いずみ食堂
「ここでとめて」
14年前、義父母と娘と四人の北海道旅行は義父が言う通りに私が運転した。
「少し早いけどここのお蕎麦が美味しいからお昼にしよう」と訪れたお蕎麦屋さんが、
このいずみ食堂。
近くには何もなさそうな所にある蕎麦屋に、行列ができていた。
旦那さんと訪れた今回もあの時と同じ。
10:30の開店前に到着。
既に駐車する車が沢山。人もすでにならんでいる。
待っている間、旦那さんも知らなかったこの蕎麦屋について、14年前に義父に聞いた話を伝える。
道内を仕事で通過する度にこの蕎麦屋に通っていたこと、この辺でお昼を食べれる場所はここしかなかったこと、40年ほど前のその頃はこんなに賑わっていなかったこと、ずっと蕎麦が変わらず美味しいこと、以前はトラック運転手かタクシー運転手のお客しかいなかったこと、いつの間にかテレビか雑誌で紹介されてから、有名になって一般の人も来るようになってすごい行列ができるようになっていたとのこと。
「今も人気なんだね」
と14年前を思い出して懐かしい。
前回は山菜きのこ蕎麦をいただいたが、今回はゴボ天蕎麦を頼む。
多くのお客様を慣れた手順で捌く店員の采配が気持ちいい。
しばらくしてゴボ天が届いた。
みると豪華な海老入りゴボ天だった。
「うっ!」と声が漏れる。
「すみません、確認しない私が悪いのですが、海老カニアレルギーなのでエビは食べられなくて、違うのを…」と言っている最中に
「すみません!交換するので大丈夫ですよ!」と優しいお返事が。
「すみません!エビが無いゴボ天なら大丈夫です!」
と伝えてしばらくすると
「エビを揚げた油で牛蒡を揚げるのですが、大丈夫ですか?」と再確認が。
何から何まで申し訳ない。
そうだった、エビを揚げすぎた油もダメなのだ。ふと目に止まったのはやはり『山菜きのこ蕎麦』義父の導きなのかもしれない。
「山菜きのこ蕎麦でお願いします。ありがとうございます」と、オーダーしてすぐに山菜きのこ蕎麦が届く。
気配りよく人の面倒見のよかった義父が長年通ったお蕎麦屋さんたる所以がよくわかったような気がした。気配りよく、そして美味しい。
蕎麦は私好みの田舎蕎麦、麺の太さは細麺も選ぶことができる。