JLPT対策授業の組み立てWS
みなさん、こんにちは!こんばんは!
新米日本語教師のつゆです。
皆さんに勉強会のまとめをどう共有するか考えたところ、noteを始めることにしました。読みにくいところもあるかと思いますが、少々お付き合いください。
記念すべきnote投稿1回目は、9/18(土)21:30-23:00に開催しました「JLPT対策授業の組み立てWS」のまとめをお届けします。
先ずは、今回の勉強会の流れから。
1.勉強会の流れ
こんな感じで、最初に「漢字(文字)・語彙」の授業をどう組み立てるか、紅組と白組でBORに分かれて15分話し合っていただき、メインルームに戻って15分で全グループのまとめを発表していただきました。
文法も同じ流れです。
しかし、当日議題を出されてもすぐ考えが浮かばないのと、時間を有効に使いたいがため、参加者のメンバーには事前にある程度考えてきていただく宿題をだしました!!笑
さらに、勉強会の時間も1.5時間と限られています。広い範囲をみんなで考えてもあまり意味がないと思いまして、かなり限定したシチュエーションで意見を出していただくことにしました。
その限定したシチュエーションはこちら。
2.今回の対象学習者
ちなみに、オンラインです。
3.漢字(文字)・語彙
では、「漢字(文字)・語彙」の範囲を紹介します。
使用教材は、「45日間で合格レベルへ日本語能力試験対策N2漢字語彙」の一部。
話し合うテーマは
「指定した漢字語彙の用法の導入から活用までどのように授業展開するか」
では、みなさんから出た意見をまとめていきます。
【白組】
そもそも漢字学習とは?という角度から考えた。
今回は非漢字圏学習者が対象。その彼らがいったいどのような悩みが多いかについて、某有名大学の論文を引用して6つのことがわかった。
では、これらの要素を少しでも感じさせないように、どのように授業展開するのか。
ポイントは以下4つ
①自律学習に繋げることが大切
②文脈で学習
③漢字=読み・書き・未習か既習かという発想からの脱却
④漢字は”表意文字”なのだから、意味を理解することが第一
(読み方はわからないが意味がわかる方が大切 (例)月→イメージで🌙が脳裏に浮かぶ→読み方を知る→定着する)
④の理由から、某有名大学の先生は、漢字を分解して部首などをグルーピングするなどして定着させる授業を試みてみた。
しかし!! 漢字を分解した場合、非漢字圏の学習者は新しい組み合わせになると、学習した漢字が入っていても全く違う文字に見えてしまうとのこと。(例)熊と態
じゃあどうしたら…?某有名大学の先生によると、
A「なるべく細かく細かく分解して単漢字から類推し、意味を予測できるように説明する。」が必要とのこと。(例)態→ム、月、ヒ×2、心(え、予測できる?←心の声)
さらに、
B「一人の学習者につき一つの漢字を調べてきてもらい、その学習者が先生役になってその漢字を他の学習者に説明する。」もよく定着したとのこと。
以上から漢字学習には、
自律的、文脈的、表意的が大切であることがわかった。
ただ、日本語学校の授業は何にせよ時間がない!
実際の授業では45分でどこまで理解し定着できるかが勝負!いいやり方(A・B)があってもその授業で覚えてもらえないと意味がない。今回も1漢字につき3分~5分と決まっていて、実際の授業では45分で12文字も!
では、今回のケースではどのような流れで進めて行けばいいのか。白グループの答えは以下となりました。
流れ
①漢字から意味を予測する→グルーピング(熟語、類語、反・対義語、共起語等)までを宿題で出す ※厳密に類語かどうか調べなくてもいい、漢字の見た目から類語だと思う語を集めてもらう
②調べてきたものを解説含めて、先生と確認する
③例文を提示し文脈でさらに理解を深める
さらに時間に余裕があれば…
④レアリアを用意(例)「除く」の場合は道路標識の写真などで実際に使われている場面を提示
以上が、白組のまとめでした。
15分でここまで話し合えるって凄いなと感心しました。
お次は紅組の発表!
