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【化学】なぜサウナは100℃でもやけどしないのか
はじめに
水は何度で沸騰しますか?もちろん、100℃ですね。
では、その100℃の水(お湯)に手を入れたらどうなるでしょうか?
もちろん、やけどしますね。
しかし、サウナに入ってやけどする人はほぼ、いません。
今回は、熱の伝わり方について書いていこうと思います。
熱とはなにか
そもそも熱とは何でしょうか。
物理を専門にやっている方は、エネルギーという言い方の方がなじみがあるかもしれません。
バケガク的にみれば、熱とは分子の動きということができます。
つまり、分子が動いているということは、熱が出ているということです。
では、分子の動きを止めたらどうなるのか。
分子の動きがない=エネルギーがなくなる=熱が無くなる(0になる)ということです。この点を絶対零度と言います。
ちなみに科学の世界では温度の単位にK(ケルビン)を用いますが絶対零度は - 273.15℃と言われています。
(個人的には、ぜったいれいど とみるとカイオーガを思い出します。年齢がバレてしまいますが。あの頃が一番熱かったかも。)
熱の伝わり方は3パターン
熱の伝わり方には、3パターンあり知っている方も多いかと思いますが、
伝導、対流、輻射の3つです。
伝導
伝導は、マグカップに入ったホットコーヒーを持つと温かいですね。あれは、ホットコーヒーの熱がマグカップ(陶器)に伝導し、それが手に伝導したと言えます。
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ちなみに、熱々のフライパンも伝導によって手に熱さが伝わりますが、ミトンやタオルをつければ、熱々の状態でも触る(つかむ)ことができます。
これは、手とフライパンの間にある空気の層が熱の伝導スピードを遅めているためです。
対流
対流は、熱を持っている(蓄えている)分子が移動することで熱を伝えることです。サウナで下の方より上段の方が熱いということもこの対流という現象で、熱により膨張した空気が上へいくためにおこります。
輻射
最後に輻射です。
これは、電磁波の形で物体から物体に熱が伝わる現象です。
毎年冬になると、ヒートショックによって亡くなるひとがいますが、その予防のためにお風呂場の壁や床に熱いシャワーをかけてあたためてから入るようにしましょうと言われることがありますが、この時、温まった壁が輻射によって温めてくれるということです。
状態によって熱の伝わり易さが違う
熱は、物質の状態によって、伝わるスピードが異なります。
固体>液体>気体の順に熱が伝わり易いというのは経験的に知っているでしょう。では、なぜか。以下の図1を見てください。紫の球は便宜上、分子(原子)だと思ってください。
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固体では、紫の球がぎっしり詰まっています。だから、熱が伝導しやすいことが視覚的に理解しやすいのでは無いでしょうか。一方気体はというと、スカスカです。固体より熱を蓄える能力が低いことがわかります。
熱の伝わるスピードは密度に依存するのです。では、分子が熱をもっていることを赤色の球で表現してみましょう。
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あくまでイメージではありますが、固体の方が球がぎっしり詰まっており、熱そうですね。一方気体はスカスカで余裕がありそうです。
なぜ100℃のサウナに入っても平気なのか
ここまで読まれたあなたはもうお分かりですね。
密度が異なり、熱の伝わるスピードが固体や液体に比べて遅いため。
ということになります。
ところで、本場フィンランドでは熱々の石に水やお湯を掛けますが、湿度(水分子)を増やして熱伝導を高めているのですね。
ちなみに、みんな大好きロウリュは水をかけることを言うんだそうで、熱波師さんのうちわであおいでもらうのはアウフグースというんだそうです。知り合いのサウナ―に教えてもらいました。
水風呂で疲労とおさらばできる?
余談ですが、日本は世界でもワーストを張れるくらい疲労大国なんだそうな。シリコンバレーで一時期はやっていたパワーナップ(昼寝)は過去のもので彼らは今や寝る間も惜しんで働いているのだそう。
日本では、通勤電車の中で寝ている方が結構いらっしゃいますよね(ちなみに僕もよく寝てます)。
最近読んだ本の中に、疲労回復に冷浴と温浴を交互にする交互浴が効果的とのことですのでやり方を共有します。
1. バスタブにお湯を張る
2. 冷水シャワーを1分浴びる
3. お湯に1分浸かる
4. 2. と3. を交互に5セット
5. 温浴2分
これは、もとの文献をやーるう流にアレンジしたものです。
冷水を身体にしっかり効かせたいときは、バスタブに冷水をためてお湯シャワーで行っています。
※個人的見解が含まれる方法です。
※すべての疲労に効果が表れるわけではありません。
※冷水をバスタブにためる場合は、心臓への負荷を考慮して半身浴スタイルをお勧めします。
※実施は、自己責任でお願いします。事件・事故などが発生した場合責任を取りかねます。ご了承ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
熱の伝わる現象には3パターンあり、物質の状態(固体・液体・気体)によっても伝わる速さが異なることが理解できたかと思います。これは、分子が大きく関係していることが理解できましたね。
次の化学ネタの記事は、真空は空気(の分子)がないから熱が伝わらない。なのに太陽の熱は宇宙空間を通るのにしっかり熱いワケを書いていきたいと思っています。お楽しみに!