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『太鼓たたいて笛ふいて』が傑作である理由とそれを観る意義について。

昨日(2024年11月6日)、大竹しのぶ主演のこまつ座公演『太鼓たたいて笛ふいて』という舞台を紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで観てきました。


『太鼓たたいて笛ふいて』ポスター

僕はこの芝居を今年一番待っていたのです!
戯曲が何より素晴らしい!!『放浪記』を書いた林芙美子の一代記です。
井上ひさしさんの晩年の傑作なのです。
賞もたくさんもらっています。井上ひさしさんは過去たくさん賞をもらっていますが、「え、その歳でまだ、そんなに賞をもらうの?!」と思うほど賞をもらっています。これは読んでみなければ!と思って読みましたよ。単行本が出た時に。
泣きはしなかったけれども、名作だと思いました。
初演、再演と何度か繰り返されていましたが、見逃していました。
が、ようやく、今年、井上ひさし生誕90周年ということで、再演が決定したらしいのです。
これは観ておくべきだと僕は思います。少なくとも僕は観ておきたかった。
井上ひさしさんの戯曲は本当に一本芯がとおっていて、人間の一代記を丁寧に描きながらも、しかもそれがエンタメにもなっているという凄い技術を持っているのです。『道元の冒険』という、これも傑作の戯曲がありますが、これも道元禅師の一代記を描きながらも、ちゃんとエンタメにもなっているというものすごい離れ技をなしているのです。お坊さんの一代記の演劇なんてつまんなそうと思うでしょうが、これが本当に面白いのです!僕はこれ、蜷川幸雄演出で観ています。
『道元禅師』という小説1000ページもある小説があるのですが、(これもそこそこの賞を受賞しています)僕は井上ひさしさんの『道元の冒険』の方が上だと感じています。
井上ひさしさんの演劇をもっと観ておきたかった、もっと読んでおくべきだったと、思いますが、今でも遅くありません!
井上ひさしさんの戯曲はもともと古い時代を描いているので、古くならないのです。今、観ておくべきだし、読んでおくべきだと僕は思います。
唐十郎さんが今年亡くなられましたが、唐十郎さんの舞台も観ておきたかったと僕は本当に思っているのです。唐十郎さんはもう見れない。。。
っと、話が色々飛び飛びになっていますが、この『太鼓たたいて笛ふいて』という戯曲本がまた、手に入らないのです!新潮社!どうなっているんだ!
文庫本で出ていたはずだろう……。僕は出版業界には疎いのであまり言えませんが、こんな名作が手に入らないというのは、かなりの文化的損失だと僕は感じてしまいます。戯曲は売れないし読みにくいのは僕にも分かりますが、本当に勿体無い。
というわけで、書いていて脈絡がなくなってきましたが、『太鼓たたいて笛ふいて』という地味なタイトルの作品をよく覚えておいてほしいと思います。
僕の大好きな作品になりました。
そして、泣きましたよ。久々に舞台を見て泣きました。林芙美子の作家としての精神を忘れないようにしたいと思います。もちろん井上ひさしさんのことも。
本当に観れてよかった!

しかし、チケット代高いんだよなぁ(ぶつぶつ)


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