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失敗しない!取材ライターの始め方
取材ライターをやってみたい。でも人を相手にするから失敗したくない。そう思って二の足を踏んでいませんか?
実は私、かなりの量の失敗をしてきた張本人です。今でも気づかないだけで、失敗をしているかもしれません。でもそんな私でも数年前のヤラカシをヤラカシと気づけるくらいになりました。
そんなこんなで取材ライターになって4年経ちました。
この記事では私の失敗談をもとに、失敗しない取材のコツをお伝えします。これを読めば私のような失敗をせず、スムーズに取材ライターとして出発できます。ぜひ、イケてる取材ライターとして出発してください。
取材の失敗談
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聞きたいことがわからない!
ある会社の社長さんにインタビューをする機会がありました。
30分ほど時間をいただいて話を聞くことに。最初は会社の沿革を聞いたり、商品について教えてもらったり、コロナ禍でどのようにイベントを開催したのかなど伺っていたのですが……。どんどん私の言葉が詰まってきてしまい質問できなくなってしまいました。沈黙も数回。
何を話していいかわからず「うちのうつわは無印良品です!」と意味不明のカミングアウトをする始末。
「あ、もうお時間ですね」とか何とか言って終わったことがありました。
帰宅して、ICレコーダーを聞く作業はまさに地獄でした。「おまえ(自分のことね)、何言ってんの?」「それなんで聞いたの?」と自分が憎くて憎くて仕方なくなりました。
書きたいことがわからない!
100年以上歴史のある洋菓子屋さんの取材。
地域やお菓子の歴史など、いっぱいお話をしてもらって帰宅。さあ書くぞ、というときに「はて?」と。
話はいろいろ聞いたけど……。一つひとつがバラバラの情報。
結論に持っていくにはどこをどういう風に書いて、どういう順番で書けばよいのか、道がまったく見えません。
もっと言うと、商品の魅力についてどう書けば正解かまったく見えない。絶望しました。
ほかにもありますよ。あはは。
養殖マグロを卸している会社の取材。
マグロの熟成方法や味の特徴など詳しく聞いて帰ってきました。
さていざ、パソコンの前に座ると、何から書き出していいかわからない。文が繫がらない。結局情報の羅列になってしまい、締めの言葉も浮かばない有様。
ディレクターには「聞いたことだけまとめてもおもしろくないです」「説明的すぎてせっかく現場で取材した臨場感がないのが惜しまれます」など、まさに的を射たフィードバックをいただきました。
取材の怖さとは、やり直しがきかないこと。
「もう一回マグロの解体してくれますか」「最初からお話聞かせてください」なんてできません。
自分の至らなさに打ちのめされ、泣きながらパソコンに向かったことは今でも忘れません。
なぜ私は失敗したのか
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原因①準備を疎かにした
最大の理由は下準備がまったくできていなかったことです。
私がやっていたのは、取材先の情報を集めることだけでした。
取材先の情報だけで質問項目を考え「自分のアンテナにひっかかったおもしろいものを記事にする」というスタンスだったんです。
準備することはもっともっとあるはずでした。それは後から書きますが、とにかくクライアントのことをまったく考えていなかったわけです。ごめんなさい×100。
原因②中途半端な成功体験
そこそこ取材を経験してきたのが仇となりました。
私は地域情報サイトで飲食店の取材記事を2年ほど続けていました。このメディアの取材方法がちょっと特殊で、お店に食べに行って美味しかったら会計後に取材を持ちかける、という飛び込み方式でした。
そんなこんなでおそらく30軒くらい取材をしてきたのですが、そこそこのPVもあり、自分の記事を楽しみにしてくれる読者もいました。書き方はかなり自由で自分のブログを書くような感覚でした。
だから自分はどんな取材でも「書ける」と自信があったんですね。とんだ勘違い野郎でした。
原因③コミュニケーションでなんとかなる説
人と人との「化学反応」的なものを信じて、出会いの中でおもしろい話が引き出せるのではと思っていました。
今考えると恐ろしい考え方ですし、他力本願そのものです。相性によって引き出せたり、引き出せなかったりしますし、それこそ「空気次第」なわけです。まったく再現性がなく、質が保たれません。
