お金でなく、衝動で動く時代が来た~【書評】ビジネスの未来を読んで~
こんにちは。
ヤブハニと申します。
40個目の記事です。
最近草野球へのはまり具合が増しています。
スラッガーのグローブを買い、湯もみに出しました。湯もみなんて久しぶりでワクワクします。
さて、本日は2度目の書評に挑戦してみます。
山口周さんの「ビジネスの未来」を選びました。
この本は、資本主義の限界を説くとともに、じゃあどうすればいいのかというアクションまで詰まった本です。
この本の結論をお伝えした後に、面白いと思った内容をわたしの言葉でシェアしていきます。そして最後にまとめとして私の考えを述べていけたらと考えています。
【結論】お金でなく、衝動で動く時代が来た
この本の結論をはじめにお伝えします。
結論は、物質的に満たされた今、お金でなく、衝動で動く時代が来たということです。
お金を稼ぎ、物質的に満たされていく世の中は限界を迎えてきています。
そのため、自分の中に眠る衝動に素直に生きていく時代になってきています。なぜそのように言えるのか、どうしたら良いのかについて書いていきます。
もうGDPは成長しない
衝動で動く時代になっていく理由として、筆者はGDPの成長が天井であることを主張しています。
GDPの成長が天井であることを説明する前提として2つのことを理解いただく必要があります。
・我々は、物質的欲求に関する不満を解消するためにビジネスをしてきた
・GDPは、物質的欲求に関する不満の解消をできているかを測る指標である
【我々は、物質的欲求に関する不満を解消するためにビジネスをしてきた】
我々人類は、なぜビジネスに勤しんできたのでしょうか。
答えはずばり物質的欲求に関する不満を解消するためです。
これを説明するために、筆者はパナソニックの創業者である松下幸之助の水道哲学を引用しています。
水道哲学を簡単にまとめると、生産者は、生活物資が水道の水のように無尽蔵にあふれる世の中を作ることが使命だということです。
まさに、物質的欲求の不満を解消するために松下はビジネスをしてきたわけです。
そしてこれは、何もパナソニックに限った話ではないです。物資を無尽蔵に出し続けることを前提に全てのビジネスは遂行されてきました。
そして気づけば、身の回りはほとんどがビジネスによって成り立っています。
今部屋の中にあるものは、ほぼビジネスという手段によって製造され、運搬され、部屋の中にあるのではないでしょうか。そもそも部屋自体がビジネスによってつくられています。
我々人類は、生活物資を苦労なく手に入れることができる世の中を目指すために、ビジネスを続けてきたのです。
【GDPは、物質的欲求に関する不満の解消をできているかを測る指標である】
我々は、GDPを国力を測る指標として利用しています。
そしてGDP成長率が高いことを良いこと、GDP成長率が低いことを悪いことと決めつけています。
しかし、本当にGDPが低いことは悪いことなのでしょうか。
そもそも、GDPは何を測っているものなのでしょうか。
GDPは、世界恐慌下のアメリカで開発された指標です。
その背景には、恐慌からどれだけ回復しているかを知るために、どれだけモノを作ることができるか知りたいという政府の思惑がありました。
つまり、恐慌からの回復を測るための手段として、どれだけモノを作ることができるかという指標としてのGDPを導入したのです。
そうまさしく、物質的欲求に関する不満の解消がどれだけされたかを測るための指標がGDPです。
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この2つを前提に、現代を考えてみます。
現代は、生活物質に溢れています。
むしろ大量廃棄すら問題になっています。
そう考えると、ビジネスをする目的である「物質的欲求の不満を解消」という目的は明らかに達成されているのではないでしょうか。物質的欲求が満たされているとなると、市場は拡大しないため、構造上もうこれ以上モノを作ることができません。
そうすると、GDPというモノをどれだけつくることができるかという指標は当たり前に成長しないのです。
にも拘わらず私たちは、GDPが成長しないことを憂慮しています。
しかしながら、GDPが成長しないことはモノをたくさん作ることで、ビジネスをし、お金を回すことで社会を豊かにするという構造自体が限界に達していることを示唆しています。
資本主義で解決できる問題は全て解決された
筆者は、資本主義は問題解決の手段として限界を迎えていると主張しています。
本書の中でそのことをマトリックスを利用して説明しています。下記に、引用させていただきます。
図の説明をします。
縦軸は、問題の難易度です。
