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掌編

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#ショートストーリー

【掌編小説】ドライブ

【掌編小説】ドライブ

 午前二時。
 原動機を背部に取り付けた洗濯機の蓋を開け、ジャンプして内部に乗り込む。この一連の動作はとくに練習をした。
 スタートを押すとぷすぷすと音を立てゆっくりと稼働した。もともとはドラム式の流線型のドアガラスに尻を突っ込み、まるで宇宙飛行士のように優雅に走りたかったが、妻からのお小遣いは足らずドラム式洗濯機なんて買えるはずもなかった。もちろん、本来の用途に使うのならばお小遣いの範疇を超えた

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