受け取った手形を現金化する
ビジネスをしていると、取引先から代金を「手形」で支払われることがあります。しかし、受け取った手形はそのままでは現金として利用できません。この記事では、手形がどのようなものか、そして現金化する方法について詳しく解説します。
手形とは何か?
手形は「有価証券」の一種で、将来の一定の期日(満期)に代金が支払われる約束を記したものです。簡単に言うと、手形は「支払期限付きの約束手形」です。
手形取引のポイントは以下の通りです:
1. 支払いの猶予
手形は即時現金を支払う代わりに、将来の満期日に支払うことを約束します。たとえば、「〇月〇日までに〇円を支払います」と記載されています。
2. 信用取引の一環
手形は信頼を前提とした取引です。手形を受け取る側は、相手が満期日に確実に支払うという信用に基づいて取引を行います。
手形を現金化する方法
受け取った手形を現金として使いたい場合、次の2つの方法があります。
1. 満期日まで待つ
手形を満期日まで保有し、満期日に金融機関を通じて現金を受け取る方法です。この場合、手形に記載された金額がそのまま支払われます。
• メリット:手数料がかからない。
• デメリット:現金化までに時間がかかる。
2. 割引して現金化する(手形割引)
満期日前に金融機関や手形割引業者を通じて現金化する方法です。この場合、手形の金額から割引料(手数料)を差し引いた金額を受け取ります。
手形割引の流れ:
1. 金融機関に依頼
手形と必要な書類(本人確認書類や取引先の情報)を持参して、銀行や信用金庫に割引を依頼します。
2. 審査
金融機関は手形の発行者や受取人の信用力を審査します。信用力が低い場合、割引が拒否されることもあります。
3. 現金化
割引料が差し引かれた金額が指定口座に振り込まれます。
割引料の計算例:
例えば、以下の手形を割引する場合を考えます:
• 手形金額:1,000,000円
• 割引率:5%
• 満期日までの日数:30日
計算式:
割引料 = 手形金額 × 割引率 × 残り日数 ÷ 365
1,000,000 × 0.05 × 30 ÷ 365 ≒ 4,110円
割引料が4,110円の場合、現金化される金額は1,000,000円 − 4,110円 = 995,890円となります。
注意点
1. 手形の信用リスク
発行者の信用力が低い場合、満期日に支払いがされないリスクがあります。これを「不渡り」と呼びます。不渡りが発生すると、回収が困難になる場合があります。
2. 割引料の比較
割引料は金融機関や業者によって異なります。事前に複数の機関で見積もりを取ると良いでしょう。
3. 手形の管理
手形は重要な有価証券です。紛失や盗難に遭うと大きな損害を被る可能性があるため、厳重に管理してください。
まとめ
受け取った手形は、満期日を待つか、手形割引を利用することで現金化が可能です。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、自社の資金繰りに応じて適切な方法を選びましょう。
手形取引に不安がある場合や割引を検討している場合は、金融機関や専門家に相談するのがおすすめです。正しい知識を持って取引を行い、ビジネスの成功につなげていきましょう。