見出し画像

私の光る君へ〜大河「光る君へ」37話・波紋・雑感〜見逃した方もどうぞ

1008年、土御門邸、冬。
 陽だまりに、孫の敦成親王を抱く北の方倫子。
 中宮彰子が、内裏への還御に「藤式部の物語を美しい冊子にして帝に差し上げとうございます。」と提案。賛成する倫子は口元だけの笑い。
【彰子の言葉の前は真の笑顔で、後は能面の笑顔と変化する倫子の表情。はらはら赤染衛門…黒木華さん・凰稀かなめさん、それぞれの配役の妙。】
 
 遡る、11月1日五十日の儀の夜。誰もいない廊下で、道長との仲を問い、言葉のないまひろに「そういうこともわからぬではないが、御方様を傷つけないでくださいね。」と、懐深く告げる衛門。
【少女の頃の倫子とまひろの先生が衛門。倫子が初恋の道長と結ばれ、まひろの看病から帰りしらばっくれる道長に、「殿の御心には明子様以外の女性がいる」と直感した時にいたのも衛門。一番よく見え、まひろの苦しさも察したのかも…】

 道長の後援で、上質の色とりどりの美しい紙が用意され、女房達は楽し気に豪華本制作に取り掛かる。
【 宮の宣旨の「このような美しい紙で文をもらえたら」発言、上質の紙は、貨幣価値では測れないほど入手が困難な時代、文は恋文。】
~タイトル~
 作業の途中、紙や硯・筆などを持って激励に来る、道長・倫子夫妻。
 礼を言う中宮彰子は、前回から水色系の衣装で大人びた印象。
 各巻の書写は、何人かの能書家に依頼される。「桐壺」は三筆であり、帝のお気にいり、行成に依頼。依頼文を書く式部。
 金、銀、紫も織り交ぜられた表紙。拝見してみたい豪華本が完成。

 中宮の還御は、11月17日と決まった。それまでの間、里下がりを願い出る式部。そなたがいないと困ると言いながら、父と娘に会いたいという理由に、自らも母になったので気持ちはわかる、と許可する彰子。
 「衣と、米と、菓子を持って参れ。」
【2年近く里下がりしてない計算になる…平安の働く母は過酷‼】

 大量のお土産。白い米に感動する、いと・福丸・きぬ。10歳になり大人びた賢子に再会するも、微妙な空気が。
 父・為時はまひろの働きに感謝し、式部は賢子を預けっぱなしを詫びる。
内裏や土御門邸の暮らしに慣れてしまった、式部。「なんだかこの家がみすぼらしく見える」という、心の声…】

 白飯をケーキのように盛った夕餉、頂いてきた酒でまひろは酔い、「五十日の儀」の無礼講の贅沢を語り続け、使用人たちは笑顔を失う。為時は「我々のような貧しき者には縁のない話だなぁ」と言う。惟規「姉上飲みすぎ❣❣」。
【芥川龍之介『羅生門』の世界は、この年ではなくとも、庶民には近い事実。末摘花の貧しさを描いた彼女が、こういう酒癖だろうか?!】
《間に、赤染衛門に藤式部の不在を尋ねる道長。エモンのモノ言う目。》
 夜半、まひろが筆を取り書いたのは「罪」「罰」(源氏物語後半のキーセンテンス。)
 
賢子が遠くから見ている。【かささぎ物語を燃やした時と本心は変わっていない賢子。】

 (ところが)まひろ式部はすぐ土御門邸に呼び戻される。
賢子「一体、何しに帰ってこられたのですか。内裏や土御門殿での暮らしを自慢するため?いとや乙丸も、変な顔をしてました」
まひろ「賢子の顔が見たいと思って帰ってきたのよ」
賢子「母上はここより、あちらにおられる方が楽しいのでしょう?」
為時「おまえの母は働いて、この家を支えてくれておるのだぞ」
賢子「では何故昨日のようなお話をするのですか。お菓子をたらふく食べたとか。母上が嫡妻ではなかったから、私はこんな貧しい家で暮らさなければならないのでしょう!」
為時「黙らぬか」
まひろ「私は、宮仕えをしながら高貴な方々とつながりを持って、賢子の役に立てたいと思っているのよ」
賢子「嘘つき。母上なんか大嫌い!」
まひろ「すっかり嫌われてしまいました」
為時「おまえがいない間、あの子の友は、書物であった。おまえによく似ておる」賢子は、道端で涙。
【働く母だった身として、全て耳が痛い…省略できない…】

