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政界素人論〜弱さを強みにした岸田首相の凄さ

政界素人論(以下、敬称略)。自民党の裏金問題をきっかけに政界は激変した。自民党、公明党、立憲民主党、共産党の4党でトップの交代があった。自民党はよもやの石破茂総裁が誕生。しかし国民が最も望んでいた人だったのだから、民意が反映されたということか。終わってみれば、自民党の層の厚さが際立った。9人が立候補した総裁選は、多種多様な人材の宝庫であることを示した。岸田首相は大したものだ。裏金問題による劣勢を、自らの退場で場のエネルギーを一変させた。まるでスタジオジブリの映画🎬「コクリコ坂から」みたいな乗りで、世間の関心を違う視点に持って行ってしまった。結果的に自民党の自浄作用、世代交代も促した。某副総裁の投票指示は結果に影響を与えなかった。岸田首相は決して全権監督ではなかった。しかし自らの弱さを強みにする手腕は、社会が見習うべき技術だ。

自民党総裁選の結果
岸田首相


 それに比べて立憲民主党は人材不足を露呈した。細野豪志、前原誠司、玉木雄一郎、山尾志桜里などの若手が次々と抜けて、蓮舫は都知事選でダメージを負い、辻元清美は声すら上げなかった。結局は野田佳彦や枝野幸男なと過去の人2人で決戦投票。枝野幸男は官房長官時代は、震災時に身を粉にして働いた好イメージがあった。しかし今の枝野幸男には「自分の(権力の)ために働いている」ようにしか見えなかった。泉健太は結局のところ、連合を選ぶか、共産党を選ぶかの二者択一を明言できなかった。吉田はるみは「女性も選挙に出ている」というアピールのためだけに推された気がする。一方で政権末期の凛とした立ち居振る舞い、安倍昭恵夫人が託した安倍晋三の追悼など、野田佳彦は「今の立憲民主党で唯一まともな人」という印象があった。おそらく本人は代表選に出る気など、サラサラなかっただろう。立憲民主党の心あるメンバーたちにほだされて、身を差し出したのだろう。日本に二大政党制が確立していないことは、立憲民主党の離合集散による責任が大きい。しかし野田佳彦が代表なら、私は選挙で票を投じてもいい。われわれは裏金問題を綺麗さっぱり忘れてはいけない。

立憲民主党代表選に出馬した4名


 公明党代表も、山口那津男から石井啓一幹事長にバトンタッチ。自分は公明党は頼りにしていた。政教分離についてはともかく、与党内で自民党に制御をかけられる唯一の存在だったから。それは連立与党だからできたこと。しかも山口那津男は弁護士出身。ものの道理がわかっている。改憲問題など自民党の暴走に待ったをかけてくれたと思う。自民党も連立政権の維持のために、独断強行を踏みとどまった。与野党の二大政党制が確立していない現状で、野党とは違った立場でカウンター勢力を形成してくれていた功績は大きい。

山口那津男公明党代表


 蛇足だが共産党も委員長が志位和夫から田村智子に交代した。これは裏金問題というより、衆議院選挙対策だろう。実に23年ぶりのこと。新旧交代という意味では、野党は与党以上に世代交代の機会が少ない。若返り、女性登用を共産党もアピールしたかったのだろう。共産党は自民党以上の保守性を内在していたように思える。

田村智子共産党委員長

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