現代人の脳は原始人と変わらない~【書評】進化心理学から考えるホモサピエンス~
こんにちは。
ヤブハニと申します。
39個目の記事です。
最近、夏の割に涼しいですね。夏はやっぱり暑く会ってほしいっすね。
暑いとまた文句言うけど。。。笑
本日は初めて書評に挑戦してみます。
記念すべき1回目は、『進化心理学から考えるホモサピエンス』を選びました。
この本は、進化心理学という学問を起点に私たち人間が普段何気なくしている行動をなぜ行うのかという疑問を紐解く内容です。学問の性質上、性が絡む話も多く、多くの人に興味深く感じてもらえると思います。
この本の結論をお伝えした後に、面白いと思った内容をシェアしていきます。そして最後にまとめとして私の考えを述べていけたらと考えています。
現代人の脳は原始人と変わらない
この本の結論をはじめにお伝えします。
結論は、現代人の脳は原始時代から変わっておらずそのことにより、あらゆる欲求や事象が説明できるということです。
異性の好みや世間で起きる事件などが進化心理学という観点から説明ができます。
具体的な中身に入る前に、筆者が繰り返し強調しているポイントで、この本を読むにあたりとても重要な点があります。
それは、進化心理学はあくまで事実を伝えるのみだということです。
そこに、解釈を挟んではいけません。
この本で書かれている内容は、現代の倫理観からすると到底受け入れ切れないと思うような内容もあります。しかし、それは進化心理学という学問から見た「事実」なのであって「良し悪し」の問題でないということです。
あくまで、事実として受け入れて自分がその上でどう行動するかが大切です。それでは、具体的な内容の紹介をしていきます。
そもそも進化心理学とは
そもそも進化心理学とは、進化によって形成された心理メカニズムを研究する学問です。かみ砕くと、人類が進化する中で、自らの子孫を残すために獲得してきた心の動きや反応です。
私たちの体は、種を残すために進化してきました。
二足歩行となったり、目や口、耳を獲得したりと生き残るための進化の結果が現代人の体です。
身体が進化するのと同じように、心も生き残るために変化してきます。
そして心の変化は脳に現れます。
例えば、甘いものが好きな人が多いのも進化心理学で説明できます。
人類の発展の歴史のそのほとんどでカロリーは十分に取れる状況でありませんでした。
そのような状況では、甘いものが好きと感じる種のほうが栄養摂取の状況がよくなり生き残ることができます。結果的に、甘いもの好きの遺伝子を持つ種が現代に多く残ったのです。
このように、進化心理学は進化の過程で我々が獲得してきた心理的な特徴を研究する学問です。この本では、特に「性」や「家庭」に重きを置いた解説がされています。
進化心理学から紐解く異性の好み
男性の女性の好みには、一般的とされる特徴がいくつかあります。
例えば、若さ、長い髪、巨乳などです。
なぜ男がこれらの特徴を持つ女性に惹かれるのかは、すべて進化心理学で説明ができます。
まずは、想像つきやすそうな若さから説明します。
男が若い女性を本能的に好きなのは、より多くの子孫を残すことができるからです。
若い女性は、未来にわたって生むことができる数が多い且つより安全な出産をすることができます。進化の過程で男は、この特徴を学んでいきました。その結果、自分の子孫を残すために脳に若い女性を好むようにインプットされていったのです。
そしてサバンナ時代から継承されるこの特徴は、現代人の感覚にも引き継がれています。
また、他の一般的とされる女性の好みもこの「若さ」を起点に説明することができます。
例えば、長い髪が一般的に好まれるのは、それが若さを判断する基準となるからです。
現代のように免許証などで女性の年齢が判断できなかったサバンナ時代では髪が免許証の代わりを果たします。
我々の祖先の環境下では、不健康で若くないときに髪のつやを保つことは非常に困難でした。そのため、髪のつやは若さを判断する恰好の手段だったのです。