11月17日  紫式部日記によれば夜更けて、中宮は藤壺に戻った。
(だから、場面は翌日かなと)
 敦康親王が飛んできて、弟・敦成親王を見る。「可愛がってくださいませね」という中宮の言葉に、「中宮様が私を可愛がってくださるなら」と答える。
 お渡りになった帝に、33巻の豪華本を献上。発案が中宮と聞き、意外な顔で礼を言う帝。
 式部に励めよ、と言う一方で、藤壺での朗読会を提案する帝。
朗読会って?!声に出して…?!あれとか?それも?】
 
 音読会。蛍の巻・物語論。(8/17の拙文・番外編参照)読み手は宰相の君。
斉信「今、日本紀よりも物語を持ち上げたのか?」
公任「帝がお読みになるとわかっていて、よく書けたものだ」
行成「お声が大きうございます。」
 行成を窘めるように発した帝の賞賛の言葉が、式部が嫌がるあだ名の原因となる。
「女ならではのものの観方に、漢籍の素養も加わって、これまでにない物語になっている。藤式部は、日本紀にも精通しておるしな。」
【人類史上と名を冠される源氏物語。凄い内容で、逆風も大きい。左衛門の内侍も千年後まで、有名人に.】

 新たな皇子の誕生に焦った、伊周の叔母・高階光子、義兄・源正理が、伊周を急き立てている。焦るな、わかっています、お黙りを、と答える伊周。裏では、相変わらずの、呪詛。【もはや恒例】

12月30日 大晦日 内裏《ここで『若菜』を書き始めたかな》
 藤壺で悲鳴。駆けつける式部。なんと内裏で強盗。凛々しいのは、母になった中宮。自ら、追剥に会った女房達に、内桂を持ち出し与えている。
【前回までとは、打って変わった中宮・見上さんの威厳ある声と態度】

 大晦日。追儺の行事がある。鬼と方相氏が練り歩く内裏付近。これと行き当たりそうになって群盗は、盗んだ着物を捨てていく。不可解。
【方相氏?!新顔登場。】

1009年 元旦(たぶん?)
 駆けつける道長。落ち着いている中宮から「藤式部が駆けつけてくれました」と聞き、式部の局に礼に行き、「敦成親王は次の東宮に立たれるお方、よろしく頼む。」と口走る。中宮の敦康親王への思いを知る式部は、呆然とする。気づかず去る道長。
【気づいているのかも…柄本道長、あっ言っちゃったみたいな顔にも見える。】

 
1月7日  内裏 藤原伊周、正二位に加階。
 帝の前で、「私は第一皇子敦康様の貢献。左大臣様は第二皇子敦成様の貢献。」と言葉に出して言う伊周。
【結局こうやって、敦康を追い詰めていることに気づかない…その母定子の時と同様に。】 

同日(だろう)
 道綱・実資コンビ。実資は「次の東宮は敦康」という帝の意思の強さを感じている。
 公任は、伊周の弟・隆家に「俺も、斉信も、行成も、道長を支える覚悟だ。そなたにその心があるか?」と問うている。「もちろんにございます。」と隆家、二心はないだろうが、兄思いである。どうする…
 為時は、従五位下から正五位の下に加階。すぐ式部に知らせに来る惟規。

 道長から贈られた扇を見るまひろ式部を、ききょう納言が訪ねてくる。

次回もフルキャスト。大忙し。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「光る君へ紀行」は、近江紫野。
あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る 額田王
紫のにほへる妹を憎くあらば 人妻ゆゑにわれ恋ひめやも 大海人皇子
大好きな場面の絵と歌が紹介されたので、天武帝の歌を添えて。


いいなと思ったら応援しよう!