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就活で100社に落ちた私が未経験経理に転職できた話 その2
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当時登録していた転職サイトはエージェントが付くものではなく、新卒での就職で使うような、求人票が羅列されていて自由に応募するスタイルのものだった。
後から知ったがこのスタイルのサイトで応募すると、人気企業に人が集まって競争率がとてつもなく高いことになる。早く転職するならこのような手段は失敗だったのだ。しかし当時は知る由もなかった。
まず最初に狙ったのは学校法人だった。以前受けたリクルートのキャリア診断で高い適正を示していたことと、楽で高給というイメージがあったからだ。加えて民間企業は当時いた会社で懲りていて、どうせどこもあんな感じでブラックに近いんだろうと思い込んでいた。
エントリーの後は当然面接が待っている。新卒の時に一次面接すらまともに通らなかった経験があったので、転職に関する本を読んで面接対策もきちんと勉強した。先にちょっとネタバレをすると、面接にはルールが存在する。もし就活や転職を考えている人がいたら、本屋に行って面接の方法などに関する本を一冊でも読むことを強くお勧めする。
東洋英和女学院や立教女学院など、少ない学校求人に片っ端からエントリーしていった。第二新卒で母校に戻れないかとも考えたが、残念ながら年齢が第二新卒の対象から外れていた。
片っ端から学校をエントリーしていったが書類審査で端から落とされる。埼玉大学や武蔵野大学など、いくつかの学校で一次選考まで潜り込めたがそれ以上は行けなかった。
学校を諦めたのは、とある薬科大学で集団面接を受けたことがきっかけだった。集団面接では回答で「負けた」とは思っていなかった。「今の会社が嫌で……」なんて平気で回答するような受験者もいたので、そこは心配していなかった。志望理由は前向きに、なんてことは面接のルールでは当然のことだ。
「負けた」と思ったのはそのキャリアだった。自分は上場企業とはいえ中堅企業だった。しかし他の受験者の勤め先は日本製鋼所をはじめとした大企業ばかり。「そんな大企業に勤めているのに一体何が不満で大学に転職しようだなんて考えるんだ」と思わずにはいられなかった。
要するにだ、学校というのは楽で高給というイメージは多くの人が持っている。そんな条件の良い職場を選べるのは、今でも一定の地位にいる企業に勤めている人間だけで、本音の部分では今の会社が嫌だという気持ちが同じだったとしても、勤めている企業からして拍が付いているから優秀な人間として受験することができるのだ。
そのように結論付けた私は学校を志望することをやめた。自分のキャリアでは歯が立たないことが分かったからだ。
だからといって民間のブラック企業に勤めようなんてことは思わなかった。次に狙ったのは一般法人などである。第二弁護士連合会や司法書士連合会など、その他知名度が低い法人も受けていた。
司法書士連合会なんてのはうまくいったもので、一次面接、役員のいる二次面接と順調にクリアしていった。
問題はここからだった。
当時働きながら転職活動をしていた私は当然日中の時間帯に面接なんて行けやしない。そもそも当時の会社は有給すらまともに取らせてもらえなかったのだ。
しかし民間企業をはじめ、どこも最終面接は日中に行われる。社長をはじめとする役員を夜遅くまで残業させるなんてご法度ということだ。
ところが私は仕事を抜け出せないことを理由に司法書士連合会の最終面接を夜7時に依頼してしまった。相手方も何とか日中にしてくれないかと言っていたのだが、経験の浅かった自分はそれがいかに重大なことか気づいていなかったのだ。
夜、面接会場に着いてからは針のむしろだった。
二次面接のときはあれだけ和やかに話ができていた役員の方々は苦虫を嚙み潰したような表情をしていて、「何で最終面接なのに日中に来れなかったのか」から始まり、二次面接とは比較にならないような厳しい質問が次々と浴びせられた。
結局そのような失態もあり、司法書士連合会からはお祈りされることとなった。
その後も次々と一般法人を受け続けた。日中の時間帯は会社で働き、面接がない日は残業をして先々の仕事を片付ける。面接日には誰にも何も言われないよう定時ダッシュを決め込んで面接会場に向かう。帰りが12時前になったこともあった。
そのようにして一般法人を受け続けていたのだが、ある法人を受けたときに考えが変わった。
その法人は葬儀関係の会社を取りまとめる法人で、面接で早々に「何で君みたいに大きな企業に勤めている人がここを受けようと思ったのですか」と訊いてきた。その後にその法人では給与が安いことや、深夜休日問わず必要があったらすぐに仕事に飛び出していかなくてはならないことなどを教えてもらった。やりがいに関する話なんてなかったと思う。心なしか面接をしてくれたその人も、まるでそこで働いていることを後悔しているかのような雰囲気があった(私の気のせいかもしれないが……)。
その法人の一次面接は通ったのだが、お断りした。そして最後に残った選択しである民間企業について考えてみることにした。転職活動を本格的に開始してから、すでに一年が経っていた。
私は自分のことをコミュ障だとは思っているし、人と話すことが苦手で人付き合いも好きではない。MBTIでいうところのINTJである。
しかし別に今までぼっちで過ごしてきたわけではない。中学・高校・大学と、長い付き合いをする友人には恵まれている。その友人たちと飲み会に行く機会もしばしばあったので、そのたびに自分が転職を考えていることや、友人が勤めている会社の情報を聞くことにしていた。
友人たちの話を聞いて思ったことは、当時自分がいた会社は友人たちの判断基準からしてもまともな会社ではなかったことと、友人たちは民間や法人問わず、もっと楽しく(そりゃ嫌なこともあるだろうけど)働いていたということだった。少なくとも自分のような悲壮感を会社に感じている友人はいなかった。
今の会社がおかしいだけで、民間企業の中にはまともな会社もあるのかもしれない。むしろ今まで一般法人ばかりに目を向けていたが、先日行った葬儀関係の法人みたく、一般法人の方が大変な思いをすることが多いのかもしれない。
どのみちもう受ける一般法人も無くなってきたことから、今の会社から脱出するためには民間企業も受けなければならない。これからは民間企業も受けてみようと決めたのだった。
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