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「他人が褒められていると、自分が責められているような気持ちになる」のはなぜか
先日、日本から台湾に遊びに来たという日本人の皆さんと、おいしい台湾産のクラフトビールを飲んでいた時のことでした。
そこには私以外にも台湾人と結婚した日本人女性がいて、意気投合した私たちは、「台湾人夫のこういうところがいいよね」という話をしていました。
すると、その中の男性がぽつりとこう言いました。
「そんなこと言われちゃうと、なんだか俺たち日本人男子が責められているような気がしちゃうなぁ」
この時は特に何も反応することなく、会話は楽しく流れていったのですが、私の心の中に引っかかっていました。
私は現在、台湾から日本に向けて情報を発信していますが、日本で生活する皆さんにとっては、どうしても「台湾(海外)ばかりを褒めている」という印象を持たれてしまうことがあるかもしれません。
海外在住者が「出羽の神」といわれ、煙たがられる所以でもありますね。
ただ、不思議だったのはこの時の会話で私たちは「日本人男性と比較していたわけではない」ということでした。
そして、このような「他人が褒められていると、自分が責められているような気持ちになる」という現象は、この時以外にもよく起こりましたし、むしろ私自身の身にも起きていたことを思い出したのです。
29歳で台湾に移住する前の、今から13年以上前のこと。
20代だった私が東京の出版社で働いていた頃には、他人が褒められると自分が責められているように感じることが多々ありました。
上司から「●●さんは、土日も出勤してイベントを手伝ってくれた」と言われれば、自分が休日に休んでいることに罪悪感を感じるようになりました。
もちろん上司側にも、他者と比較することで、私に競争するよう意図していたというのはあると思います。市場の原理なので、仕方ないとも思います。
これに対しては、そうした些細なことで比較されることがないくらい、抜きん出たスキルセットや得意分野を身につけることが大事なのでしょう。
ただ、この「常に自分と他者を比較する」が度を越すと、「他人の軸」で自分を評価する癖がついてしまうのです。
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幸いなことに、台湾に移住して年月が経つにつれ、私の中からはそうした癖が消えていきました。
意識してかどうか分かりませんが、多くの台湾人は自己と他者の境界線「バウンダリー」が非常にはっきりしています。
また、「それはそれ、これはこれ」という「課題の分離」も非常に上手です。
「人は人、自分は自分」と個々人のバウンダリーがはっきりしているので、日本社会のような「同調圧力」もありません。この姿勢は非常に学びになり、私も普段の生活や仕事の中でバウンダリーを意識するようになりました。
すると、私は自分の目指す姿を追求すればよく、他者が褒められた時には、素直に「すごいなぁ」「自分も頑張ろう」と考えられるようになりました。
他者が他者が褒められていることと、私自身のパフォーマンスは、直接的には関係がないのです。
すごいなと思った点は自分でも参考程度に取り入れさえすればよく、自分は自分のペースで目標を達成するのが大事だと、今は思うことができます。
そして、「自己肯定感が非常に高い」というのも台湾人の特徴のひとつです。
一緒に働いていると、新卒で入社してきた若いスタッフたちが、(特に根拠がなかったとしても)自分の意見をはっきり発言することに驚かされていました。
ただ、台湾で育つ子どもたちを見ていると、幼稚園や小学校の頃から、自分の考えを堂々と発表する教育がなされています。こうしたことも効いているのかもしれません。
私も子どもに対して「他者との比較ではなく、過去の自分と比較すること」を意識的に教えるようになりました。
最新刊『心を守りチーム力を高める EQリーダーシップ』の執筆にあたり、EQ(心の知能指数)においてとても大切になると思った鍵もまた、自己と他者の境界線「バウンダリー」でした。
他者と比較される市場原理を意識し、自分自身の軸を持つことは、自分を幸せにするための大きな一歩になってくれると思います。
もし、不条理に他者と比べて、あなたから有利な条件を引き出そうとする人がいたら、「そうなんですね。じゃあその方に頼んでみたらいいんじゃないですか?」と言ってみるのも一つの策かもしれません。
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