小説VS漫画 リレー作品:第10話 癌口(小説)
「こんなものがあったのか……ハハハ……」
ガラス一枚、その向こうに、「空っぽのボク」がいた。もう二度と見る事は出来ないと思っていた。気が付けば涙が溢れだしていた。その涙は歓喜、後悔、怒り、様々な感情が入り混じって濁っているかのようだった。実際流れてきた涙を右手で救いあげ、目の周りを覆っている包帯をずらして良く見ると、灰のような粒子が混じっていた。
「ハハ……久しぶりに見たな……そっかこの涙は……」
――ボクは勘違いしてたんだな……。
「ねえ、ちょっと僕の左側のポケットを漁