ママンに送る詩㉖『大きな桜の木の下であなたと私』
桜が咲きはじめていた
近所の小学校の校門には
国旗が掲げられている
どうやら卒業式のようだ
少しお洒落をしたこどもたちが
おしゃべりしながら通りすぎていく
卒業、おめでとう
心のなかで
そうつぶやいた瞬間
目の前に私の
卒業式の記憶があらわれた
小学校、中学校、高校、大学
大きな桜の木の下で
父はカメラを構え
あなたは私の隣で微笑んだ
パシャッ
シャッター音が突如として
現実に引き戻す
あなたはこの世にもういない...
かすかににじむ朝の街並み
駅へ向かう人たちの靴の音
眩しすぎる太陽の光
爽やかな春の香り
いつしかそれらに悲しみは紛れ込んでいた
母さん
やっぱりあなたに会いたい…
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