応酬話法の基本:イエス・バット法を活用するポイントと実例



営業や接客の場面では、お客様からの「断り」を受けることは避けられません。そのようなとき、ただ単に反論するのではなく、お客様の意見を尊重しつつ、自分の提案を伝えるためのスキルが必要です。これを効果的に行うためのテクニックが「応酬話法」のひとつ、イエス・バット法です。

イエス・バット法とは?

イエス・バット法は、次のような流れでお客様とコミュニケーションを進める方法です。
1. お客様の意見を肯定する:「お客様のおっしゃることはよくわかります」と相手の考えをまず受け入れることで、相手に安心感を与えます。
2. やんわりと反論する:「ですが」と続け、自分の提案や意見をやわらかく提示します。直接的に否定するのではなく、相手の意見を踏まえた上で新しい視点を提供するのがポイントです。

たとえば、お客様が「値段が高すぎて手が出せない」と言った場合、次のような会話になります:
• お客様:「値段が高すぎてとても仕入れられないよ。」
• 営業:「お客様のおっしゃるとおり、他社様よりやや高めかもしれません。ですが、弊社の商品には◯◯のような特典がついておりまして、長期的なコストパフォーマンスを考えると、実はお得なんです。」

この方法により、相手を否定せずに自分の土俵に引き込むことが可能です。

「イエス・バット法」を使う際のポイント

1. 「しかし」ではなく「ですが」を使う

「しかし」や「それは違いますよ」という表現は、相手に対して強い否定の印象を与えがちです。そのため、できるだけ柔らかい言い回しを心がけましょう。「ですが」「とはいえ」といった表現を使うことで、相手の気分を害するリスクを減らせます。

2. お客様の感情を尊重する

最初にお客様の意見を受け入れることで、「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じてもらえます。そのため、単なる形式的な肯定ではなく、相手の背景や事情を考慮して共感することが大切です。

3. 価値を強調する

価格や条件のネガティブな部分を指摘されたときには、それを補う価値やメリットを強調しましょう。具体的な事例やデータを用いると説得力が増します。

イエス・バット法の効果的なトレーニング方法

この応酬話法は、初回訪問でも再訪問でもよく使われる基本的なスキルです。日常的に練習を積むことで、自然に使いこなせるようになります。以下の方法を試してみてください:
1. ロールプレイをする
同僚や友人と役割を決めて練習することで、さまざまなパターンの「断り」に対する応答力を養います。
2. 過去の会話を振り返る
実際の営業や接客で行った会話を振り返り、「このときイエス・バット法を使えたらどうなったか」を考えると、具体的な改善点が見つかります。
3. 日常会話で試す
営業以外の日常的な場面でも、お互いの意見が食い違ったときにイエス・バット法を試してみましょう。柔らかな説得の仕方を練習する良い機会になります。

まとめ

イエス・バット法は、応酬話法の中でも初歩的でありながら非常に有効なテクニックです。お客様との信頼関係を築きながら、自分の提案を受け入れてもらうための鍵となります。初歩だからこそ、自然に使えるよう訓練し、状況に応じた柔軟な応用を目指しましょう。このスキルを身につければ、営業や接客の成果を確実に上げることができるはずです。

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