『ネット右翼になった父』 『シニア右翼』感想など
『ネット右翼になった父』と『シニア右翼』という新書を2冊続けて読みました。
どちらも興味深く拝読しました。ネット右翼と呼ばれる人が僕らのちょうど親世代の70代だという考察が、とても説得力を持って書かれています。
『ネット右翼になった父』は文字通り、息子の父がネット右翼と呼ばれるような差別的な発言やネットスラングと言われるネットの中だけで使用される言葉を使い始めたという、いささかショッキングな現実が描かれています。
もう70代でしょうか、僕の父もちょうど団塊の世代と呼ばれる年齢で、70を超えました。この世代が老齢化したことで厄介な社会問題が色々取り沙汰されていますが、この「シニア右翼」と呼ばれる本を上梓されたのが古谷経衡氏で、実に克明にその実態と危機感を描いていて面白かったです。
まずは『ネット右翼になった父』から書きますが、父が亡くなられるところから始まり、父の言動がだんだんおかしくなってきたと著者は書きます。嫌韓嫌中な発言を繰り返し、ネットスラングと呼ばれる言葉を使用する。それはそれはショックだろうと思います。亡くなって遺品整理をしていると、右翼系の雑誌やEXCELに整理されたネット右翼的ネットチャンネルのYouTube動画がたくさん出てきたというのです。
ですが、家族や周りの人には優しかったということが取材を進めているうちに分かってきます。父がなくなって2年後でしょうか、ようやく著者は生前、父がそのようなネット動画を見たりした現実を受け入れ、和解されます。和解と言っても、もう亡くなられた後からなので遅いといえば遅いのですが、それなりの心の整理ができたという、ちょっとばかり感動的な結末で本書は終わります。
しかし、自分の父がネトウヨ的な嫌韓嫌中の発言や特に生活困窮者を揶揄するネットスラングの言葉を度々、口に出すようになったら、僕だって、おそらく縁を切ると思います。結構ショッキングな現実じゃないですか。でも、『ネット右翼になった父』はとても好奇心旺盛であったということも書かれていて、なるほどなぁという感じもしました。僕の父はPC生活はおそらくおくっていなくて、テレビばっかり見ていると思います。そういう面では、そんな70代の好奇心旺盛な感じは、僕の父にも見習ってほしい面ではありますね。笑。
『シニア右翼』の中で古谷氏は、このシニア世代(50代からの世代)が一番、ネット右翼と呼ばれる人口層が多いと分析されています。
そして、彼らの多くが、ネットの動画を見てそうなっていると言います。
確かにネット番組とか、保守と呼ばれる人の動画の方が勇ましく見えて、見ていて痛快なのだと感じます。ネットリテラシーが低くて、どう発信していいのかよく分かっていないシニア層がTwitterでも政治ネタやクソリプを飛ばす頻度が高いのだそうですが、この問題はかなり深刻なのだと古谷氏の言説を読んで感じました。
僕は最近、Twitterをやめてしまったのですが、とにかくそういう輩のツイートが目に余まる体験をたくさんしました。
悪貨が良貨を駆逐するという言い方がありますが、まさにネット、特にTwitterはそうなっていると痛感します。
僕はもうTwitterには少し未練がありますが、見切りをつけてアカウントまで削除しました。そのせいでiphoneを見る機会が激減しましたし、今まではTwitter言説を我ながら見過ぎて影響され過ぎていたなぁと感じます。
ちょうど仕事が決まって、今の職場ではスマホ持ち込み禁止のオフィスなので、日中はますますスマホを見ない生活になっていきそうですが、まだまだ慣れないものですね…
普段ならツイートすることが出来ない、もどかしさを時々感じたりします。
Twitterとかネット右翼と呼ばれる人たちの言動が今後どうなっていくか非常に興味がありますが、うまく距離感を計算しつつインターネットとは今後も上手に付き合っていければいいなぁと最近は、強く感じています。