友人からの手紙
郵便受けに手紙が来た。
友人から封書というものを受け取るのは何年ぶりのことだろうか。
…
電子書籍出版を喜んでくれて、読んで感想を送るねと言ってくれた。
ずっと相談にのってくれていた中学時代からの友達だ。
適応障害の治療中、何か判断に困るときは、彼女に相談していた。
彼女は新卒1年目からうつ病を患っている。3か月休職をし、同じ会社に復職。今もそこで働き続けている。
私は彼女をとても信頼している。
彼女の信頼度は似たような経験をしているからではない。
よく考えて、きちんと自分の言葉で返事をしてくれる人なのだ。
日常の考察も深い。
彼女と会うと勉強になることが多く、新たな視点をもらうことができる。
自分と違う感性を持っている彼女が、私は好きなのだ。
しかし、その彼女からメールが来ない。
体調が悪いのかなとか、読むのがつらかったのかなとか、いろいろ考える。
…
郵便受けに手紙が来ていた。
彼女からだ。
驚いた。当然、携帯電話に連絡が来ると思っていたからだ。
手紙を最後にもらったのはいつだったろうか。
実は、彼女から感想をもらうのが一番緊張する。
これまでの私をよく知っている上、彼女は国語の偏差値72の才女なのだ。
久しぶりの手紙と、内容にどきどきしながら開ける。
手紙には、書籍の感想が丁寧に書かれていた。
じっくりと時間をかけて、言葉を紡いでくれたのだとわかった。
何を書くかよく考えてからでないと、この手紙は書けない。
時間をおいて届くという手紙の本質が、差出人の気持ちをさらに熟成させているような感じがした。
率直な感想が綴られており、手紙の最後には
「自分の人生を考えるきっかけとなりました。ありがとう。」
ふと、中学生の頃、白やぎさんと黒やぎさんの歌を彼女が歌っていたのを思い出す。
なぜか、涙が出た。
さあ、どんな封筒と便せんでお手紙を返そうか。