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12年ぶりに古巣職場を訪ねて考えたこと

こんにちは、ユキッ先生です。

先週、営業がてら、12年ぶりに古巣の職場にご挨拶にうかがいました。
オフィスが自宅から1~2駅ほどの距離にあって、特にトラブルが原因で辞めたわけじゃないのに、本当に1度も遊びに行ってなかったんですよ。
心の整理に意外と時間が必要だったり、その他のことの忙しさだったりで。

一緒にお仕事した先輩たち・仲間たちも、残っていそうな人たちはちゃんと残っており、資料であふれるデスク、雑然としたオフィスに至るまで、想像していたよりは変わっていませんでした。

会えたみなさんにはフレンドリーに声かけしていただいて、新卒で入った企業ならではの家族のような温かみを感じました。日本企業あるあるで、個人としてはみんないい人たちなんですよ、組織になるとアレだったけど。
彼ら(彼女ら、って書きたいけど女性の先輩は本当に少ない)のなかでは、いつまでも「現場で踏ん張ってる若手女子社員」のイメージが残ってるんだろうなぁ、などとも思いました。

そういうわけで、今回は改めて、キャリア振り返り編テキストです。
誰かの役に立てばラッキーですが、基本的に自分用メモです。

▽中途入社は入社時セルフブランディングでその先のキャリアの8割が決まる

さて、10年ずつ在籍した2社での経験について。

私の場合の2社は企業規模も業種もビジネスモデルも給与体系もかなり違うので、比較がかなり難しいのですが、ざっくり分類すれば「クリエイティブ系」という点で、現場で働いている人の空気感には、やはり共通する資質があった気はします。

まず、転職をしてみてしてわかったこと。もう12年前もですけども。
日本の雇用構造的に「新卒入社で定年まで」のモデルを外れるたびに、個人の価値が左右されがち(というよりは、よほど慎重にやらないとおおむね下がりがち)、というのは、まさにその通りだなと実感しています。

「中途入社は、入社時のセルフブランディングでその先のキャリアが8割決まる」といってもいいかもしれません。

これを最初に実感するのは転職活動における年収交渉で、異業種でも基本的に下げちゃダメだったんだろうな、といまさらながらに実感しています。このあたりの理解が足りず、実質下げて2社めへ入りました。これは明らかに後悔していることのひとつです。

また、同世代の新卒組と比較して優位に立てる点、「何ができる人」なのかというのを早い段階で上司やチームメイトに知ってもらう努力が必要ですよね。私は2~3年で回転するプロジェクトにアサインされていたのですが、上司の間でも人材情報がじゅうぶん共有されてなかったりという背景もあって、毎回非常に苦労しました。
もちろん、所属先が組織的にキャリア開発や管理について整備していく必要もあるのですが。そこをルールやシステムでカバーできる組織ってそうそうないでしょうね…。
働き手が減っていく市場を背景に、そこを個人に依存したままだと、優秀な人だけがガンガン価値上げながらいろんな会社を渡り歩く、というような傾向にならざるを得ないのかもしれません。

「定年まで1社で」コースを前提にしていると、自身のキャリアや能力について値付けをするという発想や習慣が生まれないのですが、これからは必須になってくるんでしょうね。外資系とかだと、雇用慣習の違いから、そのあたりがナチュラルに身に付くのかもしれない。

ちょっと本題から反れますが、公務員の給与額って批判されがちですけど、「その年代の人が生活するうえで必要な標準額」というふうにとらえるべきだと私は考えています。民間人の感覚で「工夫すればもっと少ない金額で暮らせる」というのが事実だとしても、「標準を下げるべき」という声を上げるのはあんまり得策じゃない気がする。

本題に戻ります。で、どういう仕事や就業形態を望んで働いていくかは未知数ですが、自分の子どもたちには、そういうキャリア教育はそれとなくしておく必要がありそうだなと思っています。ちょうど私の夫が、「定年まで1社で」をやり遂げられそうなタイプなので、父と母、キャリア教育のサンプルとしては対照的でちょうどいいのかもしれない。

▽クリエイティブ系業種の中小企業・大企業の差

私がフリーになる決意してから、元フリーランスで、現在は会社員をしているかつての仕事仲間と会ってお話する機会がありました。ずっと同業種で、大きい会社、小さい会社への所属経験があるそうです。彼と会話するなかでも、「中小企業と大企業、どちらが働きやすいか」という話題になりました。

私たちの結論でいうと「大企業にはやはり大企業の良さがある」ということでした。文字にしてみると当たり前で恐縮です。
彼が「フリーランスのときは、収入面での不安はあるにせよ、組織の一員としての人間関係のストレスはゼロだった」といっていたのも印象的でした。

これは業種特性という一面もある気がするのですが、組織が小さく流動性が少ないと、「デリケートな人ほど文化や慣習に耐えられず脱落する」という不健全なチキンレースになっちゃいがちなんですよね。そしてデリカシーがない人が多数派を占める組織になっちゃう。おそらく組織運営の面では、デリケートな人材というのは、それ以外の人よりも維持コストがかかるのでしょうね。でも、特にクリエイティブ系の業種で、デリケートな感性の人って本当に大事なんですよ。

なので、この業界で退職してしまう人って、「値打ちこきながら組織を渡り歩ける猛者」か「組織力学を前に脱落してしまうクリエイター」のどちらかになりがちなんだなあ。
ここのジレンマをどうにか乗り越える提案ができれば…とも思います。

そういう点も加味すると、私個人としては、仕事をするうえでは一人当たりの裁量の大きい小規模チームのほうが好きだし合っているんですが、なんせ当たりハズレが激しい、ガチャです。
育児のみならず介護などもそうですが、不確定要素を抱えているタームには、圧倒的に大規模プロジェクト、大企業のほうがいいですね。
なので、何度も書いているけど、大企業のなかで本丸でない部署にいた2社めの約10年間は、とても恵まれていました。

▽まとめ

私の場合は新卒就活以降、「大阪でクリエイティブな仕事をしたい」というテーマが中心にありました。結果的に、仕事のことだけ考えられた20代を小さい組織で、出産含めた家庭運営を見据えた30代を大企業で過ごせたのは、テーマに即した範囲での最適解だったのだと考えます。
もし、同じ業種に興味がある後輩世代に伝えられることがあるとするなら、次のようなポイントになりそうです。

1) 所属先乗り換えに必要なのは、自分自身による価値づけ習慣
2) 自身の「デリケートさ」と、ライフステージに見合った
  キャリアプランを考えてみよう

ほか、私のポリシーのひとつでもある、「文脈を変えることで価値を変える」みたいな考えについてももう少し掘り下げてみたかったんですが、今回は時間となったので、これにておしまい。


写真 /  2020年11月、伊丹空港展望デッキ

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