケメンになれる男性用の化粧品がございますが、
いかがでしょう♪」
と、男店員の声が弾んでいる。
‥誰でもイケメンになれる男性用化粧品?嘘くせ〜
だったら何故お前が化粧をしない。騙そうとしているな〜コイツ……
と、私は少し怒りの気持ちが湧いた。
だが私は大人、その気持ちをグッと抑えて
「僕は化粧アレルギーなので、その様なものは結構です。」
と、無難に断りを入れる。
「そうですか、それは残念です。
じゃ、これはどうでしょうか?誰にでも変身出来るスーツですが!」
と、冗談の様な事を真剣に言う
…誰にでも変身できるスーツだと!バカにするのもいい加減にしろ…
と、私の怒りは頂点付近まで昇って行った。
怒りをぶちまけたいが、やはりここも大人の対応。
「その様なスーツがあったら見せてください」
と、冷静に皮肉を込めて言う。
「お見せ致しますが、コレは売り物ではありません。
レンタル商品です。それに一日のレンタル料が30000円です。
それでもよければお見せします。ただし最高3日までしかレンタルできません。」
…一日のレンタル料が30,000円ふざけているのか?…
私の怒りはついに頂点に達した。
私は思わず、側に置いてあった・・・。
次に続く