言霊信仰は語呂合わせ⁈
尾久キリスト教会の牧師である高橋武夫先生の11月8日の説教から。この日の題材はガラテヤ人への手紙第4章第8節「神を知らなかった当時、あなたがたは、本来神ならぬ神々の奴隷になっていた」。題して「偶像はご利益と祟りへの恐怖心」。この日の説教のエピソードは言霊信仰。明石市の教会に赴任した牧師の話。明石市には人麻呂神社こと「柿本神社」がある。ここは火除と安産にご利益があるとされている。この根拠たるや地元の方に訊くと、以下のような語呂合わせ。火除は、人麻呂を「ひとまる=火止まる」と読む。安産は「ひとうまる=人生まる」と読むのである。
更に高橋武夫先生の母親の隣家が火事になった時の話。延焼の恐れがあるが脱出できていなかった母親は、何を思ったか箪笥から自分の下着を取り出して、火の手の上がる隣家に向かって懸命に振っていた。結果的に延焼を免れて無事だったそうだが、後日にその時の行為を問い質したところ、母親は吉原大火について語り始めた。吉原の女郎たちは、逃げ出さないように部屋に鍵をかけて閉じ込められている。しかし大火が起こって、女郎屋の亭主は鍵をかけたまま逃げてしまった。取り残された女郎たちは「おこし」と呼ばれる赤い下着を火勢に向かって激しく振った。これは男性器を「へのこ」と呼んでいたので、「へのこ」から身を守る下着が「おこし」であった。女郎たちは「へのこ」を「火の粉」と見立てて、炎から身を守ろうと「おこし」を振ったのである。母親は浅草で寿司屋を営んでいた祖父から、この話を聞いていたそうで、火急に際して、自らも吉原のまじないに習ったそうだ。母親は「おかげで助かった」「昔の人の言うことももっともだ」という境地に達したそうだった。
聖書と話がずいぶん逸れたようにも思えるが、言霊信仰は偶像崇拝とも繋がり、自ら作り上げた神々に支配されることに陥りかねない。偶像崇拝は、狐を祭る稲荷信仰にように、最初は言霊信仰のように何でもない事柄を崇拝の対象とし勝ちである。「ガラテヤ人への手紙」第4章では、偽説教師が訪れて信徒を惑わせたことについて、パウロが唯一の神であるイエス・キリストへの帰依を呼びかける箇所である。
oguchristchurch.jp
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