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「浦和レッズ三年計画を定点観測」~#30. 2020 J1 第24節 vsC大阪 レビュー&採点~

前節は6-0と仙台を圧倒し、皆さんのアンケート結果も10項目中8項目で今季最高点をたたき出しました。そちらの記事の最後で

この試合の点数が次のセレッソ戦でも継続すれば素晴らしいですし、そうなっていけたときには三年計画の時に掲げたように「常に優勝争いが出来るチーム」になっているのだろうと思います。

ということを書きましたが、見事に今節もここ数試合で観られたチームとしての積み上げが継続して表現されていましたね。
試合後の大槻監督のコメントでも

僕自身の選手への要望としては、もっと自信を持ってやれ、ということです。もっと今までやってきたものへの自信を持ってほしい。それは今日出ている選手だけじゃなく、グループとしてやっていること、結果に対して自信を持つのではなく、今やっていることに対して自信を持つ、今やっていることを継続していることに対して自信を持つというところを選手と共有したい、という思いが強いですね。

と、出ている選手での属人的なものではなく、グループとしてチームとして取り組んできたことの成果としてこの結果があると捉えているようです。

一方で、セレッソのロティーナ監督も

私の印象としては、チームはとても良いプレーをしたと思います。
(中略)
3失点目以降はわれわれの組織が崩れた状態になりましたが、試合全体を通じてチームの出来には満足しています。少し運や流れがこちらに向かなかったのかなと思います。

とコメントしているように、「チームとして」の戦いではお互いが意図をもってそれをぶつけあったという展開になったと思います。

では、まずはこの試合で浦和とセレッソがどのようなスタンスでぶつかったのかを振り返っていきます。


この試合のメンバーは以下の通りです。

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浦和のスタメンはイエローカードの累積で宇賀神が出場不可のため左SBには山中が入った以外は柏戦、仙台戦と同じでした。ベンチには故障から復帰した青木が久しぶりに入った他、アタッカーとしての控えに柏木や関根ではなく伊藤が入りました。伊藤については狭く守るセレッソに対して、そうしたスペースでも器用に振舞えることを期待しての選考だったのかなと想像しますが、出場時間があまりにも少なかったのでここについての確認は出来ませんでした。

一方セレッソは前節の横浜FM戦で2得点を挙げた豊川を起用。ほとんどの試合でスタメンを張ってきたブルーノメンデスはベンチからのスタートとなりました。また、開幕から常に試合に出続けていた右SBの松田陸は故障のため、ここにはロングスローが武器の片山が入り、セレッソとしては得点チャンスのあるセットプレーを多めに期待できる布陣でした。


浦和とセレッソはお互いに4-4-2かつパターンではなく原則の中でポジションを取るというところは共通しているものの、その中身は4局面のどこを取っても対象的な戦い方を見せます。

ボールを奪ってから攻撃への移行では、相手の陣形が整う前に一気に前に出て行く浦和と、一旦ボールを落ち着けて自分たちの陣形を整えてから前に出るセレッソ。ボールを奪われてから守備への移行では、すぐさまボール保持者に襲い掛かって奪い返しに行く浦和と、相手の前進を阻みながらボールを奪い返せるタイミングを見計らうセレッソ
簡単に言えば、突撃型の浦和と狙撃型のセレッソというイメージでしょうか。

◆セレッソが準備してきたもの

狙撃型のセレッソは浦和の守備でのプレッシングをかけるタイミングやその矢印の向きについてはきっちり準備してきたことが伺えました。
浦和はここのところは無闇にプレッシングをかけるのではなく、一旦ミドルゾーンでブロックを作り中央を2トップが閉めることで外側へボールを誘導し全体でボールサイドにスライド。相手が前進をあきらめてバックパスをしたところに対して一気に全体で押し上げていくことが多いです。
さらに、押し上げていくときに生じるそれぞれの背後のスペースは2トップの背後はCH、CHの背後はCBといったように、後ろの列の選手が前に出て潰すことで対処します。

この動きを逆手に取りたいセレッソは、ボールを持った時に一度テンポを落として自分たちの陣形を整えると同時に浦和にブロックを作らせます。ここからゆっくりビルドアップを開始し、それが詰まってバックパスをした時に一気に裏のスペースを突きに行きました。

