【雑感】2023/4/29 ACL-Final-1stLeg アルヒラルvs浦和
試合開始前から中継に大きな声が入ってきて、彼らの大きな貢献によってホームへ良い形で帰って来られるというのはとても良かったですね。
試合序盤はアルヒラルの方もホームだしイケイケでいったれというテンションだったと思いますし、浦和の方もハーフコートゲームを覚悟していたことが少しネガティブな方向へ作用したのかなと思います。
アルヒラルのネガトラが早かったというのはありますが、浦和の方がボールを取っても上手くトラップできなかったり、パスが弱かったりズレたりと、試合の雰囲気に慣れるまでに時間がかかったのは、こういう舞台での経験がまだまだ足りないということなのかもしれません。
アルヒラルの方は外国人がチームの主力であり、そのうち誰を起用するのかというのが大きなポイントだった訳で、チョイスされたのはイガロ、マレガ、ミシャエウという前線の3人。配置は4-4-2で、ミシャエウが右、アルドサリが左でスタートしました。
試合のほとんどの時間がアルヒラルの保持vs浦和の非保持という構図だった訳ですが、アルヒラルの保持については予習していた通り、2CBのところに中盤2枚が下りてきて4枚でビルドアップを行うという形でした。
アルヒラルが多くの試合で採用していた4-3-3の配置では右IHが前線に絡んで、右SBと右WGの2枚が外レーンの縦並びになってももう一枚がすぐ近くにいるというのが強みとしてあったのですが、この試合ではマレガがFWとして起用されていたのもあって、彼らの中でも何かしっくりこないような感覚はあったのかもしれません。
4人のビルドアップ隊、右サイドの2枚、2トップという3か所に選手が分散していて、アルドサリが動き回ってなんとかその間を取り持とうとするものの、浦和の方が粘り強く4-4-2のブロックを崩さなかったことで、決定的な場面は失点シーン以外は発生しなかったと思います。
それだけでなく、ブロックの内側かつ、浦和の中盤の選手の背中でボールを受けようとする選手が少ないので徐々にチーム全体で前向きにアクションを起こせるようになり、27'35~のように敦樹がFW-SHのゲートを埋めに出ていってボールを奪い、チャンスを作る場面もありました。
30分を過ぎたあたりでアルヒラルはアルドサリがトップ下、ミシャエウを左、マレガを右にした4-2-1-3に変更したのは、ピッチ内の選手をもう少しバランス良く配置したいという思惑があったのではないかと想像します。
後半になるとまたアルヒラルは試合序盤と同じ4-4-2の配置に戻してはいたものの、アルファラジとカンノはなるべく浦和の2トップの背中にいて簡単には落ちないようにする回数が増えたように見えました。
ただ、興梠と小泉、状況によっては大久保がそこに入れ替わることもありましたが、2トップがしっかり中を閉じて簡単にボールを入れさせなかったことは大きかったと思います。そのおかげもあってか、後半が始まって10分経過したあたりからはまた2CHが最後尾に落ちる回数が増えていきました。
そこで再び前半と同じく4-2-1-3に変更してバランス調整を図り、カンノが足を攣ってオタイフに交代するとアルファラジをIHに押し出した4-1-2-3に変更しましたが、この時間帯になるとスタジアムから聞こえるのは浦和サポの声ばかりで、ホイブラーテンが見事に足を止めたのにマレガが倒れこんだり、岩尾の執拗なホールディングはあったもののアルドサリが岩尾を蹴ってしまって「サウジの車屋」を襲名するなど、アルヒラルの選手もサポーターも平常心でプレーできなくなっていたように見えます。
浦和の保持vsアルヒラルの非保持については、アルヒラルが4-4-2の間はアルファラジが岩尾のところまで捕まえに出てくることで浦和のビルドアップ隊をオープンにさせないようなアクションがありました。ただ、先述の通りアルヒラルが保持の調整のために4-2-1-3に変更すると、初期配置ではアルドサリが岩尾を見るような形になるので浦和が3vs2の数的優位を作ることが出来てボールを持ちやすくなりました。
後半はキックオフ早々にホイブラーテン→酒井→敦樹と綺麗にボールが通って相手ゴール前まで侵入出来たことでかなり気が楽になったのか、前半よりも相手の矢印の根元でボールを落ち着いて扱えるようになりました。45'40~の縦パス2本で前進した場面はアルヒラルの非保持の特徴である前向きにアクションは多いけど、その背後を周りがケアするアクションは少ないというのを上手く利用できたのではないかと思います。
また、ゴールポスト選手の多大なアシストはあったものの、興梠のゴールに繋がるボール前進もアルヒラルの非保持でのアクションが前向きなものは意欲的だけど、後ろ向きなものは怠りがちというところが露見した場面だったと思います。
この試合の浦和については、交代で入った選手がスムーズに溶け込みながらチームのアクションに力強さを加えたことを見逃すわけにはいきません。ホセカンテはちょっとプレッシングが危ういかな?という場面もありましたが、安居が小泉に代わっても遜色なくコースを限定しながらプレッシングしていたり、早川も気持ちに余裕がなくなっていった相手に対して真っすぐに矢印を出してボールを蹴らせていたり、周りの選手が疲れている代わりにしっかり走っていたのはとても良かったと思います。これは、マチェイさんが開幕からある程度スタメンとそこからの交代手順を固定してきた成果と言えそうです。
さて、この試合で僕らは現地に駆け付けた700人の力を思い知ったと同時に、人数では圧倒的に優位なはずのアルヒラルサポーターがそこに居合わせただけの人たちのように熱量の低い振舞いをするとこれだけアウェーチームが頑張れてしまうということも目の当たりにしたはずです。
僕は鈴木啓太が引退試合の後に北ゴール裏で言った「時代は変わる、選手も変わる、クラブのスタッフも変わる。でもサポーターは変わらない。だからこれからもよろしくお願いします」という言葉が胸に深く刺さっています。
今回、ACL決勝を経験していたのは西川と興梠が3回目、関根、岩波、柴戸、犬飼が2回目、後の選手は初めてです。5月6日にスタジアムに来る人の中にはこれが4回目になる人が沢山いると思います。4回全ての決勝を現地で観られていなくても闘っていた人をカウントすればもっと沢山いると思います。
僕らの強みは浦和レッズとしての勝ちも負けも選手たちよりも多く経験してきたことで、その経験がスタジアムの空気を作って、選手たちを前向きにさせることが出来ると思っています。
クラブが彼らなりにこの決勝で勝つために何をすべきかを本気で取り組んだ結果がこの南スタンドの運用なら、この心意気に応えるのが僕らサポーターの「浦和を背負う責任」だと思います。
本気で勝つしかない空気を作ろう。スタジアム全体で相手を圧倒してやろう。来年もこの舞台で戦うために、その権利を勝ち取ろう。あのサポーターには適わないって思い知らせてやろう。ACLの主人公は俺たちだ。
今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。