趣味vs家計 お金のかかる夫の趣味をどうしたら受け入れられるのか?突き詰めたら幸せについて考えてた。
綺麗な庭は不動産価値を高めるからいくらお金をかけてもいいの?
趣味へのお金を惜しまない、夫の言い分。
暑い日本でびっくりしたことが、NISAの盛り上がり。
イギリスのISAと似てるなと思ったら、元々このISAを参考にして作られたとか。
イギリス人はあまり貯金、貯蓄をしないから作られた制度らしいですが、物価も高くて税金も高くて、貯金できるほどお金がないのが実感。
それでもクレジットカード限度ギリギリ借りて、高級車に乗ってたり、イギリス人の金銭感覚に「ついていけない」在英日本人はたくさんいます。
日本人から見てもう一つ「イギリスらしいなあ」と思うのが、安く家を買って高く売るのが一番確実なお金儲けだと信じているところ。
ボロ家、ボロ部屋をオークションなどで買い、自力で素敵なお家に変身させて売るテレビ番組が1日中、流れています。
こんな「ほぼ素人大工」がリノベーションした家が高値で売られ、買った後でトラブル絶対起きるだろう、私は買いたくないな、と思うのですが。
不動産というより「家」へのこだわりは、日本人の「食、健康」へのこだわりと同じくらいの熱量があります。
そして素敵なお庭は家の価値を上げると思われ、そのせいもあってイギリス人はガーデニングが好き、なようです。そう、私の夫もその一人。ガーデニングにお金の糸目をつけない一つの理由が「家の価値を上げるから」なのです。どれくらい糸目をつけないか?それは後ほど、、、
ガーデニングラブがすぎる夫
夜は5度と冷え込むイギリス。夏の庭は終わり、そろそろ秋の支度を始める頃です。
秋の支度といっても、秋冬に花を楽しむのはなかなか難しく、これからは来年春に向かって掃除や土づくり、鉢の手入れ、球根や種の準備に力を入れるのです。
と、まるで私が先頭を切ってガーデニングを楽しんでいるような口ぶりですが、実際全て夫の受け売り。
「16歳の時は女の子よりグリーンハウス(家庭用の温室)に恋してた」
と気持ちの悪いガーデニングラブを隠そうとしない夫。夫婦の会話の8割が「庭のどこにどんな植物を植えるか」です。
私はもっぱら「花を切ってアレンジする」ので、切り花に使える花を植えてくれたら嬉しい。
花を育てる夫とそれを切って愛でる妻。
はたからみれば、ウィンxウィンな関係に見えましょう。
安い趣味でないと思い知る
ロンドンから少し離れた郊外に住んでいるので、なんとか庭付きの家に住めています。とはいってもテーブルと椅子を置いて、ちょっとした芝生がある程度の庭でした。夫は芝生部分を全部掘り返し、パティオなども撤去。置ける場所には20個ほどの植木鉢を並べ、1cmとも無駄にするものかという固い信念のもと、今の庭を作り上げました。
ここら辺が粘土のような地質だったため、植物を植えるためにまずは庭全部の土の改善に。
土、肥料。高い£。
雑草なんてどんな地面からでも元気に生えて花咲かせてるじゃん。
なんでこんな深い穴を掘って、お高い土入れるわけ?
でももう一度土を変えたら、これからは母なる自然のサイクルが土を豊かにしてくれるでしょう。って、毎年これを繰り返すの?
土って、すぐ痩せるんですね。まめに肥料を与え、終わったら土も足してコンディションを整えてあげないといけない。
野菜畑なんかは、一つの作物が収穫したら疲れ切ってしまってしばらくお休みをあげないといけなかったり。一体いくら、ガーデニングにお金かけてるのか?
うちの場合、平均して毎月一ヶ月の収入の5%を庭にかけているように思います。私にとってはこの%は高いと思ってしまいます。車を買い換えようが、洗濯機が壊れようが、このパーセンテージが落とされることはありません。
この中の数%でももっと貯蓄に回したいとハンカチを噛み締める妻。
揺れる花が、、£マークに見えてくる
私として、できれば夫のガーデニング予算を一ヶ月いくらと決めてそこで趣味を満喫してほしい、と思っていました。
しかし夫に言わせれば「予測できないことが多すぎる」ガーデニングはコンスタントなメンテナンス、プラス、天候などに左右される予測不可能な出費の二本立てなのです。
一年中、時間と体力と金力が必要とされる「暇なお金持ちの道楽」そのもの。ウチ、暇でも、お金持ちでも、ないんですけど。
そう思うと、庭で揺れるコスモスも「これ一本1ポンドするんじゃない?」と庭の花が全て散財のシンボルに見えてくる。
切り花で楽しむにも、庭の花が全て切り花に向く花というわけでもない。
お花は大好きですが、身の程ってものがあるよね、と心の中でモヤモヤしているのです。
そして事件は起こった
今から10年前ほどでしょうか。
こんなモヤモヤがピークに達したことがありました。子供にもまだ手間もお金もかかる、物価は上がる、家計が苦しい。
そんな時に夫が
「中東からいい仕事のオファーが来たけど、断ったよ。中東で自分の庭を作れないしょ」
と衝撃の告白を受けました。
え?2年くらい中東で働いてお金貯めて、こっち戻って好きなだけガーデンすればいいじゃん?!
という目先のお金にくらんだ醜い妻を諭すように、夫は「僕のガーデンを2年も放っておけないよ」と。そして付け足すように「君も子供たちも、中東の国で暮らすのは大変だろう」と。
家族よりも、お金よりも、まず彼の頭をよぎり、収入アップの機会を即座に却下させたのはガーデンだったという事実。
妻である私は、夫という人間の認識を改めなければと思いました。
結論 幸せについて悟りを開く
そして至った結論。
「趣味にお金をかける人間が夫なのだ」という事実をそのまま受け止め、私には散財にしか見えなくても、「ガーデニングがないと彼は生きていけない。生きるために必要不可欠な経費」なのだと認めることにしました。
ガーデンがあっての、幸せな夫なのだと。
幸せな夫があって、余計な心配なく、私も自分の幸せを楽しむことができるのだと。
ガーデンは今の幸せをもたらしてくれる。
庭を見て、綺麗な花を見て、いいなあと思うだけ。でもこの、いいなあと思える今も大事。
将来いいなあと思えることも大事だから、節約しようとする私も正しい。
「今」を大事にする夫と「将来」も大事だよと思う妻。
このバランスを保つことが幸せなのかなと思います。
今日もいい花が摘めました。carpe diem.