まず最初にキックオフで丸橋までボールを下げると、ここから一気に前線に走った奥埜へロングボール。奥埜が落としたボールを豊川が拾うとそのままシュート。

さらに、3'20には浦和陣内でのフリーキックを行った後、ボールを回収すると一番後ろのキムジンヒョンまでボールを下げます。ここで、キムジンヒョンはすぐにボールを動かすのではなく、一旦間合いを取って味方にポジションを取る時間を作りました。

ここからセレッソがビルドアップを開始し、片山のサイドから前進を図りますが汰木が縦のコースを塞ぎ、エヴェルトンもすぐさま内側のスペースを埋めたのでこちらからの前進をあきらめてバックパスを選択。ヨニッチを経由してキムジンヒョンまで戻します。そして、ここで浦和のプレッシングスイッチが起動。ヨニッチに対して興梠、瀬古とキムジンヒョンに対して武藤、デサバトに対してマルティノスと、一気に前がかりにプレッシングをかけて、後ろの列もそれに呼応して全体を前に押し上げます。

ここでキムジンヒョンは一気に浦和の最終ラインの背後へボールを蹴り出し、計ったように豊川がボールを追い、奥埜が豊川からの落としを受けます。清武、丸橋が走り込んでくるとペナルティエリア内にボールを送り込み、コーナーキックを獲得。

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6'00のセレッソのビルドアップも同様で、最終ラインで安定してボールを持ったところから瀬古が運んでいくところへ清武が下りてきて後ろへ戻します。左の外側へ流れた瀬古へ再びボールが入るとマルティノスと橋岡がそれぞれ前に出て行った背後のスペースへ再び豊川が走り込みます。

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ここは岩波に対応されましたが、裏のスペースへ走れる豊川を起用したことについての種明かしが試合開始早々にされた訳です。

そして27'15に浦和のゴールキックを木本が跳ね返し、豊川が岩波から後れを取ったように見えましたが後ろから勢いよく飛ばしていったことで岩波を追い抜いて一気にゴール前まで運んでシュート。
狙った形かどうかは分かりませんが、先発起用された選手のキャラクターが活きたことによる得点となりました。

ただ、セレッソもすべて裏のスペース狙いということではなく、それをするのはきちんとポジションを取ったビルドアップで前が詰まってやり直そうとしたときの二の矢の策。当然、ビルドアップ自体もきちんと準備をしてきています。

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前回対戦で浦和が痛い目を見た坂元の突破力を活かしたのは紛れもなくセレッソのこの仕組みでした。左右のSHは異なる役割を担っており、左の清武が相手の中盤ライン付近でボールを持って相手を引き付け、逆サイドの外側で待つ坂元へ大きく展開するのが鉄板パターン。

しかし、その時と違うのはセレッソの右SBが松田ではなく片山であること。内側でデサバトと横並びになるようなポジションで細かいスペースでのプレーが出来て相手のSHを引き付ける役割が出来る松田に比べると、片山はそこまで細やかな技術はないので基本ポジションは外レーン。

浦和はブロックの外側にいる相手に対してはSHが出て行って対応するケースが多く、セレッソのSBは浦和のSHと同じ高さがスタートポジションであることが多いため、そのまま汰木が片山、山中が坂元と意識する相手が特定しやすかったことや、浦和のボールサイドへのスライドが早く、ボール保持者が逆サイドへ大きく蹴り出せるほどの余裕を与えなかったため、セレッソの左で作ってから右へという展開を許す場面はほとんどありませんでした。

一方でセレッソの左側は清武が長澤とマルティノスの間を漂い、外には丸橋が固定されていたことで、橋岡とマルティノスが清武と丸橋をどのようにチェックするのか悩まされます。
しきりに2人の間で確認を行い飲水タイムには大槻監督を交えたディスカッションを行います。これによって導き出した浦和なりの回答は橋岡が外に出る丸橋を縦方向からチェックしてパスコースを内側に制限すること。

これによって前方向の内側は岩波がスライド、後ろ方向は長澤やマルティノスが対応可能。さらに、清武が縦スライドした背後を狙った時には長澤がついていく。清武としては前に出ても後ろに下がっても長澤に強く当たられることが多く、44分には清武にしては珍しく長澤に対してアフターチャージをしてイエローカードをもらってしまいました。


