見出し画像

私の光る君へ〜大河「光る君へ」30話・つながる言の葉・雑感〜見逃した方もどうぞ

 1004年夏。宣孝(佐々木蔵之介)の死から3年。
 都は大干ばつ。民の生命はまた危機に瀕していた。
【当時1千万人に満たなかった日本の人口が、加速度的に増えるのは明治以降。炎暑を冷房で凌ぎ、科学の未来どころか、我が命とも向き合えていないことを、古代の祖先にふと恥ずかしく思う。よくぞこの命繋ぎ給う。8月。戦争と貧困と。何もできないまま。】~タイトル~

 内裏も暑い。史実とはちょっと違う、仲良しコンビ、ほっ~
道綱(上地雄介)「帝の雨乞いも効かなかったんだね…」
実資(秋山竜次)「帝が御自ら雨乞いをなさるのは二百年ぶり…」
 右大臣・藤原顕光(宮川一朗太)は、左大臣・藤原道長(柄本佑)に「なんとかせねば」というだけ。公任(町田啓太)斉信(金田哲)もお鬚と汗のダンディズム

 推定83歳の安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)は、引退してしまったらしい。
  まひろ(吉高由里子)の家も水が涸れて、為時(岸谷五朗)はじめ一家呆然。

 清明を自ら訪ね、雨乞いの祈祷を頼む道長。命がけになると、固辞する清明。平身低頭する道長。「左大臣様は何を下さいますか…」という晴明に、道長は寿命を10年与える、と言う。
 清明、渾身の竜神への祈りは長時間に及び、やがて都の上空を黒雲が覆い、雨が降り出す。
 喜び水がめなどに水を受ける、都の民。安堵する道長。
 倒れ伏す清明に、須麻流(DAIKI)は寄り添い、涙する。
【大丈夫…晴明様はもう少し生きます。】

 『枕草子』を手に亡き定子(高畑充希)を思う一条天皇(塩野瑛久)と定子の兄・伊周(三浦翔平)。隣で困惑顔の弟・隆家(竜星涼)。
【隆家は今後の行動でわかるが、活動的な現実主義。過去と死者に囚われる二人とは、合わない❢】

 まひろは、公任の妻・敏子(柳生みゆ)の学びの会で、四条宮の女房達に和歌を講義。ある日、あかね(泉里香}と言う歌人がやって来る。
 人はいさ心も知らず故郷は花ぞ昔の香ににほひける
 紀貫之のこの歌を、劉希夷の漢詩を、元歌としている…などと、まひろが話していると、「先生はいつもそんな難しいことを考えて、歌を作っているの?」と現れ、私は思ったままを歌にしている、と言い、
 声聞けば暑さぞ増さる蝉の羽の薄き衣は身に着たれども
と、歌を詠んで見せる。
 あかねは、恋人の親王様からもらった『枕草子』を持参していて、評判程には面白くない、と言う。
 すると、女主人・敏子も、まひろの『カササギ語り』の方が面白いと言う。
【和泉式部❢出ましたね~うれしいですね~
彼女の歌の凄さは、千年を経てもすらりと意味も含めて、暗唱できるところ。枕草子の趣きは、読むと弾むような楽しさがあるところ。源氏物語の誘いは、読む度に視点が変わり、違う哀愁と出会うところ。こんなに短い時間の狭い空間に、才女たちが集っていた…私はそれを誇りに思うのです。】
 
 内裏では、道長に隆家は「私は兄とは違う…前を向いて生きたい…」と話している。叔父・甥が仲良さそうに、おやつの「蘇」(たぶん、チーズケーキ)を食べている。行成(渡辺大知)は道長に「あの男をお信じになってはなりません」と言うけれど、道長は「疑心暗鬼は人の目を曇らせる」と動じない。
【私見だが、この叔父・甥、DNA的に近いのだと思う。まだ口内に残るお菓子が、いかにも美味しそうに去っていく竜星君。金田君も、後の食事会の雉肉も相当美味しい❢とのこと。NHKの裏方さん、いい仕事してるらしい。】

