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ダメ男の野球こぼれ ♯26 ~価値ある2勝1分~
今週の阪神は3勝1敗1分。ま、たしかにたった勝ち越し2ですが、週末の巨人戦は本当に、勢いを吹き返した、と言える内容でした。
とにかくね、もう、ずーっと阪神の調子は悪かった。いや正確に言えば調子の悪い選手が多すぎた。まさしく「どうしようもない」って感じで、先週書いたように、そりゃあ3位に転落するわ、というようなチーム状態だったんです。
一方巨人はというと、メチャクチャ勢いがあるわけでもないけど、何というか<着実>としか言いようがなくて、直前のヤクルトとの直接対決を2勝1分で乗り切っている。しかも菅野が復活のピッチングをしたり岡本が打ちまくったりして、たぶん「これで行ける」というような手応えを掴んで甲子園に乗り込んできたはずなんです。
今までのっつーか、例年までの阪神と巨人が首位争いをしている中での9月の直接対決って、たいてい、巨人の一方的な展開で終わっていた。阪神ばかりが息巻いていて、でも勝てずに終始余裕を持った巨人が阪神を叩き落とすって構図になっていた。
しかもチーム状態は巨人は首位固めをするのにベストな「軽い上昇気流」で阪神は「最悪」と、もうやる前から結果が見えていたというかね。
アタシもおそらく、甲子園で希望をへし折られて、月末の東京ドームに一縷の望みをかけるんだけど、でも結局は絶望させられるんだろうな、と本気で思ってたんです。
ま、大局的に見れば実力なんだけど、この大事な時期にチームがこの調子なのは、やっぱり運の要素が大きいんですよ。何でこんな、選手個々の調子がこんなに悪いんだ。いくら強運の矢野とは言えこれで勝てという方が無理だ。事実、中日との初戦は「あーあ」としか言いようがない試合内容だったし。
流れが変わったきっかけは中日との2戦目です。
あの試合で殊勲打を打ったのは大山でしたが、マジで何でこんなに酷いんだ、と思えるほどの打撃内容で、あの打席も打てそうな雰囲気が微塵もなかった。
3ボール0ストライクになってね、アタシは「歩け!」と思っていた。だって打てそうにない大山が出来るのは四球をもぎ取るくらいが関の山だと思っていたから。
ところがあのカウントから大山は強振した。バットが真っ二つに折れた。打球はフラフラとライト線に飛んでいき、福留の前でポトリと落ちた。
あのカウントから大山が「打った」ではなく、振りにいったこと、これが勢いを取り戻すきっかけであり、しつこく言われている「打順なんか関係ない。とにかく大山が打てば勝つ、打てなければ負ける」チームなんだと言うことが再確認出来たのです。
そのせいか、チーム状態は最悪なはずなのに、しかもここで巨人にやられたら終戦ムードさえ出てくるというのに、不思議と重い空気はなくて、むしろシーズン序盤のイケイケが帰ってきた。
戦力で言えば、何故か急激に中継ぎが整備されたのが大きい。岩貞の復調と小川一平の台頭で僅差ビハインドが突然強くなった。
アタシがこないだ、もう今年はしんどい、と書いた西も、広島戦の最後のイニングから突然調子が戻った。まだ完全ではないけど試合を作れる程度には戻してきた。
打線で言えば(アタシがこないだ、以下同文)糸原が謎の復調を遂げたのが大きい。
でもやっぱり大山です。とくに巨人との2戦目のサヨナラ2ランは相手に与えたダメージを鑑みても阪神の球団史に残るような大仕事だったと思う。
アタシは「大山は4番に戻せ」派です。いやもう、大山に打順なんか関係ない。別に4番にしたから打てなくなるタイプじゃないし、どうせ大山にチャンスが回ってくるんだから。
というか4番になってマルテがしんどくなった。あれこそ打順のせいで、やっぱりマルテ3番、大山4番がピッタリくるし、近本の1番を含めて「誰も打順のせいで調子を落とすことがなくなる」と思うのです。
本当は中野の、あの場面で「スライダー一本待ち」をするっていう、とてもルーキーとは思えない勝負根性の話も書きたかったけど、それはまた今度。