◆サポートを怠らない長澤

さて、浦和のボール保持がどうだったのかというと、この試合でも前節の仙台戦で顕著に見られたボール保持者に対する適切なサポートを取り続けることで、ボールを奪われてもすぐさま相手に寄せていくことが出来、高い位置で奪い返して再び攻勢に出るシーンが目立ちました。

特に中央の長澤とエヴェルトンはすべての選手に対して内~中央レーンでサポートの位置を取り続けます。
12'00には槙野からのパスを受けた山中に対して横サポートを取り、山中から汰木にパスが出るとすぐさま汰木の後サポートに入ります。ここでボールを受けると中央へ運んでから興梠へパス。興梠との息が合わなかったこともあってか、長澤は興梠にパスをした瞬間にすぐさま興梠の後サポートの位置へ移動。瀬古にパスカットされてしまいますが、長澤が後サポートの位置に入れていたためすぐに第1守備者となってそのまま瀬古に対してプレッシング。ここでは取り切れなかったものの、瀬古からボールを受けた清武に対して長澤の後サポートの位置を取っていたエヴェルトンが中央スペースの蓋をすることで奥埜へのコースを塞ぎ豊川へのパスを誘導。豊川が足を滑らせはしたものの、岩波がここに対してしっかりついていたことで、浦和としては難なくボールの奪回に成功しています。

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そして失点から4分後に高い位置でボールを奪い返して追いつきます。
槙野から武藤めがけたボールがヨニッチに処理され、フリーの片山から清武へ浮き球のパスが出ます。この時にピッチ中央で常に周囲のサポートをする長澤がスタンバイしていたことでこのパスをカット。

武藤にボールが出た段階で後サポートをしていた興梠と、ヨニッチが処理したボールを片山が受けた段階でプレッシングをしていた汰木は長澤がパスカットしたときにはそれぞれがそのままの流れでゴール方向にプレーできる状態でした。

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興梠がヨニッチと片山の間へ走ったことで片山が内側に引き付けられ、外の汰木がフリーになります。武藤が1テンポためてからスルーパスを出すと片山を出し抜いた汰木に対して瀬古が遅れてタックル。これがファウルの判定で浦和はPKを獲得。興梠が落ち着いてゴールの隅に蹴り込み3戦連発の今季8得点目。
失点しても気落ちすることなく、それまでのプレーを続けたことは非常に良かったと思います。

さらに前半のうちに逆転ゴールも生まれます。
西川からのロングボールを武藤が落とすとこれを右サイドで橋岡が拾い、外側をマルティノスが駆け上がります。橋岡がマルティノスにボールを預けるとそのまま内側のスペースで高い位置を取ります。マルティノスに対して木本が橋岡を追いかけてきた流れですぐさま左足の前に距離を詰めて行き手を塞ぎますが、ここで再び長澤登場。
マルティノスに対して後サポートに入ってフリーでボールを引き取るとすぐさまクロス。ゴール付近には武藤、橋岡、エヴェルトン、汰木、興梠とかなりの人数をかけますが、ここは片山に跳ね返されます。

エヴェルトンがゴール前に入っていたので内側にポジションを取っていた山中が跳ね返されたボールを拾って豪快に左足を振りぬきます。ゴール前で武藤の対応をしようとした瀬古にシュートが当たってコースが変わりそのままゴールへ。


「自分たちのプレーを続けよう」
「今まで通りにやろう」

前者はロティーナ監督のハーフタイムコメント。後者は大槻監督のハーフタイムコメント。お互いに想定した展開を繰り出すことが出来ていて一定の手ごたえを感じていたのだと思います。この言葉通り、後半に入っても両チームのスタンスは継続。

セレッソは、45'45にエヴェルトンがボールを奪われた流れでキムジンヒョンまでプレッシングに出てくと、浦和の中央のスペースに坂元が入り込んだところへパスをつけたり、53'30にバックパスを混ぜて浦和を前におびき寄せてからパスをつないでプレッシングを剥がして行ったりと、試合のテンポを抑えて自分たちの陣形を整えた上で浦和にアクションを起こさせて空いたスペースを使います。

