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【創作】たけし先輩との100日間#15
#15日目「不正入国者たけし」
城門が真上に浮かび上がった。
長い通路の先には、白いひげを蓄えたふくよかな老人が座っている。彼の纏う白いローブの裾には金箔が施されているのか、金色に輝き、ルビー色の刺繍が散りばめられていた。
城の内装もまた純白で、床には赤のベルベットの敷物、柱の頂部には植物を模した金の彫刻が刻まれている。その荘厳な佇まいは、コリント式建築というのだろうか。ファンタジー作品でしか見たことのないような内装だった。
ぼくらが王座の前に立つと、衛兵が座るよう促し、顔を伏せるように命じた。
「貴様がたけしか。そして、お前は……」
王はぼくらの頭の上部のあたりを観察しながら、何かに気づいたのか、側近の一人に耳打ちをした。
「さて、たけし。何が起きたか、わかるか?」
「わかんねえよ。ズズメを見つけたと思ったらO市から飛んできてよお。気づいたらここにいたんだ。でも、なんか知ってるようで微妙に違う世界だったんだよな」
「それは、お前が“クリエイターの世界”から“やつ”を連れてきたせいじゃ」
王はぼくを指さしてから、ゆっくりと語り出した。
たけしが俺? と指を自分に指したが、王の指先はぼくに向いていた。