【紅組】
授業展開の流れ、
①宿題をしてきている学生は再確認、してきていない学生はわからないまま終わることが無いよう勉強する漢字をWBやパワポで提示し読み方を一回確認する。
②コロケーションを確認してJLPTの問題に対応できる力をつける
③熟語、類義語、反・対義語、共起語を時間の許す限り確認
以下は時間に余裕があったら実行…
④似た漢字(例)「熊」「能」「態」を提示してどこが違うか確認
⑤使用場面を確認
⑥今回は全員がベトナム人なので、似た意味の言葉で日本では使い分けるがベトナムでは使い分けるのかを考えてもらう。(例)「除く」と「省く」など
別案として、「漢字の”字義”(字が持っているイメージ)を確認する。」という意見もあがった。
しかし、漢字だけの授業だったらやってもいいが、今回はJLPT対策、さらに時間がかなり限られているということで却下。。泣
漢字(文字)・語彙のまとめは以上となります。
4.文法
お次は、文法!範囲を紹介します。
使用教材は、「日本語能力試験直前対策N2」の一部。
話し合うテーマは
「問題9(文章の文法)を15分で授業するとしてどのように授業展開するか」です。
みなさんから出た意見をまとめていきます。
【紅組】
紅組では2パターンの授業展開が検討されました。
パターン1
①スキーマの活性化として文章に関係する小話をする
②文章中に省かれている主語の確認をする
③答え合わせをした後に段落ごとに要約をする
パターン2
①事前に教師から答えを提示する
②どうしてこの答えになったかを学習者に考えて答えてもらう
パターン2の方法には色んなメリットがある。
メリット①→時間の短縮になる
メリット②→どうしてその答えが正しいのかを自律的に考えてもらえる
メリット③→同じような問題が出てきたときに正しい選択が可能となる
メリット④→プライドが高い、間違えた答えを言うのを怖がる学生にも有効
これは!いいアイディアですね!私も実行しようと思います!
お次は白組!
【白組】
白組から出てきたポイントは以下4つ。
①問題9文章の文法は読解問題のようだが、読解問題ではないので読解の授業にはならないように意識する⇒文脈から文法問題を解かせる
②音読/範読はしない
③資質・能力/教科を超えた知識に関しては学生に任せる
④汎用性のない・非経済的な語彙・知識に関しては広げない
15分の授業展開はこんな感じです。
①段落ごとに意味確認/語彙(キーワードの)確認(5分程度)
②文法説明(10分)
⇒時間が余れば/良問であれば短文作成で文法の定着(条件指定)
以上が、白組のまとめでした。
その後、全員で話し合いました。
紅組白組の同意見としてでてきたのは、
「N2の問題9「文章の文法」は読解問題ではない。」ということ。
つまり、スキミング、スキャニング技法はここではメインでは教えないという意見でした。
たしかに、これは「文章の文法」の大きなポイントでもありますね。
JLPT対策をしたことが無い先生方はそれぞれのレベルN5~N1は、どんな問題があって、それはどのように解いて、どういう注意点があるかを分析すれば言っている意味がわかると思います。
その他、こんな疑問が出てきました。
Q1.答え合わせを先にして、間違いの多い問題を重点的に解説するのはどうでしょう?
A 1.時間が無い場合はその方法もあり!ただ、正解の根拠を確認して、他の問題がなぜ間違いなのかを理解していなければ他の問題で間違える可能性があるかも?
さらにはこんな意見も、
『「よく分かってなくてまちがったところ」だと教師の解説をインプットするだけで済むんですが、「分かってたと思ったのにまちがったところ」はアンラーニング⇒インプットが必要なので時間がかかりそうです。』
確かに~!教師側の腕の見せ所でもあり、難しいところでもありますね。
5.JLPT対策としての文法授業とは
JLPTの解き方は練習で消去法を徹底することによって、同じ間違いを繰り返さないようにすることが大切ですよね。
文法の間違いの見つけ方としては
①接続
②助詞・コロケーション
③前後件との関係
これで、だいたいの間違いを見るけることができると思います。
6.まとめ
今回はJLPT対策授業の組み立て方として大きく2項目について話し合いました。いや~~~Zoom有料会員になった甲斐がありまくりです!本当に自分がしたい勉強会が実現できていて感無量!皆さんに感謝でしかない!
余談ですが、海外の大学ではJLPT対策授業はされないそうなので、今回の勉強会で日本の日本語学校の授業が如何にぎゅうぎゅうなのかに驚かれている方も!
そうなんです、時間との勝負感は否めない。。
また、改めて思うのが、対象の学習者や人数やニーズによって同じ範囲でも全く違う授業になること。
私達は、日本語学習の薬剤師(ネーミング笑)のような立ち位置で、日本語学習が必要な学習者に合った学習やカリキュラム(処方箋)をお届けすることが必要ですね。
7.今後の勉強会について
勉強会の中で、「多読」「JLPT文法の並べ替え問題」等が今後の議題で上がりました。是非開催したいと思います。他にもこんなことを話し合いたいなど意見がありましたらいつでもDMしてください。
あと、漠然と考えていることがありまして。
この新米日本語教師の勉強会を始めて来月で1周年になるのですが、この1年で成長したことを話し合ってお互いをただただ褒め合う慰め合うみたいな会してみたい(笑)まあ、雑談ですね。気が向いたらしましょう。はい。
次回の勉強会は10/16(土)21:00-(予定)で今流行りの日本語教師のコーチングについて勉強したいと思います。
また、コンテンツ決まりましたら改めて案内しますね。
最後に、、、
今回も濃い!!濃すぎる!!!!そんな1.5時間でした。
これも、参加者の皆さんが積極的に発言してくださったり、用意してきてくださったおかげです。
本当にありがとうございました。謝謝
つゆ