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令和にプレイした『FF9』は、魅力的なキャラが織りなす、今でも心に響くストーリーの名作だった。


『令和にプレイしたレトロゲーム』シリーズでは、私が初見でプレイしたレトロゲームの感想・評価をまとめていきます。
当時の時代背景を考慮に入れつつも、「今から遊んでも楽しめるか?」「今からわざわざ遊ぶだけの価値はあるか?」という現代的な価値観を大事にしています。

他のゲームの感想も投稿しておりますので、よければご覧ください。


【はじめに】

重要なネタバレについては曖昧な表現にして掲載しています。
その他の部分についても、軽微なネタバレが含まれる場合があります。

【プレイ時間】

およそ60時間程度。

【プレイ前のイメージ】

FFシリーズは過去に7と10をプレイしているが、正直このシリーズにはあまり良いイメージが無い。
FF7はそこそこ面白かったものの、ネット上で見るような「JRPGの歴史を変えた傑作!」というほどでは無くせいぜい中の上くらいだったし、FF10に関しては自由度の低さとシナリオの酷さが本当に苦痛だった。

ただ、有名なシリーズではあるため、食わず嫌いも良くないとも思っている。
そして、9はファンタジー色が強くナンバリング後半の中ではかなりまともらしいという話を聞いたこと、さらに自分の好きなVTuberがFF9の実況を開始したことが決め手となり、「RPG実況は自分が既プレイのものしか見ない」主義の私は、半信半疑で並走することにした。
今回も、安価で手に入るオリジナル版をプレイ。

【評価点】

●魅力的なキャラクターと、それらが織り成すストーリー

・ストーリーを通して各キャラクターの過去がゆっくりと明かされていき、そこから更にゆっくりと成長していく姿が巧みに描かれている
物語中盤まではジタンが仲間へ手を差し伸べ、終盤になると今度は仲間がジタンに手を差し伸べるという、「情けは人の為ならず」を体現した素晴らしい構成
・任意加入のキャラクターもストーリーイベントで見せ場が作られていて、疎外感が少ない

●シナリオ上で対比表現が効果的に使われており、これもキャラクターの魅力をより引き立たせている

《対比表現の例》
・「ビビ」と「黒魔道士兵」
・「ビビ」と「黒のワルツ」
・「ビビ」と「人形」
・「スタイナー」と「マーカス」
・「スタイナー」と「ベアトリクス」
・「ダガー」と「エーコ」
・「ダガー」と「ガーネット」
・「ジタン」と「ミコト」
・「ジタン」と「ビビ」
・「ジタン」と「クジャ」

●キャラクターの個性の出たモーション

・スタイナーのコミカルな動きや、ビビのゆったりとした拙い動きなど、キャラクターの魅力がより感じられる

●PS1末期ということもあり、グラフィックはPS1最高レベル

・前述したキャラクターのモーション等、細部にまで拘りが感じられる。
・ムービーもとても出来が良く、キャラがデフォルメされているため現代でもあまり違和感を感じない。

●小説や舞台、映画のような独特の雰囲気

・舞台や映画で使われるような演出が、随所で効果的に使われている
・モーションの魅力と相まって、世界観が魅力的に感じられる
・ヘルプ等のシステムメッセージでもユーモアが効いており、読んでいてとても楽しい。

●装備とアビリティ

・アビリティを装備から習得するシステムは、独特で楽しい
・またこれにより、最強以外の装備にもちゃんと利用する価値が付与されている
・自分は似たシステムの「幻影異聞録#FE」が好きなので、とても楽しめた。
・どのアビリティを習得し、習得したアビリティのうちどれを装備するかといった育成要素や戦略性が楽しい

【賛否両論点】

●カードゲーム「クアッドミスト」のルールがろくに説明されない

・説明書に載っているのは矢印とバトルの説明まで。数字の意味については説明書にすら載っておらず、ゲーム終盤に店のポスターで初めて知ることができる
・まぁルールを理解しても、初期値がランダムなので結局運ゲーだけどね…

