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心に残るゲーム 〜パニッシャー(AC)〜

ワンコインでクリアした思い出のゲーム

 学校帰りに立ち寄ったゲームセンター。それは薄暗がりの中でした。
敵の本拠地が崩れ去るエンディングを見て、当時高校生の私は、達成感を噛み締めながら、安堵のため息をついたのでした。
 プレイしていたのは、カプコンが制作したアーケードゲーム「パニッシャー」。格闘ゲーム以外で初めてワンコインでクリアしたゲームでした。

 退屈な学生生活や徐々に迫る受験。何者でもなく、言葉で説明出来ないモヤモヤした感情でパンパンだった高校生の私の心に、このゲームはバシッとハマったのでした。家族を殺した敵を倒すため、あらゆる武器と己の肉体を躍動させる主人公のパニッシャー。シビレました。

どっちが悪者かわからない暴れっぷり

 パンチやキックを組み合わせた連続技で敵を殴り倒す。
 倒れた敵を持ち上げてぶん投げる。
 落ちている武器を振り回し、火器は遠慮なしにぶっ放す。
 危なくなったら、手榴弾で周囲の敵を一掃。

 ゲームセンターの暗がりの中で、画面狭しと暴れまわる彼に自分を重ね、思春期の「なんだか説明出来ないモヤモヤ」を解消していたような気がします。まさしく傍若無人といった暴れっぷりは、後日、彼がマーヴルのスーパーヒーローだと知ったときに「ウソだぁ」と思ったものです。

 このパニッシャーの暴れっぷりで特筆すべきは「敵が銃器を持っていたら、ハンドガンで応戦」という至極もっともなリアクションです。
 同じベルトスクロールアクションの主人公は、相手が銃器を持っていても、たいていは素手で敵と渡り合ってきました。くにおくんやリー兄弟。コーディやハガー、ガイのファイナルファイトの三人組だって、悪徳警官(ピストル)や車椅子のラスボス(ボウガン)といった飛び道具を持つ敵には、基本は素手で立ち向かいます。
 しかし、パニッシャーはなんの躊躇なくハンドガンを出して応戦していくのです。最初からハンドガンで倒しちゃえばいいのに。

処刑者 : パニッシャーはどこに行った?

 このゲームがゲーセンで稼働していたのは、格闘ゲーム全盛の頃。よく通っていたゲーセンにひっそりと置かれ、格闘ゲームの順番待ちのゲーマーがよくプレイしていたように記憶しています。そして、彼の暴れっぷりとは裏腹に、これまたひっそりとお店から去っていきました。
 同じカプコンがリリースしたマーヴルのスーパーヒーローを題材にした格闘ゲームに彼が参戦していることを期待したのですが、残念ながらそれは叶いませんでした。大人の事情で仕方なかったかもしれませんが、私にとっては思い入れの深いヒーローなので、参戦しなかったことを知って、とてもがっかりしたのを覚えています。
 それ以後、ベルトスクロールアクションゲームはいくつか遊びましたが、パニッシャーを超えるような強烈なインパクトを与えてくれた主人公はいませんでした。
 遊んでいたころから、もう30年以上たっているので、もう遊べる機会はほとんどないと思いますが、チャンスがあれば、あの豪快な暴れっぷりの彼に再会し、思春期と違ったモヤモヤを吹き飛ばしてもらいたいと懐かしむ私がいます。

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塚田裕介
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