かんちゃん、しんちゃん。かくれんぼ。創作話
かんちゃんは、明るくて、よく喋る、よく動く、困ったことは、時々カンカン怒ること。
しんちゃんは、物静かで、おとなしく、困ったことは、よく引きこもりにシンシンと泣いていること。
かんちゃんとしんちゃんは、どうしてこうも違うのかしら?同じママから産まれてきたのにね。
「かんちゃん、もう、うるさ過ぎ、口にガムテープでも貼っちゃうぞ!」
それに引き換え、「しんちゃんはどうしたいの?ちゃんと言わなくちゃ、わからないよ。」
「かんちゃん、もうお願いだから、そんなに関心ばかり持たないで、あちこち手を出して疲れちゃうよ。」
「しんちゃんは、寝てるの?起きてるの?どうして泣いてるの?」
かんちゃんは、すぐに遊びに行っちゃて、何をやらかして来るのだか、とても心配。
しんちゃんは、ほとんど家に引きこもりが心配。英会話の勉強をしているのは感心してるけど。
2人は、シーソーが大好きで、上がったり、下がったり。上がったり、下がったり。
風のなみに乗って、夕焼け小焼けのチャイムが聞こえたら、お家に帰る時間だよ。
「ただいま、今日のご飯はなあに?さっき公園でさ。」とずっとお喋りが止まらない。ご飯の時間になるまでに、宿題をやらなくてはと机に向かう。「お!頑張ってるな!感心!感心!」とちょっと褒めてあげようとしたら、もうゲームをやっている。あら、漫画本も広げてあって、冷蔵庫も開けに来てたかと思ったら、もう子犬のゆめちゃんと遊んでる。「ママ、ベランダの風がさやさやしているよ。」と言ってたと思ったら、なお、みかんが食べたいと言い出す始末。なし、えだまめもつまみぐい。「おー。それはパパの分だったのに!」
「あら、なんでみずきち屋さんのあんパンの袋がここにあるの?えー買い食いもして来たの?お小遣いももうなくなった?新作本を買うはずじゃなかったの?」
ママは、どんどん頭に血が上ってくる。アホ!の息子で大変じゃい。
「あら、いつ帰ったの?よっちゃんと遊んでたの?ただいまぐらい、言いなさい。宿題は?え!もう終わってる。それは感心!感心!」
あら、お部屋に入ったきり、出て来ない。もう布団に入っちゃったのかしら?とママは急に心配になって、覗いてみたら、やっぱり当たり。でも、最近関心を持った英会話の勉強をしてた。計画性はないけれど、ボーと寝込んでいるよりはいいし、まだ小学生なのに、感心な子だな。
「ただいま、今日はケーキを買って来たよ。」とパパの声。
箱を開けると3つのケーキ。「今日はどっちなの?」「かんちゃんだよ。」とママが言う。
「そうか、じゃあいつものように、3人で食べよう。」
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