【エッセイ】弁当
あと半年経てば専門学校を卒業、と、いうところで不登校。ある時期から聞こえるように悪口を吐かれ、耐えられなくなったのだ。しかも一旦、標的にされていると気づくと、過敏になって、街を往来する人の会話すらもいちいち反応してしまう。耳を塞ぎたくなる程辛かった。
母に嘘をついていたことも。当時は、心配かけさせまいと通っているふりをしてた。毎朝、お弁当を作らせ、それを目の前でリュックにしまい、普段と変わらずいってきますを言って、玄関を出る。そして携帯で、学校に休みの連絡を入れてから最寄りの図書館で時間を潰し、夕方に帰っていた。主任の勧めで、カウンセリングを受けたときに私が最初に吐き出した内容がそれだった。通学拒否して自分の身を守るよりもとっくに罪悪感が上回っていたんだと思う。この懺悔がきっかけで、再び、クラスに戻る決意を固めた。久しぶりに教室で食べた卵焼きは何故かいつもよりもずっと甘くて、泣きそうになった。