見出し画像

その声かけは成長に繋がるのか? 岩瀬コラム28

自分の思い通りに動かそうとしていないか?

「そこでパスを出せ」
「もっとゴール前に行くんだ」
「シュートを打て」

これは私が少年サッカーを観戦していた時に実際に聞こえてきた声です。
主にこの声を出しているのは、指導者や保護者です。

サッカーに限らず、他の競技でも似たような光景があるのではないかと思います。

このような声かけを聞いて、みなさんはどう感じますか?

確かに子どもたちがそのように選択をした方が得点に結びついたり、勝てる可能性があがるかもしれません。
私もみていてその方が良かったんじゃないかなと思うシーンはありました。

しかし、子どもの目線、言われた側の目線で考えるとどうでしょうか?

「出せと言われたからパスを出す。」
「パスを出さなきゃ怒られる。」

このような思考になってしまうと、子ども自身が状況を認知して、自分で考えて選択するという主体性がなくなってしまいます。

指導する側が、目先の結果に囚われて、自分の思い通りに動かそうとしてしまうことによって、子どもの成長を阻害してしまうこともあります。

「せっかく声をかけるなら、子どもの成長に繋がるような声をかけてあげたい」
これは指導者の方も保護者の方も誰しもが想っているはずです。

あなたは人に指導する時にどのような声をかけていますか?



問いかけてみる

多くの指導者や保護者の方が、子どもに自分で考えて主体的に行動できるようになってほしいと想っています。

しかし、上述したような指示は、子どもの選択肢を狭め、自分で決断する力を奪ってしまいます。

そこで大事なのは「問いかけ」です。

「今どんな状況だった?」
「他にどのような選択肢があった?」
「優先順位が高いのはどこ?」

このように、相手に答えを求めるようなオープンクエスチョンを使って問いかけていきましょう。
(反対に「はい/いいえ」のように答えるような質問をクローズドクエスチョンといいます。)

オープンクエスチョンを使うことによって、子どもは自分のその時の認知や考えを整理する機会になります

時には「こんな選択肢もあったよ」と教えることも必要なこともありますが、問いかけることによって子どもの「考えて判断する力」が育っていきます。

このように言うと、「試合の時に問いかけて考えを聞いている時間はない」などと言われてしまいそうですが、試合はこれまで積み上げてきた結果が現れます。

だから、普段の練習や日常から問いかけるように意識していきましょう。

日頃から考えて選択していく習慣が、主体的な行動に繋がっていきます。

ただし、それでも判断を間違えることは誰にでもあります。

その時に、「なんでそんな判断をしたんだ」と怒鳴ることは避けましょう。選手が萎縮し、失敗を恐れてしまうかもしれません。

指導者は「失敗しないようにする」のではなく、「失敗を恐れずにチャレンジできる」ようにアプローチしていくことが大切です。

時間はかかるかもしれませんが、指導している相手に「どのようになってほしいか」を考え、時には怒るのを我慢することも必要だと思います。


また、問いかける時に注意しなくてはいけないことがあります。
普段からミスばかり指摘していると、「問いかけ」を行っても、相手には否定されているように感じることがあります。

「どうしてパスをしたの?」という問いかけが
→「そこはパスじゃないだろ」と言われているのと同義になっているような場合です。

このような場合、「どう答えたら怒られないかな」というような答え探しのような回答になってしまいます。

そうならないためにも、悪いプレーだけでなく良いプレーにも問いかけたり、出てきた答えを否定したりしないように気をつけましょう。
選手に、「自分の意見を言っても大丈夫だ」と安心させてあげることから始めていく必要があるかもしれません。

私自身も、ミスしたプレーや気になるプレーを指摘してしまうことが多く、「問いかけ=否定」と感じさせてしまうことがあったし、今でもそうなってしまうことがあるのでこの部分は特に注意しています。


まずは試してみる

「問いかけた方が考えるきっかけを与えらるのはわかるが、時間がかかる。」
「そんなんじゃ試合に勝てない」

このように思ってしまう気持ちもわかります。

しかし、指導する側も1つのやり方に固執するよりも、いろいろな方法を試してみるのも大切です。

試してもいないことを否定するよりも、まずは取り入れてみる。

試してみて、良い部分は残し、上手くいかなければ、また元の方法に戻せばいいのです。

いろいろな方法を試してみることによって、自分が最適だと思っていた方法よりも良い方法がみつかるかもしれません。


「指導者として結果を残したい」
「親として子どもに成功体験をさせてあげたい」

この想いはとても大切だと思いますし、成功体験を通して自信をつけて欲しいという気持ちもよくわかります。

しかし、目先の結果ばかり求めて、選手が競技そのものを楽しめなくなったり、失敗を恐れてチャレンジできなくなってしまったら元も子もありません。
全員がプロになるわけではない中でスポーツを純粋に楽しむこと、その後の社会生活に必要な人間性を養っていくことも指導者としての重要な役目です。


どうしたら目の前の人がより成長できるかを考え、実践していきましょう。
あなたの声のかけ方で、成長の仕方は変わります。

その声かけは、あなたの大切な人の成長に繋がっていますか?


お読みいただきありがとうございました。


岩瀬勝覚
理学療法士
JARTA認定講師/認定スポーツトレーナー

日々の活動やトレーニングの様子を配信しています。

Facebook

Instagram

Podcast(心と身体の“羅針盤”)
_______________________________________

小さな日々の気づきや学びはこちらのブログで更新していますので、 ぜひこちらもご覧ください。
《心のストレッチ》ブログ
https://ameblo.jp/akayamaschool/

《湧く湧くマガジン》編集部を含めた仲間とともにオンラインサロンを運営しています。 心と身体はつながっている。そんなことを感じたい、自分の心身の不調を改善するヒントが欲しい方はぜひのぞいてみてください。
《心のストレッチ》心身相関 Lab
https://jinriki-aka.jp/shinshinsoukanlab/

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

想定外理論。 この未完成で不完全な理論と共に日々の習慣に変調をもたらし、それぞれの解釈による行住坐臥の実践日々のワクワクに繋がるように、そして自分の中から何かが湧く楽しみに枠 組みを外しながら湧く湧くしていきましょう!!! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
行住坐臥とは
https://jinriki-aka.jp/wp.../uploads/2018/04/message.jpg

━━━━━━━━━━━━━━━━━
《湧く湧くマガジン》編集部
━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇編集長 赤山僚輔 / 理学療法士
財)日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
LIbreBody GM
(株)JARTA international 統括部長

◇編集委員
後藤隆志/理学療法士
平山鷹也/理学療法士
岩瀬勝覚/理学療法士
堀田孝之/理学療法士
-------------------------------------
人力 JINRIKI 合同会社
https://jinriki-aka.jp
運営責任者:赤山僚輔
-----------------------------------

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?