小麦・乳製品・卵・大豆・・・23品目のアレルギーと共に暮らすことになった少し長い話
去年の秋にひどい花粉症になった。
それ以来、鼻水、くしゃみが止まらない。
気づけば1年が経とうとしている。
内科兼アレルギー科の病院で、保険内でできるアレルギー検査をした。
杉やヒノキ、ブタクサを始め、ダニやハウスダスト、犬、猫など36項目で3,000円程度だったと思う。
「検査項目の36アレルゲンには反応がありませんね。
心当たりがない限り、項目にないアレルゲンの特定は難しいです。抗アレルギー薬を処方しますから、症状が治らなければまた来てください。」
医者からそう言われたので、ザイザルにアレグラ、眠くならない新薬が出れば試してみたりして、8ヶ月ほどを過ごしたのである。
春、健康診断の季節がやってきた。
三十路を迎え、細かい健康診断を受けられるようになって数年目。
届いた結果をみて驚いた。
胃腸・肝臓・耳・子宮の全てで「E」を連発したからだ。
ひと足先に三十路を迎えた先輩たちから、
「細かい検査になると、何かしら悪いところが見つかるよ。」
とは聞いていたが、
「細胞に変異が認められます。至急再検査をしてください。」という表記はパンチが効きすぎており、暗い気持ちで病院に行ったのだった。
検査の結果は、端的にいうと「異常なし」。
体内のいくつかのウィルスが活発になっており、免疫が下がって内臓機能が弱まっているため、定期的な検診が必要とのことだった。
耳とか胃腸は正直どうでもいいけれど、将来子どもは欲しいので、婦人科系だけは解決しとくか、と思い近所の病院に予約をとった。
江波杏子さんに似たお医者さんが営むごくごく小さな病院で、「アレルギー症状が出て長いんですね…アレルギー検査をやったほうがいいかもしれないです。保険が効かないので高額にはなってしまいますが、可能であればぜひ受けた方がいいです。」と言われた。
「花粉症の時にアレルギー検査しましたが、何も引っかからなかったんです。」と伝えると、「遅延型アレルギーの検査」というもので、胃で消化してからアレルギー反応がでるものの検査だそうで、保険でできたそれとは違うものなのだという。
「なるほど。わかりました。いくらなんですか?」
「4万円程度ですね。」
「え、待って、本当に高額じゃん」と心では思ったが、原因がわからないままというのも気持ちが悪い。
「今年はコート買えないよ」と泣く泣く採られた血は、検査の為にアメリカに送られていった。
約1か月後に届いた検査結果は、これまた衝撃的だった。
小麦、乳製品、卵、大豆、砂糖、発酵食品を始め、23品目がアレルギーで、特にここにあげた6つは「エクストリーミーハイ」というレベルでアレルギー反応が出たのだった。
好んでよく食べるものほど多く出るとは聞いていたが、見事に好物ばかり。
子どもの頃から、納豆と卵は朝ごはんに欠かせないし、パン屋になることを夢見た時もあったほどに、パンとコーヒーを愛している。
そうはいっても、自分の身体の為に、少なくとも半年間は、これらの食材の完全排除をしなければならないらしい。
幸いにも、肉、魚、米、野菜はどれを食べても大丈夫なので、和食中心の食事にすれば問題なく暮らせそうである。
すこし、いや、かなり寂しい気はするが、身体の為には仕方ない。
健康には何事も変えられないのである。
アレルギーの検査結果が出てから、約1か月が経とうとしている。
いろんな人から「何を食べて生きているのか」と聞かれることが多く、
また、同じようにアレルギーで困っている人も多いことを知ったので、
生活のヒントになるようなレシピや、工夫を書いてみようかと思う。
中学生頃から、強烈な個性や才能に憧れてきたわたしだが、
ここに来て、大きな個性を身につけたのかもしれない。
ややめんどくさい個性ではあるけれど、せっかくなので、お披露目していければと思っている。
写真:去年の秋に撮ったススキ。
この頃はまだパンもチーズも納豆も、もりもり食べていたなぁ。