Pale Blue Dot 佐治晴夫先生の講演を拝聴して
11月2日、吉祥寺の成蹊大学で行われた佐治晴夫先生の講義に伺いました。
佐治先生は東急のフリーペーパーsalusに「宇宙のカケラ」というエッセイを連載されており、私はその世界観に惹かれて今年に入って著書を10冊くらい連続で読みました。
そして今回の講義を知り、参加することにしたのです。
テーマは「Big Historyから地球と人類の未来を考える」というものでした。
講義のポイントは、
①歴史の授業で習うような人間の文明の歴史ではなく、ビッグバンからの大きな流れの中で人類をとらえ直す
②現在の状況について
③人類の特徴、そして未来について
以下、要約ですが私が印象的だったところです。
①世界はビッグバンによって138億年前に誕生した。
138億年前というのは、それより古い物質が見つかっていないから。
ラジオの雑音は、宇宙が爆発した時の名残。世界全体にその残り火がある。
1/1の0:00に宇宙が誕生したとすると、
現世人類の誕生は12/31 23:52
人生は100年としても、0.2秒にすぎない。
②ボイジャー計画(1977)で宇宙に飛び立ったボイジャー1号が1990年に、約60億キロメートル離れたところから撮った地球の写真「Pale Blue Dot」
私達はこんなに小さな点の中に住んでいると思って生きていかないといけない。
人類は地球の資源を使って生活しているが、1950年代からの変化は著しく、「人新世」という地質区分が提唱されはじめた。
それほど、人類が地球の地質や生態系に及ぼす影響は大きくなっている。
地下水の汲み上げによって、地軸が東の方向に80cm近く変化。
化石燃料の使用による温暖化も進行。
東大の研究によると、今全ての活動を停止したとしても、海水温の上昇は42年しないと戻らない。
これらのことは、今後より深刻な覇権争いの原因になりうる。
植物や動物は既に移動し始めている。
文明は自滅する性質を持っているのかもしれない。けれど私たち人類は、最初に文明を長引かせる生命体になることもできる。そういう責任があるのかもしれない。
ヴィトゲンシュタイン「考えるな、まず見よ」
まず現実を見た上で考えることが大事。
③人間は胎内で成長する。そこでは視覚、嗅覚、味覚などは必要ない。聴覚だけが唯一働いている。音楽は文化的に作られたものではなく、本能的に埋め込まれたものなのかもしれない。歌は言葉に先んじるコミュニケーションの方法。
アフリカで、現代文明と切り離された生活をしている人々に、ベートーヴェンやモーツァルトなどの曲を聞いてもらい、喜怒哀楽の表情を描いた絵を選んでもらうと、99.8%欧米人と一致していた。
物理学の法則でみると、私たちは独立存在ではない。ひとりが変われば周りも変わっていく。お互いに利他を求めていけば、地球環境への考え方も変わっていくはず。
だからこのPale Blue Dotの写真を他の人にも広めて欲しい。
今地球は大変なことになっている。戦争、災害etc. だが、もし深刻な事態に陥った時、こんな広い宇宙で、助けなんてどこにもない。
もしかしたら、地球外生命体がいるかもしれないが、試算では10万年文明が続かないと、他の知的生命体と出会う可能性はない。
星空を見ることが平和につながっている。
宇宙と音楽が世界を救う。
2時間の講義でしたが、先生のやさしくわかりやすい説明と、様々な知識を組み合わせて導き出される解釈にいろいろと考えさせられ、あっという間に時間が過ぎました。
私の要約ではわかりにくい部分もあると思うにですが、先生の「伝えて欲しい」というメッセージを受けて書き残しておきます。
私も健康阻害因子として、
環境問題
災害
戦争
の3つは回復するまでに長い時間のかかる重大な問題だと思っています。
けれど特に医療の現場では感染予防の目的から使い捨てになっているものがたくさんあります。
これらの問題の両立は難しいのか考えることも度々あります。
少しでもできることを見つけて実行していくこと、そして気づいたことは発信していくことは続けたいと思います。
佐治晴夫先生情報bot(@saji_info)さん / X https://x.com/saji_info
ペイル・ブルー・ドット - Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ペイル・ブルー・ドット
人類による地下水の汲み上げで地球は30年で約80センチ東に傾く | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン) https://forbesjapan.com/articles/detail/63962