例えば、風邪薬をつくるのと、希少な難病の薬を作るのでは後者の方が難易度が高いです。
横軸は、問題の普遍性です。
例えば、先ほどの例で言うと、風邪薬を作る方が普遍性は高いです。
そして線は、経済合理性限界曲線と呼ばれるものです。
難易度と普遍性にプロットされた問題を解決したときに、経済的に損するかどうかを表した線です。
この線の内(右)側にプロットされる問題は、解決した時に経済的に得をします。一方、外(左)側にプロットされる問題は、解決したときに損をします。
この図は、問題の普遍性が低く、難易度が高い問題を解決しても儲からないことを端的に示しています。例えば、先ほどの希少な難病の薬を作っても儲からないことがいい例です。
そもそも、資本主義は資本(=お金や資産)を増殖させることを目的としています。資本が増えないのに、問題に取り組む意義は資本主義下ではありません。
そのため、資本主義は先ほどの図の内側にプロットされる問題に対しては非常に強いです。とても効率的に問題を解決していきます。その結果、内側にプロットされている未解決問題は、現代ではほぼ残っていません。
その証拠に、新規にビジネスをすることは非常に難しくなってきています。また、ゼロサムゲームにもなっており、市場の創出が非常に難しくなってきています。
ここで、資本主義下では得をしないから誰も手を付けない外側にプロットされた問題をそのままにしておいていいのかという問題が生じます。
筆者はもちろんNoだと答えます。人間が人間らしく生きていくために、こうした問題を放置しておくことは恥ずべきことだと主張しています。
それではどうしたらよいのでしょうか。
ベーシックインカムをインフラに、やりたいことをやり、共感することにお金使う
筆者はこれからどうしたらよいのかという問いに3つの結論を出しています。
・やりたいことをやる
・共感することにお金を使う
・ベーシックインカムを導入する
【やりたいことをやる】
これからの時代は、やりたいと思ったことをそのままやることがとても大切です。やりたいという自分の衝動に耳を傾けそれに傾倒していくべきです。
そしてそのやりたいと思ったことから得られる報酬に目を向けるのではなく、やりたいと思ったことそのものから得られる精神的報酬で心が満たされていく世の中を目指していくべきです。
やりたいことがない人は、毛嫌いせずとにかく何でもやってみることが大切です。やってみることで、新たな衝動が生まれてきます。
そしてその衝動が、外側にプロットされた問題を解決するタネとなっていきます。
【共感することにお金を使う】
これからは、共感することにお金を使うことがとても大切になります。
本書の中で、「消費は選挙」という言葉が出てきます。
これは、消費しているということはそのものが今後も残っていくことに投票しているのと同じだということです。裏を返せば、消費しなかったものは世の中からなくなってもOKと言っていることに近いです。
この意識を持ち、自分がいいと思ったモノやコトにお金を使っていくことが非常に大切です。これにより、外側にプロットされた問題に対してお金を使い解決していくことにもつながると筆者は主張しています。
【ベーシックインカムを導入する】
詳細は割愛しますが、やりたいことをやって共感することにお金を使うためには筆者はベーシックインカムが必要だと主張しています。
最低限の生活を保障されている前提に立たないと人間はそうした行動ができないからです。
まとめ
『ビジネスの未来』をまとめてみました。
個人的な感想としては、主張は納得できるけど、壮大すぎると思いました。
その中で自分はどうしようかと考えてみました。
・今の仕事が楽しいうちは、資本主義の中で今の仕事を続ける
・消費は選挙の意識で、いいと思ったものを買う
私は今スタートアップで働いています。とにかく楽しいです。
前から思っていたのですが、資本主義という枠の中で成果を出すことはゲームみたいな感覚でとても楽しいです。
資本主義の限界には納得しつつも、楽しいという衝動に基づきしばらくは今の仕事をしたいと思います。そして色々な経験をしていくうちに、たまたま衝動を感じるものが外側にプロットされた問題であれば、その問題に取り組みたいと思います。
そうした一歩引いた感覚を持つことができたのが本書を読んでとてもよかったと思った点です。
また、消費は選挙についてはやるだけです。
買うときに、本当にこのモノを未来に残していきたいか、コンセプトに共感しているかということをより意識していきたいと思います。
この本とても面白かったので、是非読んでみてください。
紹介しきれていない部分も多いです。
本日も最後までありがとうございました!
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