船ヶ山哲「夏休みの1週間で308万円稼いだ小学生」
船ヶ山哲「夏休みの1週間で308万円稼いだ小学生」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
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独立して起業することと、サラリーマンであることは全く別の物である。これは自分も会社を辞めてからヒシヒシと感じる実感である。ましてやフリーランスと経営者も全く違う。いずれにしても著者はサラリーマン生活を10年で打ち切り、独立した。かつての経済大国日本は偏差値の高い学校に入学して、大企業に入って多くの退職金を得て、保証された年金によって、左団扇で暮らしていけた。しかし神話は崩れた。終身雇用制は崩れ、退職金制度がなくなりつつあり、年金は減額・延期になっている。このまま自分がサラリーマンであることは、自分の子供たちに、将来の不安を先渡しすることになるというのが、独立のモチベーションだった。そして父は息子レムと娘リラに自分の背中を見せることにした。起業家の子供は起業家に、サラリーマンの子供はサラリーマンになる。カエルの子はカエルである。独立事業者には定年がなく、得られる収入も格段に多い。しかし一方でリスクがある。そのリスクをなくすためには、徹底的なリスク対策の準備が必要。そして心をどう保つか、人とどう向き合ってゆくべきか。この本はビジネス書として、用意周到に勝ち残るため、多くのノウハウを著している。
先ずは小学生である息子のレムにビジネスを実践させた。コンピュータソフトウェアセット商品である「REM’s パック」22万円の販売である。本書のタイトルの一部である308万円の売上は「REM’s パック」の販売による数字である。次に娘のリラも起業。この販売には父親の顧客を紹介し、指導して、場の体験も重ねさせている。良き師あってこそ、良き弟子が生まれる。息子であるレムに社長である意識を徹底的に植え付け、自覚を持たせる。二世議員や二世社長へは批判も多いが、育った環境が教育の重要な要素である。ここではビジネスがテーマだが、野球や卓球のようなスポーツ、音楽や歌舞伎のような芸能世界でも、親が師匠であることは大きなアドバンテージだ。ましてや著者は子供たちの国際感覚を養うために、カナダに移住している。一つだけ不思議に思うことは、母親が全く登場しないこと。