『つきとつりをする少年』 第3話
みなさん、こんばんわ。
きょうはつきのひかりが川にキラキラとうつっている、
きれいなもりのおくにきて、つりをしています。
もりと、川とうみはつながっていますから、ぼくたちはどこをめざしてもいいんです。
でもよるなので、おさかなもねているかもしれないし、
きょうもつれるかどうか、じしんがありません。
この川ではいつもはっぱさんのおはなのさきをかります。
はっぱさんは、ゆらゆらと、とりとめもなくこの川でおよぐのがだいすきなんです。
いつもごきげんです。
はっぱさんはいつもごきげんなようすなんです、
『やあ!また、きたのか、きみ!
ここまでくるのたいへんだっただろう。よくきたね!
どうせ、またとくいじゃないつりをしにきたんだろ!?
どうしようもなく、きみはゆかいなやつだね!』
『はい。そうなんです。ここにくるまでにこんかい、
だいぶじかんがかかりました。
バスにのるきっぷをなくしてしまったりして、ちょっとたいへんでした。』
でもはっぱさんは、
『バスのきっぷがあってもなくても、きみはここにこれた。それはすばらしいことだよな!』と、ぼくをほめてくれました。
きっぷをなくしたのはぼくのせいです。おそらくカバンをゴソゴソやっているうちに、バスにのるまえにどこかにやってしまったのでしょう。
ぼくはつづけていいました。
バスさんにもいやなことをいわれました。
『こんなところになにをしにきてんだ?
きっぷもなくしてどうしようっていうんだい?』といわれました。
ぼくは、
『ぼくのだいじなひとと、つりをしにこようとしていました。じゆうにできることを。』
とこたえたとき、そのときバスさんは、
『じゆうってなんなの?
じゆうにきみがあそんだり、つりをするってことにどんないみがあるの?
こちとら、じかんをまもる、こうつうじこはおこさない。とうちゃくじかんをまもる。
あたりまえたけど、そんなじゆうなこと、おくのもりでやられたらごめんだね、
まったくどうしようもなく、あきあきするよ。』
これをぜんぶはっぱさんにはなしたら、
『まったくきにしなくていいよ、きみ!!
こころによゆうのないひとに、きみのこころはまったくひびかないだろう。
なんせかれらにはわからないんだよ!きにしちゃいけないよ!
きみはじゆうにつりをすればいいんだよ!』
といってくれました。
ぼくにとっては、とてもありがたいことをはっぱさんからおそわりました。じゆうなこと。
でも、だれかにめいわくをかけているのなら、つりはしないほうがいいのかなと、すこしおもいました。
だってバスさんもイライラすることもないし、みんなおこることもないし、
だいいち、はっぱさんもげんきすぎることもないじゃないですか。
そのほうが、ぜんぶいいっておもうこともあります。
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