組織の透明性やフィードバックの活性化にスキップレベル1on1の導入ガイド
こんにちは。HR領域の仕事をしている薮田(yabucccchi)と申します。
みなさんは、会社組織において、スキップレベル1on1を実施されたことはありますか?
1on1は、様々な書籍やブログで語られていますが、スキップレベル1on1についてあまり言及されたものがなかったのでnoteを書いてみました。
スキップレベル1on1とは簡単にいうと、上位の管理職が自分の部下を飛び越えて行う対話で、組織内のコミュニケーションと理解を深める手法のひとつです。
個人的には、チーム内の透明性の向上や、フィードバックの活性化に効果的だと思っていて、とてもおすすめしています。
面談の基礎的な手法や心構えも含めてノウハウ等をご紹介します。
スキップレベル1on1の準備
内容を理解しやすくするため、スキップレベル1on1を実施する上位管理職をAさん。1on1の対象者をCさん。Cさんの上司であり、Aさんの部下である中間の方をBさんとしてお話します。
関係者と目的の認識を揃える
スキップレベル1on1の実施目的を考える上で2つほど重要だと思っていることがあります。
1.ポジティブ、ネガティブ両面のフィードバックを意識。できればポジティブ多め。
フィードバックと聞くと、ネガティブフィードバックに思考がいきがちです。そうなると「ネガティブフィードバックは苦手なのでやりたくない」「今ネガティブなことは無いのでやらなくてよい」となります。
人はネガティブな部分をカイゼンすることも大事ですが、良い面を伸ばす方が効果的に成長します。「スキップレベル1on1を実施することがBさんにとってもCさんにとってもプラスになるよ」という認識を揃えると、ポジティブサイクルがまわる関係性を構築していけると考えています。
よく見聞きするのが、「課題がなくなったからそろそろやめよう」という状況。短期的な成果のためであれば正しい判断なのですが、長期的な人材やチームの育成を考えると、良いところを伸ばすことをより引き出す施策として活用していただくのが良いと思います。
2.本人に話したことを公開することを前提とする
関係性において本音をお互いに話せるのがベストな状態。スキップレベル1on1は、そこに行き着く上でのサポートと捉えてください。
1on1は本音を話しやすくするために、2人だけの話にするルールにする方もいらっしゃいます。一方でスキップレベル1on1はあまりクローズドな内容にすることはオススメしていません。ここを誤ると透明性どころか、逆にクローズになっていくので扱いは要注意です。
スキップレベル1on1を実施した際に、「実はオフレコで相談したいことあがり、、、」という話題になれば、それはそれでオフレコにしてOKです。スキップレベル1on1を終えて、改めてトラブル解決に向けて進めていくと良いでしょう。
お伝えしたいのは、「何かトラブルがないかの監視のためにスキップレベル1on1をやるよ」とするのは、ネガティブな話題にテーマが進んでしまうので、注意が必要です。
面談をする方向けガイドライン
参考までに、トークスクリプトをご紹介しますが、その前に大事なことを1つお伝えします。
トークスクリプトに引きずられすぎないこと
面談実施前にトークスクリプト・設問を作っておくと便利です。ただ、設問通りに進められるほど人の思考は簡単ではありません。1つの設問に対し深く掘っていったり、そのときの相手の表情、感情、回答内容を伺いながら設問
を変えたり、省略したりするスキルが必要です。
また、トークスクリプト通りに進めることが目的になってしまい、本来やるべき傾聴ができなくなる恐れがあります。
少し脱線するのですが、私が学んできたコーチングの世界では、傾聴の3つのレベルという考え方があります。レベル1は内的傾聴(相手ではなく自分に焦点があたっている状態)、レベル2は集中的傾聴(目の前の相手に集中している状態)、レベル3は全方位的傾聴(相手だけではなく、その周辺の状況など俯瞰的に感じ取れている状態)と言われてます。
詳しくは検索すると出てくると思うので割愛しますが、話を戻すとトークスクリプトに集中すると、相手ではなく自分やスクリプトに集中するのでレベル1の段階になりがちになります。
一番大事なことは目の前にいる人に向き合うことです。
【参考】トークスクリプト
では、どのように引き出すのか。スキップレベル1on1用ではないのですが、便利で有名な設問があります。
対象者がしていることでこのまま続けて欲しいこと一つは何か?
対象者が今してないことでもっとした方が良いと思うこと一つは何か?
あなたがより高いパフォーマンスをあげるために、対象者ががすべきことは何か?
見たことある人も多いですよね?この設問は本当に便利です。
How Google Worksでも書かれている、有名な設問です。書籍「企業文化をデザインする」の著者@tommygfx90さんも以前、ご紹介されていました。
私は、面と向かってものごとをいいづらい日本人のキャラクターを考慮すると、この設問をスキップレベル1on1で活用することがちょうど良い気がしています。
他にも、アシミレーションでも似たような設問が活用されています。
対象者の良いところ/続けてほしいこと
対象者にカイゼンしてほしいこと
アシミレーションについては以下の記事が参考になるので良かったら読んでみてください。
この問いかけであれば、Cさんが動きやすくなるためにBさんにやってもらいたいことをうまく引き出せるし、AさんがBさんにフィードバックする際にもポジティブに伝えやすいフォーマットになっていると思います。
最後に
私は、スキップレベル1on1を強制で実施している企業に勤めたことはありませんし、自分が人事施策を進める上で強制したことはありません。それは扱いも難しいしそれなりの労力がかかるからです。
スキップレベル1on1は、まだまだやって当たり前の文化ではありません。1on1の時間も必要ですし、面談テクニックもある程度必要です。
とはいえ、おすすめしたくnoteを書きました。
組織の人間関係を構築していくことと、人材育成の観点でとても有効な施策の1つではないかと考えています。もし、実践したことない方がいれば小規模のスタート、ミニマムスタートからはじめてみると効果的かもしれません。
ぜひぜひ、参考にしてみてください。
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