言語が隔てるものとは


「歡迎光臨」お店に入るたびに言われる言葉

会員ですか?温めますか?載具ありますか?


次から次へと言葉が飛んでくる


言葉のキャッチボールもままならないわたしは、小さく首を振るだけ



わからない顔をする私に、めんどくさい、といった表情の店員


その繰り返しを経て、コンビニに行くことすら嫌になった



何気ない暮らしのすべてで、宙ぶらりんだった


赤ちゃんに戻ったような日々だった


意思はあるのに、通じない、伝わらない


もどかしさを感じながら暮らして3ヶ月が経ったある日


自宅を出てすぐの路地を歩いていると、木々の隙間から光が差し込んで綺麗だなと思った



日本から持ってきたフィルムカメラを構えていると、近くの家からおじいちゃんが出てきた


今までなら、背を向けていただろう


ああわからない、どうしよう、と


でも、勇気を出して你好、と挨拶をした



その時、おじいちゃんはふわりと笑って、大きな声で你好!と返事をしてくれた



単純なひと言、本当にそれだけなのに心が通じ合う瞬間があった


最近は台湾の友達とも台湾華語で話すし、コンビニも怖くなくなった


そんな日々があるのにも関わらず、おじいちゃんとのたった一言が、簡単な挨拶が、私自身の壁を取っ払ってくれた



言語の壁はまだまだ高い、でも、言語が成す隔たりは、意外とひょいと越えられるものなのだと実感した




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