 賢子に甘い為時。甘やかすなと出かけていくまひろ。心に浮かぶ…
 人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道に惑ひぬるかな 藤原兼輔
【紫式部のひいおじいちゃん~この歌、視点を変えると源氏物語より著名】

 定子の崩御から4年。帝(塩野瑛久)は彰子(見上愛)の下で養育されている、定子の忘れ形見・敦康親王に会いに来るが、彰子とは目も合わせない。几帳の影の、母・倫子(黒木華)も、赤染衛門(凰稀かなめ)先生も、気を揉むばかり。

 まひろは四条宮から帰るところで、酔っぱらって、親王との痴話げんかを愚痴る、あかねにつかまる。
【同じ受領階級の娘で、身分違いの恋を激しく生きるあかねを、うらやましく、好ましく思うまひろ】

 土御門邸では、為時が、道長の嫡男・頼通(大野遥斗)に「群書治要」を教えている。聡明と褒める為時。うれしい道長。
 そこへ、倫子がお願いがあると出てくる。

 清涼殿の帝の前に、行成に書写させた『新楽府』を持って、道長に伴われ倫子が参内する。
 心を開かないのは彰子の方だと言う帝に、倫子は「どうか帝の方から、中宮様のお目の向く方にお入りください。」と言う❢❢横で聞いてる、道長はすごい目で倫子を睨んでいる。
 邸に戻って、諍いする夫婦。
【史実では夫唱婦随の二人。子を思う闇に迷ってすれ違っているだけ。】
 で、またまた道長を呪詛する伊周。
 
 道長は晴明に相談。
「今、あなた様のお心の中に浮かんでいる人に会いにお行きなさいませ。それこそが、あなた様を照らす光にございます」。
【狐の子伝説のある晴明。この場面、老いた白狐のように見えた。】

 教育ママ、まひろ。賢子は却って勉強嫌いに。
 「学問が女を幸せにするとは限らない」と、しれっと言う為時。
「父上が授けてくれた学問が、私を不幸にした事などございません。」「私は賢子には、書物を読んで自分の生き方を選んでいって貰いたいです。」
  そこへ帰ってきた弟・惟規(高杉真宙)にまで
「賢子は姉上のように難しいことを言わない方がいい…女はその方が幸せ…」なんて、言われている。
【まひろの気持ちで6×年生きて、後悔はないが、惟規の言葉が痛い私。】

 湖のような池のある庭園での食事会「羹次・あつものついで」。これは後の平等院になる、宇治の別荘か❓CGだけど(笑)。F4の集いなら、内裏に近い土御門邸より、宇治の方が腹を割って話しやすい。殿上童みたいな少年たちが、たくさん控えているのも普段と違う。
 『大鏡』などでは、公卿たちは互いに尊敬語を使い、自らに謙譲語を使うと、社交界の世界が展開されているが、ここではフリートーク。
 そして、枕草子に対抗できるような物語があれば良い。その書き手の候補として、公任が妻の学びの会に講師として来ている、前越前守・藤原為時の娘=まひろを、推薦。
【源氏物語誕生秘話として、これはあるあるだと、思えます。】

 執筆に没頭するまひろと、寂しそうな賢子。
 学問ばかりを言い、ほとんど構ってくれない母への愛情の裏返しで賢子は、まひろが目を離したすきに、『かささぎ語り』をすべて燃やしてしまう。
 為時は、賢子を家から連れ出し、執筆に集中できるようにするが、親として動揺したまひろの筆は進まない。
 その視線の先に、百舌彦(本多力)だけを連れお忍びでやってきた道長が。

11日はお休みで、18日はいよいよ「いずれのおおんときにか~」。

 

いいなと思ったら応援しよう!