スマートニュースグループに参画した件について
私がCTOを務めていた会社、株式会社ジオロジックは、実は2021年10月より、スマートニュースグループに参画していました。
先日ようやくスマートニュースとの共同プロダクトのリリースを経て、この事実が公のものとなりました。
こちらの件について、買収の背景や社長の想いなど、野口社長が素敵なブログを書いてくれています。
私はもう少し個人的な想いや、これからのことについて書いていきたいと思います。
私がジオロジックに入社したのは2017年10月でした。
当時から位置情報広告ビジネスは行っていましたが、システムはほとんど整っていませんでした。管理画面もなく、入稿からレポートまで温かみのある手運用、デイリーバッチが3日もかかるといったカオスな状況でした。
それでもエンジニア経験のない社長が、独学で学んだPythonだけで、最低限の事業環境を整えたのは流石だと言えるでしょう。
そういったシステムを引き継いで、ほぼゼロからシステムを構築していくのが、当時の私のミッションでした。
当時はすべてのことを自分でやらないといけない代わりに、完全に自由でした。
終電も気にせず飽きるまでコードを書いていたり、机が足りないからとIKEAで机を調達し、エンジニアがドライバー片手に手動コンパイルしていたのはまさにベンチャーらしかったと思います。
思いつきで作ったものが次々と実戦投入されて、営業上欠かせないものとなっていったり、障害の頻発するデータ基盤を、未経験のSparkを必死に調べながら作り直したことで、一気にビジネス規模が拡大したり。
ひとつひとつの動きが想定以上にビジネスに直結する、ライブ感がありました。
管理画面をリリースした際は、あまりの忙しさに超不機嫌な社長と大喧嘩したりもしました。
他にも公には言えないことも多数、、、
これらの経験は、すべて貴重な思い出であり、すべて今でも活かされています。
2020年6月、そんな自由なベンチャーにもプライバシー規制の波はやってきました。
IDFAオプトイン化です。
そしてこの状況下で、会社売却という判断は、絶対に正しかったと思います。
仮に、もしIDFAがオプトアウトのままだったとしても、単体で成長し続けられた確証はなかったでしょう。
GoogleのP-MAXなども出てきていますし、データ資産や資本力の差から、いずれ淘汰されたかもしれません。
そんな中、拾ってくれたスマートニュースには感謝しかありません。
スマートニュースに入ってからは、最初は豪華な福利厚生に喜びながらも、そこで働く人たちの優秀さに腰が引けていました。
Googleやテンセントといった輝かしい経歴を持つエンジニアから、朝の情報番組に出ている弁護士の先生、創業者の健さんや階生さんでさえも、普通にオフィスで仕事しています。
さらに、エンジニアは6割以上が日本人ではなく、雑談さえも英語でなされていることが多い状況でした。
そんな方々の中で、我々日本語しか扱えないやんちゃ集団がやれるのか。
正直とても不安でした。
しかしスマートニュースの方々は、我々に対して敬意を持って、対等に接してくれました。
我々が英語を話せないことを知ると、「Sorry I can't speak Japanese. Your English is better than my Japanese.」と。
これを経営幹部レベルの方々が言うものだから驚きです。
暗黙的とはいえ英語が公用語である以上、話せない私の方に問題があると考えていましたが、この言語ギャップさえも対等に扱ってくれました。
このリリースを出すまで2年半、決して短くない期間、本当に色々ありましたが、今では技術やプロジェクトの面で様々な交流が進み、私も辛うじて英語でドキュメントを書いたりMTGへの参加ができてきています。
スマートニュースで働く方々が優秀なことは間違いありませんが、想像以上に気さくで素晴らしい方ばかりです。
我々が英語を話せなくても、どれだけ基礎的なシステムや業界の知識を持っていなくとも、質問すれば誠実に答えてくれる。
理にかなったことを言えば必ず協力してくれる。
むしろ、こういったいろいろな国や思想を持つ方々が働く組織だからこそ、一人ひとりの考え方を尊重し、敬意を持ってローコンテキストなコミュニケーションをする、それが強いチームワークを生み出しているのだろうと感じています。
不安しかなかったやんちゃなジオロジックのメンバーも、今や仕事や飲みなど、幅広く交流を楽しんでいます。
さて、このように少しずつスマートニュースでやっていく自信をつけてきましたが、やはり私にとって、GeoLogicでの時間はまことに青春でした。
学生のように、仲間たちと心ゆくまで馬鹿なことをやり、スピードと気合と戦略で、寄せ集めベンチャーがエリート企業を出し抜く。
そんな楽しいことは無いでしょう。
きっとこれがスタートアップの醍醐味であり、私にはここが性に合います。
スマートニュースもこれから2倍3倍、10倍と大きくなっていく会社だろうし、きっと超えていかないといけない壁はいくらでもあるでしょう。
しかし間違いなくスマートニュースにそのチャンスはあるし、私にもその楽しさを味わうチャンスがあります。
スマートニュースで活躍するために必要な、英語や技術、考え方を身に付けることで、同時に少しずつ新しい世界が見え始めています。
もっともっと学び、真剣に取り組めば、まだまだ知らない、さらに楽しい世界が見えてくる予感を感じられるようになってきました。
我々はようやくそこに行くためのチケットを手に入れた。
次のチャレンジを、心から楽しんでいきたいと思います。
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