髪のつやが無くなってきた女性は、わざわざ不健康さをアピールする必要がないため、紙を短く切るのもこれが理由です。(現代のおばあちゃんですね。)
よって、私たちは、髪の長さを若さを判断する材料としてきました。そのため、長い髪が好きなのです。
また、巨乳好きが多いのも「若さ」を起点に説明できます。
私たちの祖先は、基本的に裸で生活を送っていました。
そのような状況下で張りのある巨乳は、あきらかな若さを証明できる1つの指針でした。
●若くて胸が小さい⇒歳をとっていても垂れない。そのため、若さの判断ができない。
●若くて胸が大きい⇒垂れていない。そのため、明らかな若さの判断根拠となる。
●歳を重ねて胸が小さい⇒歳をとっていても垂れない。そのため、若さの判断ができない。
●歳を重ねて胸が大きい⇒垂れている。そのため、若くないことが判断できる。
以上のような論理により、若さを判断する手段として巨乳を我々の祖先は求めてきました。
最後に、やや蛇足ですが男がAVを見て、興奮し、女性はAVがあまり好きでない理由も進化心理学で説明ができます。
男は、基本的に多くの女性と性交することを望みます。
そのため、見ず知らずの女性にも基本的には興奮します。
加えて、私たちの脳は、映像を映像であると判断できません。
そのため、脳としてはAVの画面の先で裸になっている女性がいま自分の目の前にいるのか画面の先なのかを判断できないのです。
見ず知らずの女性にも興奮でき且つ映像と現実を判断できないという合わせ技が男たちをAVに夢中にさせます。
映像を映像と判断できないって面白いですよね。
確かに冷静に考えると、映像の女性を見ても、繁殖できるわけでないので勃起するのはおかしな話です。
勃起は性交し、繁殖するための獲得してきた機能です。それが発揮されるのが、繁殖できないタイミングというのは脳のバグなのかもしれません。
一方、女性は見ず知らずの男性と性交するリスクの方が高いです。一生で、産むことができる子供の数が限られているからです。
そのため、知らない男性の性の現場であるAVを見ても興奮しません。
進化心理学から紐解く家庭
進化心理学は、現代の家庭で起こる様々な事象も説明をしてくれます。
なぜ女性は宝石が好きなのか。そこにも理由があります。
進化心理学的には、宝石を自分に買ってくれることは、自分に対して投資してくれていることの証明となるため女性は宝石を好むと考えられます。
高級車や家などは、実用性を伴うため男が自身のために買っている可能性が否定できないです。一方、宝石には実用性はないため、純粋に自分への投資として受け取りやすいです。
子どもを育てて種を後世に残していくために、父親がどれだけ自分に投資してくれるか判断するための材料として宝石はうってつけなのです。
また、ダメな母親よりダメな父親が多い理由も進化心理学で説明ができます。それは、父性の不確実性からくる家庭へのコミットメントの低さ、1人の子どもの重要度により説明することが可能です。
男性は、今目の前にいる自分の子どもとされている人間が本当に自分の子どもなのか究極的に分からないです。そのため、家庭を大切にするモチベーションが女性より働きにくい傾向にあります。
また、男性は理論上何人でも自分の子どもをつくることができます。
一方、女性は生涯に持つことができる子供の数は限られています。
そのため、目の前の子どもの重要性は女性の方が高く、子供や家庭を大切にする傾向が高くなります。
まとめ
面白いなと思った内容をまとめてきました。
他にも、男女の身長差やDV、政治についても本文では触れています。
是非、一度読んでみると面白い発見があると思います。
これを読んで私が感じたこととしては、目の前の欲求には理由がありその背景を理解することでコントロールすることができる時があるということです。
どうしても衝動に駆り立てられることは人生ではよくあると思います。
そのような状況でも、これは進化の結果得たもので現代社会ではあまり意味をなさないことだと理解できれば、少しは落ち着いて行動できるようになるのではと感じました。
本日も最後までありがとうございました!