何度も会って取材をするならまだしも、一度きりの出会いで、しかもノープランでいきなりおもしろい話が生まれるはずございません。そういうミラクルを起こせるのは何十年も取材をされているような方か、めっちゃ才能がある方くらいじゃないでしょうか。
失敗しないためにすること
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ここまで私の失敗を聞いた時点で、取材のハードルが下がったと思います。
「こんなポンコツでも取材ってできるんだぁ」と。
でも、あなたにはポンコツになってほしくないので、失敗する前におさえておいてほしいことを書きます。自戒も込めつつ……。
①取材の目的を理解する
取材の目的やターゲットとなる読者を理解することが大切です。大事なのはメディアのゴールに貢献すること。そして取材で最も大事なフェーズが下準備。
入念な下準備をした取材は執筆で悩むことはほとんどありません。なぜなら質問票がほぼ見出しの構成要素になっているから。あとはわかりやすい文章にまとめればいいだけ。最近は執筆時間が短縮傾向にあり、その大切さをめちゃくちゃ感じています。
取材をする前に最低限確認するべきことは次の通りです。
メディアの目的やゴール
ターゲット
取材記事の目的
なぜその人を選定したのか
取材先の情報
質問票の作成
目的がわかれば自然と質問項目もはっきりします。
闇雲に質問することがなくなります。
②自己流は事故る 先人から学ぶべし
「人生経験豊富だからイケるだろう」「これまでうまいこといってたからこれが自分のスタイルだ」この考え方だったので事故りました。
まさに”自己流は事故る”。
取材のやり方などそれまで私は誰かから教わったりしなかったんです。
何度か取材したあと、「このままじゃいけない」と思って取材ライターの講座を受講しました。
受講したことで私は取材ライターとしてようやく開眼した感覚を覚えました。
あまりにも自分が無知だったことに気づき、これまで取材させていただいたみなさんにお詫び申し上げたい。黒いスーツを着て謝罪巡礼をしたい気分です。
ちなみに私がこれまで読んだ取材ライティングに関する本です↓
これまで私が読んだ取材関連の本。
— やえの(ヤンプリ)@長崎の取材ライター (@yanpuri_writer) October 22, 2023
佐藤友美『書く仕事がしたい』
古賀史健『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』
佐々木ゴウ『Webライティング』
宮本恵理子『行列のできるインタビュアーの聞く技術』
田中泰延『会って、話すこと』
上坂徹『引き出す力』
東畑開人『聞く技術聞いてもらう技術』
↓
③取材の目的を相手に伝える
記事の目的やターゲットが明確になったら、それを取材する相手にも共有してもらいます。「これはなんの取材?」と聞かれるパターンも時々あって、クライアントと私とのやりとりがあっても、取材先までちゃんと説明がいっていないこともあります。
なので、取材を始める前に必ず取材の趣旨を話し、なぜあなたのことを取材したいのか説明します。
取材される側にも目的意識を持ってもらうことが大切です。目的を共有しないと、自分語りになったり、「自分なんて」と過剰に謙遜したりすることがあるからです。”誰かを助ける”という視座に立ってもらうよう取材の目的を伝えましょう。
とは言っても、失敗しない取材ライターはいない
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私の失敗談を読んで、踏み出す勇気を持てましたか?
見切り発車で取材ライターを始めてしまった私。なんの根拠があって「できる」と思ったのでしょうか。振り返ると恐ろしい謎の自信に満ち溢れています。
今はいろいろ学んだ経験を元に、少しの自信と少しの不安を持ちながら、以前より丁寧に取材ができていると思います。でも、まだまだ十分引き出せていないなぁと、原稿を書きながら思う日々です。
失敗しない方法をお伝えしながら言うのもなんですが、失敗を恐れすぎてしまうと何も始まりません。
先輩取材ライターさんも実はいろいろ失敗を経験しているはずです。大切なのは大事故にならないこと。ほどほどに失敗を重ねていくことで、少しずつプロらしくなるのではないでしょうか。
それでも踏み出せないな~と感じたら私にDMしてください。もっと失敗談お伝えしますよ。