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「ベン・ハー」誕生

 11月7日の尾久キリスト教会の高橋武夫先生の説教。ヨハネ伝第14章15〜17節「主の迫りを覚える」。今回の説教のサイドストーリーは「ベン・ハー」誕生の経緯。アメリカは1861年からの5年間は南北戦争であった。奴隷解放を目的としたリンカーンによる「人民の人民による人民のための政治」が有名である。その北軍の将軍であったルー・ウォーレスは後に弁護士やメキシコ州知事となった。しかし宗教には懐疑的で、イエス・キリストを実在の人物とは考えていなかった。そしてキリスト教を否定するための書物の執筆を始めたが、その第二章に取り掛かっている際に霊的な変化が起こり、神の存在と愛を認めざるを得なくなった。それはローマ史を調べ、イエス・キリストと総督ピラトとの関係を知り、処刑された際のイエス・キリストの祈りやパウロたち弟子たちの殉教を知るに至ってのことだった。その結果ルー・ウォーレスは逆にキリストの存在を証する本を執筆した。それが二度も映画にもなった「ベン・ハー」である。
 「ベン・ハー」は有名な映画なので詳細は省くが、友人の裏切りで若き貴族が家族離散となり自身は奴隷となる。その後に復讐を果たすも、再会した母と妹はハンセン氏病に冒されており、イエス・キリストに救いを求める。この物語でイエス・キリストはほとんど姿をチラリとしか見せないが、重要な役割を果たす。イエス・キリストが新約聖書に描かれるのは30数年の生涯のうち僅か3年ほど。12使徒を率いるあたりから記述され、その大半が磔刑に処せられる過程を伝えている。新約聖書は弟子たちが執筆しているから当然と言えば当然だが、逆に言えばイエス・キリストの少年期から青年期にかけての記述はごく僅か。両親と神殿を参拝したシーンがあるくらい。「ベン・ハー」では水に飢えた主人公がイエス・キリストに水を与えられるシーンがあり、仇敵への復讐心を氷解させる場面がある。いずれにしても、ルー・ウォーレスは「ベン・ハー」で怨念に燃えるベン・ハーの命と心の救済者として登場する。

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