●クアッドミストをやるメリットが特に無い

・ミニゲームをやる楽しみが無いとも、わざわざ関係無いミニゲームをやる手間が無くて楽とも取れる

●店売りや合成の装備品から、習得できるアビリティを確認できない

・買ってみるまで分からないワクワク感があるとも言えるけど…
・合成では完成品の所持数は確認できるが、素材の所持数は確認できない


●チョコボ関連が分かりづらい

・ヒビや泡、空中庭園の影が見にくくて分かりづらい
 ただでさえヒントが少なくて気づきにくいのに、知ってもなお分かりづらい
 「ヒビでデッドペッパーを使うと中に入れる」という情報を、ヒビの中に居るチョコボが教えてくるのでは意味が無い

●ラスボス(?)がちくわ大明神

・因縁の相手と戦って倒した!…と思いきや、いきなり何の伏線も無い新キャラが現れる。
 そしてその新キャラこそが(一応の)ラスボスである。
・そして新キャラを倒した後は、再び因縁の相手との会話に戻る。
・要するに本作のラスボスは、まるで「ちくわ大明神」のコピペのように、いきなり横から現れていきなり去っていくキャラなのだ。
・このシーンいる?普通に因縁の相手がラスボスで良かっただろ…。

【問題点】

●ロードが長い

・エンカウントから入力可能になるまでが長すぎる
・ワールドマップでのエンカウント時のロードは特に長い

●バトルの演出が長く、コマンド選択から実行されるまでが遅い

・ロードの長さと相まって、テンポが悪い
・特に召喚獣は演出が長いため、ウェイトモードにして時間を止めておかないと確実に反撃を受ける

●取り返しのつかない要素が多い

・終盤の最強装備を合成するのに、中盤までしか入手できない武器が必要
・作中で最大4つしか入手できず、サブイベントで必ず1つ必要な宝石が、無限入手できる装備の合成素材に指定されており、うっかり合成するとサブイベントが進行不可になる
 消費アイテムでもあるので、うっかり使用してしまってもサブイベントが進行不可になる。
・モグネットのイベントは、先にストーリーを進めると進行不能になる

●バトルメンバーの変更が気軽にできない

・パーティメンバーは飛空挺に入らなければ変更できないので面倒
 飛空挺を出入りする時にロードが入るので、メンバーを変更するだけで時間がかかる
・飛行艇入手前は、ストーリーの途中で聞かれた時にしかメンバー変更ができない
・育成が楽しいゲームなだけに、この仕様は残念

●デバフの種類がかなり多く、覚え辛い

・特に「迷惑」「ウイルス」「ヒート」は効果が直感的に分かりづらい
・それぞれの治し方も分かりにくい。
 「エスナ」「万能薬」は何でも効く訳では無い(万能とは…?)
 ストップは万能薬が効くがエスナは効かない、ヒートはエスナが効くが万能薬は効かない、石化にはどちらも無効でストナと金の針しか効かない、といったように治し方がバラバラで分かりづらい
 種類が多いので治し方の対応までは覚えきれず、その都度説明書を開くことになる

●クアッドミストのデッキを保存できない

・毎回デッキを組む所から始まるので面倒

●飛空挺/空チョコボの操作性が悪い

・チョコボで歩いたほうが楽

●モグネットで手紙を読んだあと、再びモグネットを開かないと、新しい手紙を受け取れない

・この仕様に気づかないと取り逃す

●近づいてみるまでノーヒントの隠しアイテムが多い

・中にはステラツィオ等の重要なアイテムもあるため、無視しにくい
・取り逃したくない場合、壁に沿ってA連打しながらフィールドを歩くことになる

【項目別評価】

ストーリー ☆5+
演出 ☆5+
キャラ ☆5+

育成 ☆5
マップ ☆3
バトル ☆4
音楽 ☆5
グラフィック ☆5
UI ☆3
ロード ☆2
テンポ ☆2
※各5点満点、「☆5+」は特に良かった項目。

【総評】

ロードの長さやテンポの悪さといった問題はあるものの、それを上回る
魅力が随所に感じられる。
育成要素も楽しく、SFC~PS1のJRPG黄金期の最後を飾る作品の1つとして十分な名作。
現代でもプレイする価値は十分にある。
今から遊ぶなら、ロードが短縮されているリマスター版をオススメする。

【余談】

●直前にFF10をクリアしていたため、「なんで9で出来ていることが10では出来ていないんだよ!!!」と思う箇所が多々あった。
・FF9の一部のマップは本質的には一直線でありながらも、それを感じさせないような工夫が施されていた。
・なぜこの工夫がFF10では無くなってしまったのか……


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