香港慕情 エピソード8(2023:9/4)
バスで澳門へ
この旅行の直前に「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」と言う番組を見た。
(正確に言うと香港台湾の時だけ見てる)
旅人のスギちゃんがマカオを訪れていて、マカオに駅前が?と思ったらなんとピッカピカのLRTに乗車している。
私も夫も鉄ではないが、鉄分が0でもない。そこで今回私がマカオ行きで唯一希望したのが「LRTに乗りたい」であった。
それから、今まで訪澳の際はターボジェット一択であったが、2018年に開通した港珠澳大橋を通ってバスでもマカオに行けることは知っている。そこで今回はバスで乗り込もう、と言うことになった。
比較的朝が早かったせいか、イミグレは全く混雑していなかった。するすると越境し、長らく使っていなかったマカオ版オクトパスカード的なものを使用可能な状態にして、バスで市の中心部へ向かう。
まずは南屏で朝ご飯を食べなければ。
オヤジだらけのレトロ喫茶
マカオを訪れたら絶対外せない店、それが南屏雅敘。
まず住所がいい。「十月初五街」世界遺産で有名なセナド広場から歩いてすぐなのに、ぐっとローカル。
もう一度言いますが「十月初五街」って住所キュンとしません?
ここまでときめかせる地名はなかなかないと思う。
店の種類としてはベーカリー兼カフェ。トーストとサンドイッチ、飲み物と麺類、後はかき氷を出すローカル向け茶餐廳である。
客層はほぼオヤジ。オヤジの憩いの場、と見ている。微笑ましいのは新聞片手にくつろいでいるオヤジ達が「焼きたて(揚げたて)だよ!」という掛け声を聞くなりカップケーキやドーナツに突進していく様を目撃できるところである。それから、二階の注文品を上げる年代物っぽいダムウェーター。一階でしか飲食したことがないので、いつか二階に上がるのも夢である。
店先で売っているパンや焼き菓子は指さしで注文すると皿にのせて席までもってきてくれる。メニューも指差しで注文可能。メニューをよく見ると英語とポルトガル語併記なのもマカオだなぁ、とにんまりしてしまう。
朝から昼にかけてずっと混む店なので(相席上等)サクっと食べて店を出て、十月初五街に並ぶ古いお茶屋さんやよろず屋的スーパーで、茶葉や調味料・缶詰(マカオ名物オイルサーディン)も買い込む。香港より安いんだもの。
澳門大学へGO
LRTに乗りたい、と希望だけ述べて行き方等調べようともしない怠惰な我。そんな妻に文句も言わず夫は粛々とバス路線図を検索する。
セナド広場や聖ポール寺院跡などはもう何度も見ているので居並ぶ世界遺産を横目で眺め、まずは澳門大学を目指すという。
豪快に突っ走るバスに揺られて広大なキャンパスに足を踏み入れる。目当ては飲茶。学内に飲茶レストランがあるのだという。
……って、入れないじゃん!!!どうも、正式営業前の訓練中らしく、学内関係者のみ入店可能、と書かれている。無駄足であった。
この店を探すのに広大なキャンパスを歩いてすっかりのぼせてしまったので、学内コンビニ(ここは学外者でも立ち入り可だった)で冷たいものでも飲んで一休みしよう。
新学期が始まっているのだろうけど、構内は人もまばら。コンビニもガラガラなのでイートインスペースでちょっとゆっくりさせていただいた。
(充電用の電源などもあって、PC持ち込む学生も多いのかな?)
気を取り直してさぁ、LRTだ。
異郷の駅は…遠い
駅を目指して自分がどこを歩いたのか、振り返って今地図を見てもさっぱりわからない。澳門大学からバスに乗って、降りた地点からLRTの駅まで随分歩いた気がする。真夏の炎天下、酔狂としか言いようがない。
しかも住宅や店舗が全くない、トタンの壁に囲まれた(湿地帯保護地区らしい)人の影すらない道をとぼとぼと。夫がバスを降りる地点を間違えた説もなくはないが、自分で調べていないので文句も言わずひたすら歩く。
ようやく見えてきた駅は真新しく、人影はほとんどなかった。
どこもかしこもまだピカピカで、人もいないので写真を撮りまくる。鉄ではないです。鉄分が0ではないけれども。今はまだ1路線だけだが、今後あちこちに路線が伸びていくらしい。マカオ、お金あるからなぁ。
涼しい車内にいるともう、このまま帰ろうか、という気分になる。
世界遺産もパンダも今までさんざん見たし、エッグタルトも牛乳プリンも何度も食べているし、今回は南屏とLRTという2つ目的が達成できたし。これが老化と言うやつなのねぇ…とにかく無理はしない、無理はしない。と言うことで終点のフェリーターミナルへ。
今写真を見て、14:00のチケットを買ってたことに軽く驚く。朝早くから来ていたとはいえ、ここまで体力がなくなるものか…もうちょっと涼しければ足を延ばした場所もあったかもしれないけど、寄る年波寄る年波無理は禁物無理は禁物と呪文を唱えることとしよう。若いうちに回っててよかったよ…
サクっと帰ってホテルで汗を流して一休み。やや回復したので一人で信和中心と女人街を散策した。マカオから早期撤退したからこそである。
信和中心は香港の中野ブロードウェイとでも言ったらよいか、コミックス・ゲーム・CD・アニメソフト・フィギュア・ファンシーグッズ・アイドルグッズ・トレーディングカード・プライズ商品・スニーカー・時計…そのほかコレクターズアイテムを商う小店がぎっしり詰まった若者の流行発信基地でありヲタク御用達ビルである。いろいろな意味で長年お世話になったので、元気かな?と様子を伺いに行きたくなってしまう。
行くたびに変わらない店もあれば、よく見るとラインナップが随分変わってたり、跡形もなく消えた跡地にまったく違う店が入っていたり、そんなところもやはり中野ブロードウェイっぽい。
上から下までぐるりと一巡して、お目当てのコミックスを入手。女人街も今の流行はこんなものか、と冷やかすのみ。
何を買いたいわけでもないけど、この喧騒の中に身を置きたい、と言う衝動がたまに起きるのだから仕方ない。パチもんまみれのこの空間がたまらなく愛おしい。
女人街と垂直に交わる通りの、昔は見かけなかった食品安売りチェーン店でカーネーション印のチューブ入り練乳を買って、ホテルに戻る。
夜は出歩かず、ホテルの建物内にあるバングラデシュ料理の店でビリヤ二とハンバーガーを食して終了。明日は一人帰国である。(行きも別々なら帰りも別々)