一方浦和は、56'14に高い位置でボールを奪うと武藤はすぐさま前にいる興梠にボールをつけて、外に汰木、後ろで長澤が素早くサポートに入り、再び武藤に戻してシュート。

57'03に自陣で長澤がボールを拾うとすぐさま岩波が後ろでバックステップをして相手から離れて前向きにボールを引き取りエヴェルトンへパス。フリーの状態で受けたエヴェルトンはターンして前を向き、外に開いたマルティノスへ。さらにここを橋岡が外から追い越し、中にも興梠、武藤、汰木が走りこんでいきました。

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マルティノスから橋岡へのスルーパスは通りまでしたが、マルティノスと長澤がすぐさま相手選手に寄せてボールを奪回。再び前にボールを展開すると橋岡のクロスから武藤がヨニッチの背後をとってヘディングシュートまで。

ボールを持ったらすぐに前を向ける選手につけて素早く人もボールも前進させ、そこでボールが繋がらなくてもそのままの流れで前向きに守備を行い奪い返す展開を見せました。


◆交代カードでパワーアップ

お互いに意図した形で相手ゴール前までボールは運べますが、セレッソも浦和も前向きに出ていくときと撤退する時の切り分けがはっきりしていたため、最後の局面では守備側の選手がゴール前に立ちはだかりなかなか決定機まではいききれない状態が続きます。

65分にセレッソが奥埜に代えてブルーノメンデスを投入。浦和が後半から前向きなプレッシングを多用してきたことで、中盤に生まれるスペースを使って前進できるようになってゴール前までの侵入がしやすくなったことで、ブルーノメンデスを入れて最後の局面に強さを求めたのだと思います。
68'25には右サイドを突破して片山があげたクロスをブルーノメンデスがヘディングシュート。西川のファインセーブに阻まれますが、ロティーナ監督の目論見通りの展開が交代してすぐに見られました。

浦和も70分に動きます。興梠、武藤→レオナルド、杉本として2トップを入れ替えます。運動量のリフレッシュとレオナルドのシュート力、杉本のボールキープや高さを入れて、逃げ切り、あわよくばダメ押し点を狙いに行きます。
そして、交代後の最初のプレーはセレッソ陣内の深い位置でのスローイン。山中が入れたボールを汰木が受けるとゴールライン付近で受けると、ライン際をドリブルで仕掛けて片山を剥がします。これを見たゴール前中央のセレッソの選手が一気に汰木に寄ったところで、フリーになったレオナルドへマイナスのパス。シュートはキムジンヒョンに弾かれますが目の前に詰めていたマルティノスが押し込み追加点をゲット。

汰木の素晴らしい突破だけでなく、レオナルドのシュートが力強かったためにキムジンヒョンはキャッチやゴールから離れた方向へ弾くことができず、マルティノスの目の前にボールをこぼすことになってしまいました。


浦和に3点目が入ってそのまま飲水タイムになった後、セレッソは3枚替え。坂元、豊川、丸橋に代えて、高木、西川、小池を入れて、SHは清武が右に移動して高木を左に置きます。これによって左で作って右へという形を反転させて、右で作って左の高木に仕掛けさせたいという狙いが見えます。しかし、浦和の右側は橋岡、そこを長澤がカバーと潰す力に定評のある2人がいるため、坂元vs山中ほどは期待感のないマッチアップになってしまったかなと思います。西川もゴール前で一瞬フリーになれた時にもシュートをせずにパスをしたり、なかなか積極的には試合に入れていなかったように見えます。

一方でレオナルドも杉本もリードした展開ということもあって、足元の技術と体の強さを生かしてボールをキープしたり、そこにボールが入ったときには周りがしっかりと離れながら距離をとったサポートをして広く攻めてゴール前に侵入する場面も作ることができました。
さらに、84'30にはマルティノスが万雷の拍手に送られて青木と交代。長澤を右SHに移動させて中盤の守備強度を上げます。

最後まで浦和の選手たちはボールを持っている時も持っていない時も前向きに力強いアクションを取り続け、8月のルヴァン杯、9月の14節と2敗してきた相手に対して、自分たちの色で殴り続けて勝利をもぎ取りました。

