静寂と月夜の散歩道
少しずつ、夏の暑さが引いてきた。朝晩は、ひんやりとした空気が窓から部屋に入ってくる。燃えるような赤を見せる夕方。日の入りも少しずつ、早くなってきた。
そうだ、秋の足音が聞こえてきている。
12月に仙台に引っ越してから、約10ヶ月が経った。
前まで住んでいた練馬も悪くはないのだけど、今の家の方が好きだなと思える点がある。
それは、夜が静かで暗いこと。カーテンを開けていると、天気や条件が合えば、部屋に月明かりが入ってくる。
夏よりも澄んできた空から見下ろす月の明かりは、夜の魅力を増大させる。夜は前から好きだったけど、前の家より空が広く見え、綺麗で愛でたくなるものが増えた分、もっと好きになった。
夜飲んだ後に歩いて帰る道では、星が帰路を照らしてくれる。都内のように便利ではなく、歩くと家までは結構遠い。でも、それはそれで私のための時間として、楽しく歩けてしまうのだ。
そして、夜が静かな分、この季節には虫の声が。庭があるこの家では、たくさんの声が聞こえる。前住んでいた家も公園が目の前にあったけど、マンションで高さもあり、少し距離があったからか、ここまで聞こえはしなかった。
家族は、虫の声が騒がしいというものの、私は煩わしさを感じることはない。春には鶯が鳴き、秋には虫が鳴いて、四季の移り変わりを知らせてくれるこの家に、ようやく少しは慣れてきた気がする。