Day3,入院生活<その1>
入院生活は単調だ。手術直後までは数時間おきに強烈な出来事が発生していたから、鮮明に記憶していた。変化の乏しい3日目からは、20年経った今となっては記憶も曖昧だ。日付が前後するかもしれないが、覚えている事柄を列記していく。
2日目か3日目の日中、若い女性看護師がきた。ショートカットで小顔の美しい女性。目を見張ったのは容姿である。
身長は170cmの私よりもありそう。メイクはバッチリで、スカート丈は膝上くらい。ほのかに甘い香りもしたような気がする。看護師は飾り気のないイメージであったけど、彼女はどちらかというと派手目でセクシーだった。彼女は尿瓶を片手に現れ、こう言うのだ。
「ピッピ!」
なんのことか分からなかったが、尿瓶を持っているところを見ると、オシッコだろう。
「ピッピ? じょーじょー?」
「YES」
彼女は尿瓶を持ってニヤッと笑う。
(いきなりオシッコ出せと言われても出ないし、この人の目の前のでやらなきゃだめなのかな…)
結局、小は後で出したと思う。ナースさんって、もうちょっと質素でやんわりしているかと思っていた…… もちろん、他の女性看護師はやんわりしている人も多かったが。彼女はその後何度かお目にかかり、いつもスカート丈は短めであった。身だしなみの規定は緩そうである。
3日目は紅茶が出た。飲食禁止が続き、いい加減に何か飲食したかったので、紅茶が出たときは心底嬉しかった。ちょっと酸味はあるものの甘ったるい。普段では飲めたもんではないが、断食が続いていた身にはご馳走である。紅茶を1杯飲めば、あとはまた寝るだけ。暇なものだ。
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