この試合のマッチデープログラムで大槻監督は「積み上げてきたものを結果で示せるかどうか。本日はその指標となる試合」と位置付け、試合後にも「大きな自信につながる今日のゲームだった」と話した通り、安定した戦いをしてきた相手に対して勝利することができたのは、ここ数試合の流れからしても非常にクラブの周りにポジティブな空気をもたらすものになったと思います。


◆採点結果

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今節も試合後のアンケートにご協力いただいた皆様ありがとうございました。アンケートの結果は前節とほぼ同じような内容となり、私を含めて試合の満足度も非常に高かったようですね。

Q2の「前向き」という項目はこの試合でもとてもよく表現されていたと思います。ボールを奪われた後、ネガティブトランジションでの振る舞いもそうですが、ボールを最後尾で持っている時、あるいはボールが前から後ろに下がってくるときに橋岡、岩波、槙野がバックステップで相手から距離を取って前向きにフリーな状態でボールを持てる回数がシーズン当初に比べて格段に増えており、それによってCHが最終ラインに落ちて分かりやすい数的有利を作らなくても、相手のプレッシングを止めた状態でビルドアップを開始出来ています。

Q5の点数を3点にしたのは、こうした最終ラインでのボールの持ち方が1つ前、2つ前の選手たちに時間とスペースの余裕を提供できるようになったことが要因です。1vs1を有利な状態から仕掛けられたり、3vs3、4vs4の局面でもお互いが近寄りすぎずにプレーできていたりしたため、必ずしも数的有利を作らずとも効果的な攻撃が出来ていたと思います。

Q6、Q7もこれと同様で、岩波、槙野という「発射台」が時間の余裕をもってボールを持てるため、前方の選手はその間にポジションを取ることが出来ます。さらにこのポジショニングのおかげで発射されたボールを拾えても拾えなくてもお互いが程よい距離と角度にいるため、次のプレーへの移行がスムーズに行われました。

途中からマルティノスが1列上がったような位置で守備をしていたこともあって、奪ったら丸橋の背後を狙うマルティノスにつけたりすることも出来ており、ボールの出し先が共有できていたことも「スピーディな展開」が出来た要因でした。

Q8の「最終ラインを高く」というのは槙野と岩波をCBに使っていて、キムジンヒョンのような高精度の長距離パスが出せるGKがいる相手には少々危険で、実際に前半には豊川に最終ラインの裏を取られていることから、ここは今の戦力的に目をつぶらないといけないところかなと思います。
ただ、機を見て前向きに潰しに出て行くことも出来ているので、ここは極端にやりすぎない今のスタンスがこの選手たちにはあっているとも言えそうです。


ここ数試合で一気に目指してきたものが表現できるようになってきているので、そろそろ夏に書いたこちらの記事も更新た方が良さそうですね。


それから、大槻監督や選手などのコメントを集めたメモ的なものも随時更新しております。今節の分も既に盛り込み済みですので、試合を線で楽しみたい方は是非こちらもご活用ください。

今節で言うと、山中の

(インナーラップで上がっていって外に開く、レーンを変えるタイミングが素晴らしかったと思うが、どういう意識で動いていたのか?)
「レーンの使い分けは(大槻 毅)監督からもだいぶ言われていますし、『5レーンの真ん中まで行きすぎると守備に帰れなくなってしまう』という話も出ているので、どこまで行くかという立ち位置は意識してやっています。そのあたりが今日はうまく出たかなと思います」

というコメントは非常に興味深いですね。
シーズン序盤のFC東京戦や柏戦のリードされて浦和がボールを持たされた状態の時の山中はどんどん中央のエリアに寄っていてしまっており、守備に帰れないだけでなく、攻撃事態も機能不全に陥る要因になってしまっていました。

このコメントを見ると、大槻監督は選手たちに対してしっかり課題についての指摘をしていて、選手たちもそれを改善しようと意識していることが窺えます。


ホームの連戦で良い試合をしてくれた次はアウェー4連戦。ここまで状態が上向いてきてた中での相手はいずれも4-4-2がベースでしたが、大分、広島と3-4-3のチームが続くことになります。
ここで違う形の相手に対しても自分たちの目指すことが表現できるのか、不安でもあり楽しみでもあります。そこについては引き続きアンケートにご協力頂きつつ、みんなで見ていきましょう。

では、また。

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