数字が話せたら世界が広がる
私は日本語を話す。
日本語しか話せない。
英語が話せたら、より多くの人と会話したりより多くの情報に触れることができて世界が広がる。
とずっと思いつつ、いつまでも英語はできないまま。
だけどそんな私は、別の言語で世界を広げることができた。
それは、数字。
数字は誰かとの共通言語になり得る。
数字が話せたら、世界が広がる。
私は外資系企業でマネージャーになって6年。
常に数値化された結果についてのレポートを求められる。
売上はこう、なぜなら成約率がこうだったから、なぜ成約率がこうかと言うと…
最初はこれがとても嫌だった。
上司は数字の細部や背景を詰めてくる。
だから数字は常に私を責めてくるものだった。
だけど今では、数字は世界を広げてくれる言語のようなものだと思っている。
ずいぶんと捉え方が変わったものだ。
そのきっかけは、私の部署を社長が見に来たこと。
私の勤める会社はアメリカ企業の日本法人で、
社長はフランス人。
トップ層は英語で話している。
もちろん通訳も一緒に来るが、私も社長と英語で話せればいいのにと思った。
社長がどんな人なのか知りたい。
どんな人生を送ったらこんな大企業の社長になれるの?どんな生活を送ってるの?
そんな話が英語でできたらいいな。
そんなことを友人に話したら、こう言われた。
「共通言語は数字じゃないの?
社長が求めてるのはY0K0さんの英語力じゃなくて数字力でしょ。
社長はY0K0さんの部署の数字と、その背景を知りたいよね。」
たしかに!
私は数字を話して、社長が欲しい情報を提供する。
その代わりに私も社長のことを聞きたい。
それが私のモチベーションとなり、一生懸命準備した。
当日はドキドキしながら数字を語った。
社長からの質問に答えたり答えられなかったりしながら、時間は過ぎた。
その後は、ランチ。
今度は私のターン!社長に質問!
今までのキャリア、スポーツはするのか、など日本語で通訳を通していろいろ聞いた。
社長と同行していた人に後から聞いたところによると、私は数字の説明が上手くできていて、ランチの時間はとっても長かったらしい。
きっと社長も満足したんだろうと。
共通言語は数字だった。
社長と数字である程度分かり合えたから、社長が心を開いて色々話してくれたんだと思っている。
数字が話せたら、いままで関わることのなかった人と関わることができるんだ。
苦手で大嫌いだった数字が、世界を広げてくれる言語に変わった瞬間。