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読書「求道の越境者・河口慧海-チベット潜入ルートを探る三十年の旅」根深誠著 中央公論新社 アジアの辺境に身も心も捧げる人の生き様
1 本書
作家で登山家の根深誠さんが生涯をかけて取り組んきた、河口慧海の足跡を探る活動を記した本です。最後に残った謎、ネパールとチベット間の国境を越えたルートを探し当てるまでの日々、苦労の数々、少し回りくどい感はありますが、私には感動のドキュメンタリーでした。文中のそこかしこに、等身大の根深さんが見えるのが私好みです。
・70歳を越えて、ネパールの長年の友と同じペースで歩け
なくなった嘆き
→ 山に登っている人なら、誰もが共感するはず
・チベット側の国境に対する中国政府の方針と、現地の
管理者の態度への怒り
→ 体制により自由を奪われことへの怒り、世界中の
誰もが直面する課題です
・ネパールでのスマホの普及に驚く様
→ 近所にいる高齢者と変わらない姿に、ほっこり
しました
・現地でお酒を酌み交わす、時に飲みすぎて二日酔い
→ これがないと、言葉が十分理解できない時に
コミュニケーションできないでしょう
2 本書との出会い
駅前書店で見て読みたくなりました。沢木耕太郎さんの『天路の旅人』新潮社(2022年10月)も、気になったのですが、どちらか一冊選ぶとして、これを選びました。
3 アジアの辺境に身も心も捧げる人の生き様
根深さんは、かつて、白神山地の林道開発に反対して、その阻止に貢献した一人です。その関係の本を何冊か読みました。その後の世界遺産登録に関しては、登山者の入山規制に異を唱えており、すごく共感しています。私が白神山地の沢を遡行した時は規制を一部、意図して無視しました。
本書の強みは、現地に足を運び、現地の人と触れ合った体験が伝える、アジアの辺境に身も心もささげる人の生き様です。調査をしながら、自らの資金で現地に橋を造るプロジェクトを進めていたことを本書で知りました。
写真はヒマラヤ、ネパール文化圏を見たくて出かけたインドのダージリンで撮ったもの。カンチェンジェンガの麓を歩くトレッキングに参加の予定が、ひどい下痢で動けなくなり、小高い丘で三日ほど、ごろごろしてました。根深さんの活動は、私には到底無理です。
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バックの山はヒマラヤの一部、この先にカンチェンジェンガがある
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