読書「定本 トランジスタ回路の設計」 CQ出版社 鈴木雅臣 著 教えることは最大の学び
今回は、回路設計を学ぶことと、教えることについて書きます。
20年ぐらい前のこと、”コルピッツの発振回路”の設計でハマったことがあります。大学の教科書にもでているトランジスタ一石の回路なのに、設定した発振周波数が300MHz以上と高かったので、どうしても、安定に動作しなかったのです。
高い周波数の発振回路は、SPICEシミュレーションがやりにくい回路で、やみくもに容量と抵抗の値を変えるやりかたでは、安定点は探れません。いろいろ、調べて、問題解決のヒントに辿りついた本がこれでした。教科書レべルの回路を実際の回路に展開する方法と、安定性の考え方が分かりやすく書いてあり、飛びついた感じで購入して読みました。著者の鈴木雅臣さんの説明のうまさ、教え方(伝え方)がすばらしいです。アナログ回路設計者の多くが、この人の本で学んだのでは、ないかと思います。
鈴木雅臣さんは、高級オーディオメーカのアキュフェーズ株式会社のエンジニアで、現在は代表取締役社長になられてますね。
勤務していた職場では、若手が新人教育を担当していました。最初は自部署の新人、その内に、関連部署の新人も対象にして、年々、本格的に取り組みました。私も初期のテキスト作成などに関わってますが、教える前提で回路を見直すことで、分かってないことが明確になり、参考書を読み直したり、疑問点をシミュレーションで確認して、たいへん勉強になりました。
”教えることは最大の学び”はなんにでも通じます。誰もが、鈴木さんのように、なれるわけではないが、つねひごろ、忘れないでいたいです。