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キッチン ユキ(白山市)

体を癒してくれる御馳走は、心のごちそうでもある。

このコンセプトを基にして、私が心から紹介したいお店だけを紹介します。料理が美味しいのは基本中の基本。それ以外の何かが心の琴線に触れるものが、心の御馳走です。

さて、今回は、私のソウルフードのお店。
恐らく、「金沢カレー」という料理は、みなさんご存じではないでしょうか。
とんかつ、キャベツ、濃い色で濃厚な味わいのカレーというパターンで提供されるカレー。
金沢人のソウルフードには、八番らーめん派と金沢カレー派があるといっても過言ではないです。
私は、断然カレー。
このお店は、金沢カレーの誕生に、深く関わっているのです。
金沢カレーを金沢ブラックカレーという言い方もしますが、ここでは、金沢カレーで統一しておきます。

創業等のウンチクを少々

キッチン ユキの創業は、昭和41年(1966年)です。
もう、半世紀を超えているんですね。奇しくも自分と同じ年齢。
創業した場所は金沢駅前だったそうで、その当時から「金沢ブラックカレー」と呼ばれる、特徴のあるカレーは存在したようです。
当時、金沢で創業した洋食店の「狸茶屋」(現在の「ニューたぬき」)と「レストランニューカナザワ」のチーフコックと、キッチン ユキの創業者である宮島幸雄氏が、このカレーの生みの親であると、キッチン ユキのレストランメニューに書いてあります。

金沢カレーの雄である「チャンピオンカレー」のホームページに、金沢カレーの歴史が詳しく書いてあるので、見るといいかもしれません。
金沢カレーの誕生に関しては、諸説紛々といったところですが、昭和30年頃に「レストランニューカナザワ」で、金沢カレーに関わる5人ものコックが働いていた(宮島氏も)ってことですから、金沢の洋食シーンがここから始まっていたんですね。
このコックたちが、金沢カレーの第一世代となるお店を創業し、高度経済成長の中でバリバリ働いていた人たちの胃袋を支えてきたんだと思うと、隔世の感があります。

金沢カレーの特徴は、以下のものだそうです。
(前述のチャンピオンカレーのホームページを参照しました)
1)ルーは濃厚で「ドロッ!」とした感じ。
2)カレールーの上に「トンカツ」が載り、ソースがかかっている。
3)ステンレス製の舟型のお皿に盛りつけられている。
4)先割れスプーンかフォークで食べる。
5)つけあわせにはキャベツの千切り。
6)カレールーを全体にかけ、ライスは見えない様に盛り付けられている。

これらに「黒い色」と「濃厚な旨味」が加わり、キッチン ユキの金沢カレーになります。
基本的に辛みはそこそこに抑え、トロミと旨味にこだわっていると言えます。

進化し続ける金沢ブラックカレー

自分が感じ過ぎなのかもしれませんが、時々カレーの色や味が変わります。
基本となるレシピに「どうしたらより美味しくなるのか」を考えて、食材の配合を少し変えている様で、本当に微妙ですが味に違いが出ています。
美味しさを追求する姿勢には、頭が下がります。

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金沢カレーを食べるとき、先割れスプーンを使います。フォークの場合もあります。
先割れスプーンについて賛否はありますが、私は、これほど便利なアイテムはないと思っています。
ご飯も、トンカツも、キャベツの千切りも、これ一本で一気に掻き込める。
スプーンとフォークを持ち帰る必要が無いし、時短になるので、時間を気にするサラリーマンや、物臭な自分のような人間に打って付けなのです。

キッチン ユキのカレーとの出会い

キッチン ユキのカレーとの出会いは、かれこれ38年前、高校生の頃に遡ります。
高校生の頃には、キッチン ユキは金沢駅の地下街にありました。

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バス+電車+自転車通学だった私は、1年生の頃から行きつけになっていました。
大概、土曜日のお昼を抜き、部活動をして帰宅する夕方に、駅でキッチン ユキに寄り道して帰るという流れでしたね。
高校生の懐具合では、金沢カレーという訳にいかないので、ジャンボカレーを食べて人心地付き、そのまま家に帰って夕飯も食べるという、今考えると無茶な生活をしていました。
ジャンボカレーっていうのは、ご飯とルーが3人前のビックカレーで、これが一番おいしかったしお腹が膨れました。

この頃、他にも金沢カレー店はあったのでしょうが、高校生の行動範囲には限界がありました。
また、大学は県外に出たので、行動範囲が広がる大学生の生活の時は、金沢の街を知らずに過ごしました。
だから、余計にキッチン ユキの印象が強く残ったと言えます。

やっぱり旨い金沢カレー

昔なら、「金沢カレー大盛りで…」と、注文するところなのですが、年を取りました。
普通盛で、お願いしました。

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独特な盛り方ですよね。
でも、これが食べやすいのです。
ルーの野菜は、ほとんど溶け込んでいて、肉の繊維が残っている程度です。
そのおかげで、旨味が凝縮しています。
味わいが濃厚なのは、ラードをベースに使っているためでしょう。
キャベツに掛けるためにドレッシングが用意されますが、カレーをまぶして食べるほうがおいしいので、金沢カレーに限っては、私は使いません。
しかし、ドレッシング自体が凄く美味しいので、セパレートのサラダが付く料理の場合は、是非使って食べるといいですよ。
ルーが皿に残るともったいないので、先割れスプーンの先でカツを刺し、ルーをこそげながら食べるのが癖です。
それでも残るルーを、スプーンで舐めるように丁寧にたべると、お皿は本当にきれいになります。

B級グルメの筆頭の料理。
県外に出て金沢に帰ると、私はどうしても、このカレーを食べたくなるのですよ。
ホッ、とする感じ。
居場所に帰ったって感じ。

長野県の諏訪にいる友人は、金沢に来る機会がある度に、昼は必ずチャンカレ(チャンピオンカレーの愛称です)を食べるんだとか。
ゲン担ぎもあるのでしょう。「敵に勝つ(カツ)」
まるで、金沢人ですね。

ヤバいな(笑)
記事を書いていたら、また食べたくなってきた…。


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