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私は誰⁉️正規版(1)(小山内教授の会見)(2分で読める小説)


テレビから流れてきたニュースは、日本の大学の教授である、
小山内カオル氏が画期的なマシンを発明した。
と言うニュースであった。

その内容は、他人の記憶を伝達するマシンであり、
これを応用する事で、近い将来はアルツハイマー病などの治療に使う事が出来るとのことであった。
小山内カオル氏は現在アメリカに居て、助手である水原学氏を
待っているとの事であった。
小山内カオル氏の記者会見の席上で、
水原学氏に対してのコメントが放送された。

それは、「水原氏と一緒にアメリカに行く予定の日に水原氏は現れず、
また連絡をしても携帯電話には繋がらない。
この記者会見を水原氏が見ていてくれたならば、私に連絡してほしい。」
と言う内容であった。
私は、連絡先のメモを取った。

両親と妹は喜んでくれた。
おかしい、この人達は一体、何者?
何故、私の事で喜ぶ?
これは演技か?
思い切って3人に聞いた。

「先程、お父さんの血液型はA型、お母さんの血液型はO型と
話してくれたのだけど、僕はB型ですA型とO型の両親から
B型の子供は生まれません!あなた達は私の本当の両親ですか?」

少し強い語調で聞いた。

「ばれてしまったら、仕方ないな。」
と父が笑いながら、言った。
ここは、笑うところでは無い。こちらは真剣なのだ。

「本当の事を言おう。私は、学が小学生の時に、
今の母さんと再婚したのだ。妹は母さんの連れ子だ。
お前と母さんは子供の頃から、折り合いが悪く大人になってからも
仲が悪かった。
お前が記憶を無くしたと聞いたので、学が母さんと仲が良くない事を覚えていないのであれば、今の母さんを実母として振る舞おうと
家族で決めたのだ。
私は、ケイコにお前が正常になり、
元の生活に戻れるまでは、
一緒に暮らしてやってくれと頼んだのだ」

一緒に暮らしている妹とは血の繋がらない関係だった。
複雑な気持ちになった。

「もうひとつ疑問があるのですが、僕がこの部屋に帰ってきた時に、生活感も無く綺麗に片付いていたのは?何故ですか。」

「その事なら母さんに言ってもらおう。」

「学の部屋があまりのにも散らかっているし、汚いし、おまけに犬は居るし、掃除屋さんに頼んで清掃してもらったのよ。
私、悪いことしたのですか?!」

と、母は私の事が嫌いだったのであろう少し不機嫌に言った。

僕は、その言葉の中で気になったのは犬の事であった。

「その犬は何処に行ったのですか?此処には居ないけど」

「掃除屋さんが『扉を開けた時に何処かに行ってしまった』と
言っていたわ。何処に行ったのかは知らない」
と、母は無責任で冷たい言い方をした。

私が母を嫌っていた理由が、分かる様な気がした。

真相は解明された様に思えるが、油断はできない。
全てが解明されるまでは。
しかし真相を知らずにいた方がいい場合も、あるのかも知れないと思った。

もっと複雑な気持ちにさせられたのは、妹のことであった。
妹とは血が綱がっていないのだ。

それを知ってしまったからには、どの様に対応すればいいのか?
子供の頃とは違うのだ。
両親は妹を残して帰って行った。

妹はいつも通りに振る舞っている。
私は、いつもの様に振る舞っている、振りをしている。
内心はドキドキだ。
妹に言った。

「今日からは、此処で泊まってはいけない。自分のアパートに帰って欲しい。」
と本心でない事を告げた。

「何で、私が嫌いになったの?子供頃からお兄ちゃんは私に優しかったのに。何で記憶が戻ったら、私を嫌いになっての!」

「記憶はまだ完全には戻っていない。ケイコの事も良く覚えていない。だから一緒にいると、複雑な気持ちになってしまう。」

「複雑な気持ちって?  やだーお兄ちゃんHな事考えてる。
やだー。」
と言って妹は帰って行った。

複雑な気持ちがより複雑になって行った。

判明した事は、僕の名前は水原学。B型。将棋は強い。
大林と言う友達がいる。
大学時代は優秀で教授たちにも名前が知られていた。
小山内氏と同じ研究をしている。
誕生日は平成8年8月8日

明日、小山内氏に連絡をとろう。
また、大学に行ってこよう。タクシーで。
と考えている時、持ち金が無いことに気がついた。
まずは、妹にお金をもらわないといけない。

続く。

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