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メモ①の続き

メモ①では,女性差別の問題について書いた。そこでは「女性差別問題では,女性というカテゴリーが,1人1人の違いを理解する努力の必要性への気づきを奪っている。」と「一人ひとりの人間を見る努力の放棄」という2つの主張が混在していることに気づいた。 考えられるのは以下の4パターンである。①前者だけが正しい,②後者だけが正しい,③前者と後者ともに正しい,④両者正しくない ④が正しいというのは,「違いを見ることが大切である」というより根源的な仮説が間違っている場合である。そのため,本稿で

    • メモ①

      人との違いを考えることは大切だ。しかし,他者との違いを理解するには,他者の視点に立つ能力が必要である。つまり,子どもがこのことを理解できないのは仕方ない。第三者の視点を獲得するのは,ピアジェ曰く7歳から11歳である。つまり,早くて小1,遅くて小6,くらいにならないと他者中心的な思考は持ちえないということになる。よそはよそ,うちはうちというのは,子どもには理解できない言葉であり,あの子はおもちゃを持ってるのに,僕は何で持ってないの?というのは子ども特有の純粋な疑問といえる。

      • 映画「竜とそばかすの姫」感想

        本編【ネタバレ注意】 主人公すず(中村佳穂)は,高知県出身の冴えない女子高生。幼い頃に母を亡くし,以来父との関係も良好ではない。幼馴染のしのぶ(成田凌)は学校の人気者。しのぶは昔と変わらず接するが,すずは「もう昔の関係とは違う」と考えている。  ある日,「U」というSNSがネットで人気を博す。「U」の世界では,自分の生体情報から作成されたバーチャルキャラクターで,現実とは異なる世界を生き,新しい自分になれる。キャラクターは,現実での秘めたる自分を投影しているという。すずは人前

        • 映画「害虫」感想

          本編【ネタバレ注意】 主人公のサチ子(宮崎あおい)は,母親の自殺未遂や担任との恋愛関係の影響のせいか,同級生たちとは一風変わった学生時代を過ごしていた。彼女は学校に行かず,タカオという青年と知的障害者のキュウゾウと共に時間を過ごすことが多くなる。タカオやキュウゾウと過ごしている間は,自然な笑顔がこぼれる。  ある日,タカオと「遠くへ行こう」と約束をしていたのだが,約束の時間になってもタカオが来ない。不審に思ったサチ子はタカオが住むアパートの一室へ向かう。そこには,以前タカオが

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          映画「ヤクザと家族」感想

          本編【ネタバレ注意】この映画は、1999年・2005年・2019年の日本社会を描いた三章で構成されていました。 第一章は,主人公である山本賢治(綾野剛)と柴咲組組長の柴咲博(舘ひろし)の出会いが描かれています。 物語は,山本の父親の葬式から始まります。葬式後には、薬物のバイヤーから金と覚醒剤を奪い,覚醒剤を海に捨てて,盗んだ金で食堂に行きます。そして,柴咲組組長である柴咲博(舘ひろし)に遭遇し,突然何者かに襲撃された柴咲を助けることになります。後日,山本は柴咲組に呼び出さ

          映画「ヤクザと家族」感想

          映画「罪の声」感想

          本編【ネタバレ注意】原作の題材になっているグリコ・森永事件を特に知らないまま映画を見ました。後で調べたのですが、事件の大筋はそのまま、作品が忠実に再現されていることが分かりました。 「罪の声」というタイトルにあるように、主人公の俊也が、幼い頃の自分の声を録音したテープがギンガ・萬堂事件に関わっていたことに気づくシーンから話は展開します。その事実に苦しむ俊也は、新聞記者の阿久津と共にこの時効事件に挑み、最後はイギリスのヨークにいる実行犯の1人である俊也の叔父の元までたどり着き

          映画「罪の声」感想