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 霊が撮れる例のカメラ(9)


9

「これが君の才能でもあり、簡単に言うと超能力だよ。
君以外は誰も出来ないよ。
このカメラを使って写真を撮っても。」
と、何故か店主は嬉しそうに言う。
「でも、僕・・・・(´-`).。oOこの様な写真を撮りたいと想っていないです。人が刺されている写真なんか撮りたく無い!」
と、僕は腹から絞り出す様に言った。
悲しみが僕の胸に突き刺ささっている。

「でも、次の写真を見てご覧。
女性が君に訴えかけているよ。
瞳の瞳を観てご覧。」

「はい」
と、返事をして見たが力が抜けている僕だった。
この写真も女性が明確に写っている。
驚くほど鮮明に撮れている。
その表情は、先程の苦悶の表情では無い。
明らかに僕に訴え掛けている瞳である。
よく観ると、この女性は美人だ。
名前は何て言うのだろうか?

「確かに訴え掛けている表情に見えます。
霊なのに何でこんなに鮮明に写っているんでしょうか?
不思議です!
次の写真はこれですか?」
と、次の写真を見て
「これも鮮明ですね。まるで被写体が眼前に居るみたいに撮ってますね。何も見えてはいないのですが。」

「この娘も満足したんだろう。この写真は、微笑でいるよ。
きっと、犯人を見つけてくれると想っているんだよ。」

「そうですか。でも美人さんですね。この人。」
と、まるで生きているかの様に僕が言った。

「だろう。美人だろう。」
と、店主は嬉しそうに言う。

次の写真を見て、僕は驚いた。心臓が止まるかとも思ったが、
逆に鼓動は激しく脈打つ。
「何、何ですか?これは!妖怪ですか?
それにしては、はっきりと写りすぎだ!
もっと、遠慮してくれ!」

「そんなに驚くなよ。妖怪じゃ無いよ。ただブスなだけ!だよ。
彼女も写真に写りたかっただけだよ。
幽霊だって、ブスはいるよ!」
と、店主は少し怒って言った。
霊界の事を何もかも知っているかの様に。

「ブスが死ぬと妖怪になるんですね?!」

「そうじゃないよ。妖怪と幽霊は別物だよ。
妖怪は、人を恨んで死んだ人だよ。その恨みが強すぎると
悪霊になるんだ。この人はただのブスで死んだの。
解る?恨んで死んでは、いない人なの!」

と、店主の意見は説得性がある。

「この、写真どうしましょうか?警察に持って行ったら、僕が疑われる。ましてや、以前の殺人事件の霊の写真なんて、誰が信用しますか?・・・・。」

「警察に匿名で送っておけばいいよ。
そして、もう一通を、マスコミに報道してもらう。
特に、以前の殺人事件。
霊の写真を送るんだ。
ネガもつけて。
そうしたら、偽装工作してない事が解るだろう。
君は一躍有名幽霊カメラマンだ」

「なるほど、直ぐにやってみます。
でも、マスコミには名前を伏せるのですか?」

「名前を伏せるのは、警察だけでいいよ。
犯人の顔がわかっているのだから、直ぐに捕まるさ。
この事件が解決した後、マスコミに以前に起こった殺人事件も彼の犯行だと証拠の写真を送るのさ。
そして、真実を話す。
そうすれば良いと思うよ。」

「はい。解りました。店主の言われる通りにしますね」
と、僕は応えた。

店主の顔が綻び今まで見たこともない笑顔が溢れていた。

「これで想い残す事は無い」^_^・・・・

https://note.com/yagami12345/n/nd11ae3645e42

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